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北朝鮮 ストーカー国家

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/HotIssue.aspx?news_id=000000002243

核拡散と米国の核覇権の終わり
ピーター・ヘイズ
2006-10-10 19:32

■北朝鮮の核実験の意味合い

 米国の3代の歴代政権は、北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)からの離脱と国際原子力機関(IAEA)の査察体制に空いた穴を防ぐことができなかった。

 朝鮮半島での核戦争の公算は1990年代初めに、ほとんど消えたが、今再びあり得ることになった。北朝鮮が10月4日、核兵器の実験を行うと発表したことは、この失敗を際立たせている。

 冷戦の脅威という環境が続く限りにおいて、米国は核覇権というシステムを構築し、維持することができた。米国の核兵器が、地域の国へのソ連と中国の核の脅威を抑止する役割をしているという共有された理解が中心にあった。

 そうした理解は、ワシントンの同盟国とその敵対国であるソ連と中国にも共有されていた。冷戦の最中、米国はその圧倒的なパワーを使って、同盟国の核への野望を抑えた。そして、抑止を提供するだけでなく、近隣国からの核拡散に直面することはないという確約もする代わりに、核の主権は放棄するという取引をその国のエリートとした。

 しかしながら、このシステムは北朝鮮を包含することはまったくできなかった。北朝鮮は米国の核の脅威を数十年にわたって受けてきた。また、地政学的な位置のおかげで、外部の影響から隔絶されていた。かつての同盟国のソ連と中国は影響力を行使できたかもしれないが、それにはすでに遅すぎた。

 この惨めな記録から見て、2つの質問に答えなければならない。最初は、なぜ米国の核覇権が北朝鮮の核の挑戦を抑えることがまったくできなかったのか。2つ目は、この結果は避けることができなかったのか、あるいは、この10年間の核の対決から、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が核兵器を放棄することにつながるかもしれない教訓が、この終わりの段階においてもなおあるのであろうか。

■米国にしつこく付きまとう

 米国の核戦略がその同盟体制内部で異議が唱えられた時に、北朝鮮は核の挑戦をしかけてきた。同盟国のエリートは、米国の一国主義と核兵器の拡散を食い止める世界的な拡散防止体制の無力に不満を強めていた。北朝鮮のNPTからの離脱は、米国の核覇権を支えていた取引を事実上、無効にした。地域で起きているこの変動の影響を見ることができる。

 皮肉なことに、北朝鮮は最初、核の脅威を米国と対話を構築し、最終的には安全保障関係を達成するために使おうとした。後者の考えは余りにありえないものであったので、米国の安全保障のエスタブリッシュメントは北朝鮮を理解できず、さらなる核の脅威を伝統的な戦略表現で描いた。そのため、北朝鮮の核の拡散をほとんど保証してしまった。北朝鮮が核の脅威を使って、米国から対応を引き出そうとすればするほど、ますます拒絶された。これはさらに北朝鮮から挑発的な反応を起こし、ついに北朝鮮は核拡散防止体制から離脱した。

 当然、北朝鮮の「ストーカー」戦略は失敗する運命にあった。米国は動かなかった。なぜなら、もっと重要な懸念があり、北朝鮮の条件について交渉するより、北朝鮮の脅しを無視し、力に頼る余裕があった。

 戦略的なレベルでは、安全保障関係を得ようと米国に付きまとうために北朝鮮が核兵器を使ったのは最初から失敗であった。脅しは不信と関係の悪化しか生まず、北朝鮮は消耗し、破滅的な状況になり、崩壊に近い状態になった。長期的には存続する能力についても不確かになった。

 反対に、核覇権国が小国からの核の脅威を打ち負かすことができなかったことは、世界的な拡散防止体制だけでなく、地域の米国の指導性も大きく傷つけた。各国が米国の核覇権への黙認をやめていく中、北朝鮮が核兵器の拡散に成功したことは、東アジアで拡散の連鎖反応の可能性を起こしている。それは、日本、台湾、韓国、オーストラリア、インドネシア、長期的にはビルマまで及ぶ。

 北朝鮮が核実験を準備するところまで、どのようにしていったのか。北朝鮮の挑戦に対するブッシュ政権の対応は、2003年4月に北朝鮮、韓国、ロシア、日本、中国、米国による多国間交渉を開始することであった。ブッシュ政権は、世界的なテロとの戦い、イラクの占領による拡大する費用で、すでに消耗していた。

