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「米軍再編」の錯覚

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000001073

隠された軍港