 2005年12月までに4回の6カ国協議が開かれたが、北朝鮮に核兵器計画を止めるという具体的な約束をさせることはできなかった。その代わり、米国の頑固さに直面して、北朝鮮は最初はほのめかし、次には大きな声で宣言した。兵器級のプルトニウム金属をつくったと(2004年1月には、有力な米国の兵器専門家が検査するためにその金属を渡した)。次には、この物質を「兵器化した」と主張した。米国は、北朝鮮との2カ国間の交渉は拒否し続け、中国や他の地域の国が核問題で北朝鮮を説得するべきだと主張した。

 超大国の米国が北朝鮮と直接交渉することを事実上、放棄したことで、地域の国々は北朝鮮と独自に取引をするようになった。北東アジアが北朝鮮・韓国を含む中国主導のブロックと、これに対抗する日米ブロックに戦略的に分岐し始めたことが2005年に明白になった。

 米国が主導することを拒否したこと、テロとの戦いでますます一国主義的な行動をとったこと、2003年から2005年にかけて内容のない6カ国協議の形式を主張して虚偽の外交を固執したことで、米国の核覇権の衰退は最悪の状態になったようだ。地域の国々にとって、米国が北朝鮮の非核化を達成しようという本当の意思も、それを押し付ける強制的な能力も持っていないことは明らかであった。

 2005年中ごろまでに、北朝鮮はIAEAの査察官を追い出し、寧辺に貯蔵してあった使用済み核燃料の封印を破り、再処理した。それにより、8個から10個に相当する核兵器核分裂性物質を得た。2005年2月には、核兵器を製造したと宣言した。3月31日には、北朝鮮の国内宣伝機関は、金日成が朝鮮半島の非核化を達成するための方法として、北朝鮮の核抑止力戦略を祝福していたと伝えた。北朝鮮のナショナリズムが核兵器と融合した。北朝鮮は核兵器国として、米国から対等の扱いを要求した。

 米国の核覇権の基礎をなす中心的な取り決めは、米国の同盟国の敵対国による核兵器の拡散を防ぐことが一方にあり、ドイツや日本など米国の重要な同盟国の間で核兵器が拡散しないようにすることが他方にある。しかし、その取り決めはほとんど崩壊した。2006年までに、北朝鮮の核紛争の当事国にとって、米国が同地域で戦略的に漂流していることが明らかになった。

 ブッシュ政権は金政権に対して、麻薬犯罪や偽札問題など末梢な事柄で屈服させようとしたが、この戦略さえも裏目に出ているようだ。北朝鮮を6カ国協議に戻らせるよりも、北朝鮮において急速に拡大している合法的な取引を賄賂の効く経路にしているからだ。2005年末以来、米国は金融・船舶制裁をしているが、現在は北朝鮮指導部を締め付けて、服従ないし崩壊させようとしている。

■抑止でなく、強要

 では、何が起きているのか。米国のほとんどの政策担当者にとって、対等なパートナーとして認められるべきとか、敵対的な関係から友好的な関係に変える用意があるという北朝鮮の主張は、この終わりの段階ではばかげたものであり、奇妙なものとして無視されている。北朝鮮がそのような行動をとるのは、同国の麻薬犯罪的性格、「ソプラノ国家」(※訳注)論から不可能であると見る者もいる。北朝鮮の指導部は戦略核の取得を最優先にしてきた、というのが北朝鮮の行動についての「最も簡単な」説明である。そうでないと証明されるまで、そうした説明が好ましいと言う者もいる。

 そのようなアナリストは、このアプローチと矛盾する異常、あるいは北朝鮮の動機はもっとニュアンスがあり、矛盾しているかもしれないことを示す異常を無視する。それでも、別のアナリストは、超党派的な米軍の韓国駐留はいいという意味の党幹部、金正日自身の話はまったく信じられず、純粋に戦術的なもので、韓国や日本との米国の同盟を裂く狙いがあるとみる。金容淳労働党書記と会った米国の元当局者が言っていたように、北朝鮮のこの立場には、目に映るより、中味は少ないのかもしれない。

 そのため、核兵器を取得しようとする北朝鮮の動機の基本的問題に立ち戻るのは有益である。北朝鮮は、核兵器を持つための核ドクトリンを明確にしていない。信頼性を実験で確かめておらず、粗悪な比較的小さな核兵器を政治的・軍事的表現に翻訳するのは難しいのかもしれない。

 北朝鮮は(核兵器を持っているという主張が仮に真実として)、ナショナリストの誇りの興奮が徐々に消えていった後に、4流の核戦力を政権の力を実際に強めるような力と能力に変えるという困難な問題に直面している唯一の核兵器国家ではない。恐らく間違いなく、インドは同じような問題に直面している。

 それでも、北朝鮮のゆっくりした拡散は、核兵器を獲得することに没頭しているだけとか、米朝合意での比較的わずかな「あめ」で、この計画を遅らせるようにされたという説では容易に説明できない。北朝鮮は米朝合意のもとで、10年近く拡散の取り組みを遅らせて、得るものは何もなかった。米国が1990年代中ごろ、それを止めさせるためにできることはほとんど、あるいはまったくなかった。このように、別の説明が妥当である。

 わたしの考えでは、北朝鮮は核の脅威を、自身の強要の方法として、重要な安全保障と政権の存続の問題について米国を関与させるために使った。そのような脅威は、意図的にあいまいなままに残され、それらの潜在的でかつ、はっきりした脅威に基づいて行動する能力は非常に不透明で、不確かのままである。しかしながら、北朝鮮は核兵器で米国の重要な権益を脅かすことができることは明らかである。朝鮮での戦争の瀬戸際で、直接的に韓国か日本、あるいは米国自身に対してさえ可能である。

 9・11テロ後の心理に結び付けて、北朝鮮は核物質や武器全体を他の国や非国家のテロ組織に売るかもしれないという恐れをもてあそんでいる。北朝鮮の場合は、その核兵器は弱い者、自暴自虐の者の兵器であるが、その特別な力により、非常に破壊力がある。北朝鮮についての米国の頑強な固定観念を前提に考えると、北朝鮮は核の脅威を米国のドアをどんどん叩くために使った。その固定観念というのは、北朝鮮は、冷戦の悪夢のような子供から、冷戦後の国際的な国家行動の規範に適合したものに変わることはできないというものである。

 核の不平等に対するこの挑戦は、核拡散防止条約の中心に達する。従って、米国の核覇権の根本的な基礎に行きつく。朝鮮労働党で核戦略を担当していた金容淳は1991年、平壌でわたしに次のように説明した。

 「核問題について、われわれと米国の間で議論が必要なことを、テーブルに座っているふたりの人に例えてみたい。ひとりは目に見える大きなナイフを持っており、もうひとりは丸腰でいる。武装している側が、丸腰の人のポケットを調べさせろと要求するのは受け入れられるのか。これは超大国が核を持っていない小さな国に、一方的に突きつける要求である。大きな国と小さな国はあるかもしれないが、優れた国と劣った国というのはあってはならない。先進国と途上国はあるかも知れないが、支配する国と支配される国があってはならない」

 北朝鮮は核兵器を、米国の核の脅威と朝鮮戦争と分断による相互に関係した不安定に対抗するために使おうとしたばかりではない。それは、核兵器の典型的な消極的な使い方である。北朝鮮は、日本、中国、ロシアという近隣国の力を相殺するために、遠い大国の同盟国が必要という考えから、米国との安全保障関係を得ようとした。なぜなら北朝鮮は韓国に圧倒されたくなかったからである。韓国は2倍の人口を持ち、経済は50倍で、中国とロシアからも承認されている。

 同盟国でなく敵対国による核兵器のこの積極的な使い方は、米国には理解しがたい。北朝鮮は米国の安全保障のパートナーになれると考えているのかもしれない。だが、これは北朝鮮の高官が一貫して言ってきたことでである。それを信じない理由はない。米国の核イデオロギーには、敵対国が米国と安全保障関係を得る権利を主張するために核兵器を利用する余地はない。

 この理由から、米国の核戦略家は北朝鮮がやっていることを何度の何度も理解できなかった。彼らの固定観念は、この可能性を妨げただけであった。わたしの見方では、彼らは北朝鮮のさまざまな提案を取り上げないという間違いをした。例えば、党の指導者であった故金容淳がした提案である。彼は1993年、わたしに北朝鮮と米国を隔てている紛争を脇に置く必要について次のように述べた。「核問題を直接対話で解決することは可能で、ありうることである。朝鮮には『剣には剣を。餅には餅を』ということわざがある。今は剣を捨てて、餅を持ち上げる時だ」。

 もちろん、北朝鮮の指導者(金日成と金正日を含む)と外交官が米国との政治的打開を最優先課題として達成しようとしていると言っているのに、米国がなぜ聞いていない(聞いていても信じない)のか説明する他の理由がある。

 米国を辛らつな言葉で糾弾する北朝鮮の長い宣伝文句、交渉で延々と続く小刻みの戦術を使う傾向、土壇場での妥協で「景品」を留保するため最大限の結果を要求すること、北朝鮮の作用・反作用の交渉スタイル、それらがそうしたシグナルを消してしまったか、あるいは米国の政策担当者には信じられないものにしてしまった。北朝鮮が太鼓を強く叩けば叩くほど、彼らが言っていることがますます聞きにくくなった。彼らの言っていることを米国が聞かなくなればなるほど、米国はますます伝統的な冷戦の抑止か強要の戦略で対応した。

■地域の一時しのぎの修復

 ワシントンと平壌で政治的文化と傾向に奇跡的な変化がなければ、損傷を修復する唯一の方法は、NTP・IAEA体制と合致した、地域の国によって構築される核拡散防止の地域体制である。そのような体制は、後者に付属することもできるが、地域内で発生する核の脅威を減じるために、地域の必要にあうよう調整されなければならない。時間とともに、そのようなアプローチは北朝鮮の核兵器計画を目立ったないものにさせ、終局的には朝鮮半島での和解の一部として破棄されるかもしれない。

 そのようなアプローチの明らかな出発点は、現存する1992年に韓国と北朝鮮が宣言した「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」の範囲と参加国を拡大し、中国、極東ロシア、日本、台湾を含むようにすることである。最初は、「共同非核宣言」に韓国・北朝鮮以外の署名国のために覚書を付属させるだけで可能である。時とともに、他の国もその宣言での公約に部分的ないし全面的に加盟し、そうした条件を領土の一部ないし全部に適用することが可能になる。

 この点に関して、韓国の非核の公約を維持することは、地域で拡散防止の最も肝要のものになっている。その間に、北朝鮮が核実験など核兵器の能力を誇示した場合、日本が核武装しないことを確実にすることが重要である。

 どちらの場合も、米国の核覇権に加担し、核同盟体制に深くかかわっているこれらの国々の非核地位を回復するためには、独立した政策アナリストの役割とより影響力のある市民社会団体の出現が、本質的に欠けている要素となるかもしれない。

 最後に、米国の核覇権に対する北朝鮮の離脱の影響は、衝撃的である。米国の核覇権は、核大国からの核の脅威に対して同盟国に核の保障を提供した中核的な協定を中心に構築されており、地域の敵国に核兵器が広がらないよう約束していた。多くの米国人は、6カ国協議は、米国の外交の傑作であると、いまだに勘違いをしている。6カ国協議は、中国を責任のある地域の大国として、「カミング・アウト」させ、一方で北朝鮮が核兵器で武装したとしても、孤立させ、封じ込め、最終的には消えうせるとしていた。北朝鮮が核実験した後は、6カ国協議は無駄ではないと見せかけるのも困難になるであろう。

 現実には、事実とまるでかけ離れている。米国の超大国として、また核覇権国としての面目は、東アジアではボロボロになっている。実際には、米国は覇権的役割を放棄し、地域の国には自力でやるように任せた。

 驚くほどのことではないが、米国はほかならぬ韓国でそれをやっている。韓国は、まもなく疑いなく核武装する北朝鮮を安定させ、米国への依存をやめ、大国相互依存性を分散させる決意である。韓国の軍事調達はロシアからの大量の調達を含んでおり、米国の武器製造会社は悔しがっている。

■核の次の使用リスクを減じる

 政治的な国家間の行動についての国際的規範にほとんど自覚も責任もない小さな隠遁国家が核兵器を持つことは問題なのか。従わない国家がNPTから脱退して、逃げうせることができるという先例を確立することの世界的な費用はともかくとして、また朝鮮の分断と不安定の朝鮮・韓国人とそれ以外の人々への費用を無視しても、核武装した北朝鮮は今後数十年、核の次の使用のリスクを増す。

 すでに述べたように、北朝鮮がもし、過去の不正をただし、米国が敵対的でなくより敬意を持って対応させるために核のテコを使おうとする核の「ストーカー国家」になったら、危機のとき、核の次使用のリスクが差し迫ったとき、米国は同政権に対する孤立化と圧力の継続が、ストーキング行為を和らげるのかどうか、自問しなければならなくなるであろう。再犯者と同じように、北朝鮮は米国の態度が本当に変わるまで、米国に付きまとうために核の脅威を使い続けるであろう。個人のストーカーと違って、核の脅威で他国に付きまとう国を閉じ込める方法はない。

 現在、米国は非武装地帯で対峙する不安定の状況のなかで、北朝鮮の軍隊と核兵器について話し合う共通の言葉を持たない。

 北朝鮮の提案を拒絶し続けることは、さらなる「核ストーキング」を招くかもしれない。それはつまり、核の脅威を用いた創造的で予期しない方法の開発、配備、危機や戦争の時に実際に使用することである。北朝鮮が核のドクトリンと使用選択を構築するに際して、核抑止と危機管理について米国あるいは西側の概念構成を用いるとだろうという信じる理由はない。

 ライス国務長官は2000年、フォーリン・アフェアーズ誌に「もし彼ら(北朝鮮)が大量破壊兵器を取得しても、そうした兵器は使えない。なぜならそれを使おうとすれば、国が消え去ってしまう」と書いた。実際、北朝鮮に意図を伝えようとして「明確で伝統的な」抑止の脅威を使った米国の取り組みは、北朝鮮が米国を関与させる方法として、まさにこの脅威を利用することを誘発している。それは、誤算と双方による核の最初の使用という恐ろしいリスクを伴っている。

 事実、最も懸念される朝鮮半島における核の次使用の筋書きは、米国とその同盟国を巻き込んだ北朝鮮に対する戦争の結果ではなく、むしろ北朝鮮がそれ自身で戦争状態に陥る結果である。

 北朝鮮が激しく崩壊した場合、韓国をそのような戦争に引き込むために北朝鮮の一分派によって核兵器ないし核分裂性物質が、挑発的使用のために乗っ取られるか、あるいは、北朝鮮の外にある麻薬犯罪ネットワークによって、国外に密かに運び出され、核への野望を持つ他の国や非国家の組織の手に落ちるかもしれない。この理由だけからも、国際社会は北朝鮮の政治的・経済的状況を安定させるために協力することが緊要である。

 核兵器はそのように恐ろしい力があり、ほかに選択はない。


 ピーター・ヘイズ……米シンクタンク「ノーチラス研究所」所長

(※訳注)マフィアを題材にした米国のテレビドラマ『The Sopranos』からとられた。北朝鮮の行動様式が犯罪組織一家に似ているという見方。

オーマイニュース英語版から

オーマイニュース(日本版)より

この記事は【特集】北朝鮮クライシスに掲載されました。


この記事についたコメントは9件。

9 いこい 10/12 17:38
ピーター・ヘイズ  >次の記事、2点に注目する。
 > 最も懸念される朝鮮半島における核の使用の筋書きは、むしろ北朝鮮がそれ自身で戦争状態に陥る結果である。 北朝鮮が激しく崩壊した場合、核兵器ないし核分裂性物質が、挑発的使用のために乗っ取られるか。北朝鮮の外にある麻薬犯罪ネットワークによって、国外に密かに運び出され、核への野望を持つ他の国や非国家の組織の手に落ちるかもしれない。この理由だけからも、国際社会は北朝鮮の政治的・経済的状況を安定させるために協力することが緊要である。 核兵器はそのように恐ろしい力があり、ほかに選択はない。

>  党の指導者であった故金容淳がした提案である。彼は1993年、わたしに北朝鮮と米国を隔てている紛争を脇に置く必要について次のように述べた。「核問題を直接対話で解決することは可能で、ありうることである。朝鮮には『剣には剣を。餅には餅を』ということわざがある。今は剣を捨てて、餅を持ち上げる時だ」。 ライス国務長官は2000年、フォーリン・アフェアーズ誌に「もし彼ら(北朝鮮)が大量破壊兵器を取得しても、そうした兵器は使えない。なぜならそれを使おうとすれば、国が消え去ってしまう」と書いた。

近々のニュースに、中国の唐家セン国務委員(前外相)が胡錦濤国家主席の特使としてワシントン入り、唐委員は10.12米国のライス国務長官、ハドリー大統領補佐官らと会談し、北朝鮮の核実験実施後の対応を協議する。会談にはブッシュ大統領も同席予定。
これにより、国際社会が一致して経済制裁圧力を行うと同時に、2005年12月までに4回の6カ国協議が開かれたが、北朝鮮に核兵器計画を止めるという具体的な約束をさせることはできなかったが。今度こそ、この席上に北朝鮮を引き込み核問題の解決する方向性、見出せるかどうか、その正念場に期待したい。

8 HIKO 10/12 12:40
私はちょうどジャーナリズムに関する本を読んだ直後であった事もあり、
何もわからないながらもわりと初々しい気持ちで記者登録まで行いましたが
メディアとしてのこのサイトの論調を見ると自由な討論の場という標榜より
むしろ背景の意図を感じざるおえず、とても投稿まで行う気になれません。
想像される背景を除いた理念そのものは良いのに残念であり、そのように
思う人は多いと思います。今後、色々な、自由の意見の場としての発展を
考えるのであればちょっとどうかな・・と思われます。

面白そうで、嬉しくて登録した立場としては残念でしょうがないですね。。

7 HIKO 10/12 12:39
金正日は頭の良い策略家ですがそれなりに追い詰められているとは思います。北の人民の多くが戦慄の最期を迎える事には賛成できないので、戦争などハードランディングではなくソフトな力の転換を周辺国として援助する事は望みます。
ところで・・論調があるのはどのマスコミも同じですが、日本において
・ストレートではないが基本的には親北、北の思惑の論調である事
・多数の人々が参加し、それぞれの住所や連絡先を得、
 同志を得る事ができるシステム
・韓国オーマイの北への送金・・
・オーマイの誇る太陽政策の大統領を当選させた実績と二匹目のドジョウを
 狙うような安部批判(私は別に安部シンパではないですけど)
日本の社会や政治にも沢山沢山問題はあると思いますが、
そのまま北の政府の思惑通りに扇動しようと見える姿勢が
正しいとはとても思えませんしこのサイトは日本のネット社会に
対して何を狙っているのでしょう?
北政府の政府の扇動にそのまま乗ることは北の人民に
対して良いことなのでしょうか?その意味でちょっと人権に対する
意識も疑いたいです。きちんと弱者を見ているのでしょうか?
別に金正日、取り巻きが個人的に身の保障を得、余生を送る事は
構わないが、少なくても政権的立場から降りて頂く事をのぞむ
方向性が人権的発想に適うのではと思います
(半島の非核化の方針は当然です)。

6 HIKO 10/12 12:16
日本、米国は最初から北の制裁の政策を行っていたのはありません。
 ・90年代の大飢饉時の援助→軍用に多くは回ってしまったことはRENK・・
              だったかな・・NGO組織等も発表していたと
              思います。
 ・見返りとして供与したKEDOの破綻、資金回収不能、そしてKEDOの下の
  核開発の露見といった裏切り行為
 ・拉致、麻薬、偽札といった反社会的な国家的活動
 ・最近露見した太陽政策(当時)の韓国に対するスパイ活動
よって総合的、常識で考えて
国際社会は北朝鮮の政治的・経済的状況を安定させるために協力する
ことが緊要であるとはそのように前提のようには思いません。
核保有国として扱われる事、ミサイル実験失敗にも関わらず
攻撃能力を擁しているかのように国際社会に認められる事、そして
その立場から北朝鮮の崩壊に対する危機感を煽る事が北の目的であり、
この文はそのまま基本的には同じ論調だと思います。
北が放っておけばさらに危険になるのは本当ですが、現状は
まだ核拡散の危機に至るほどの技術力はないと思われ、行うべきは
やはり核拡散が起きる前に国際協調の下北の政府解体、崩壊、弱体化を
目指す事だと思います。
韓国も太陽政策を転換した現在(いつ元に戻るかわかりませんが)、
いまだに同じ論調を繰り返してどうするのでしょう?
戦争以外の手段による、かつ、なるべく早期に事態を解決する為に
、早期に周辺国のみならず国内の人民に飢饉という危害を与え続ける
あの政府をどうにか、できれば内部的な力でもってなんとか転換される
方法について知恵を絞る事こそが重要です。

5 mirai 10/11 21:06
matt氏

編集部に何を言っても無駄なようだ。
【▼ご利用・閲覧にあたって】
で、「編集部に御用の方はメールでどうぞ」と記載したことによって、コメント欄への編集部に対する意見等はスルーすることを正当化している。
双方向のメディア構築を放棄し、気に入った記事だけを掲載するだけのメディアに未来はあるのだろうか?

4 matt 10/11 12:39
これは筆者の意思で日本版に寄稿されたものですか? オーマイニュース編集部が目ざとく見つけて「この肩書きなら黙るだろ」と日本版掲載を打診した記事ですか?

そのくらい、きちんと明記するルールを作っておきなさいよ。ここの編集長は本当にマスコミ人なんですか???

さて、内容ですが。眠気を抑えて必死に最後まで目を通しましたが、要するに「北朝鮮を支援しろ」ってことでいいですか? ご大層なお肩書きによる大量の文字数を割いた原稿の割に、論理は迷走し続けるだけで、揚げ句に最後の一文 −−−核実験があろうがなかろうが最初から決まってる主張−−− に無理やり落とした、クソつまんない自己中論文にしか読めませんけど。

吉田康彦と大差ナシ。

3 hidetaka 10/11 06:59
ご意見、しっかり読ませてもらいました。
このようなきちんとした意見を掲載していただければ、視野を広げて物事を考えられます。こうした発言は多いのでしょう。編集局にお願いしたいところです。

井戸の中から空をあおぐだけでは、理解には足りませんから。

2 まさしくんはい! 10/10 20:34
論文自体は長ったらしくて要点不明だが、記者が所属するノーチラス研究所を調べてみた。

>●ノーチラス研究所http://www.nautilus.org/のHP Vision&Missionn
>Our shared vision is a peaceful, ethical, and sustainable world for our time.
「平和で倫理的で持続可能な世界」ね、よく○○団体さんが使いそうなフレーズですね。

朝日の4年前の記事に研究所の説明があった。これによると
>北東アジア・太平洋地域の安全保障を研究するシンクタンク。97年から北朝鮮に風力発電装置を設置したり、北朝鮮の技術者を米国で研修させるなどの活動を続けている。クリントン政権のペリー北朝鮮政策調整官(元国防長官)に北朝鮮事情の報告もしていた。本部は米カリフォルニア州バークリー
>http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu010809b.html
ふーん、シンクタンクなのに北の支援をしてるんだ(笑)

そして驚いたのが、先月末に北朝鮮核保有の捏造記事疑惑が出てる事
>http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=80238&servcode=100&sectcode=120

研究員が色んな講演に招待されてますが、下記URLに書かれてある組織に共催されるような会合に出てる訳ですね(笑)
>http://cnic.jp/modules/news/print.php?storyid=194

ここまで書けばどういう向きのシンクタンク団体か良く分かりますね(笑)

1 Hounddog 10/10 20:20
せっかく章分けしてるんだったら、各章のタイトルくらい太字にするなりなんなりしてください。
死ぬ程読みづらいです。


記事本文がくそ長いのでわたしが一言で要約します。

北朝鮮の言うことを聞け

これだけです。この記事を書いた記者さんもざっくりと書いてしまうと、

この方と同じカテゴリのようですね。バカかw 記事が掲載されて15年後の現在、北朝鮮は核を放棄しましたか? 答えは自明ですねw

後に虐殺があるかもしれない(可能性は非常に高い)から今必死に抵抗してるんだよ。現時点で日本がロシアから脅迫を受けていることを認識できていない人は頭が弱いとしか言いようがありませんね。

ウクライナを応援するためにも、ひいては自分たちを守るためにも、ロシアの政府機関および軍関係の機能を少しでも低下させるための行動には意味があります。デマとプロパガンダをいまだに垂れ流し続けている在日本ロシア大使館のツイートを全否定するのも無駄じゃないと思います。うん、決して嫌がらせじゃないよw

善良なロシア人(情報統制下の善良なロシア国民含む)に手を出しちゃダメですよ。5月9日ね、了解w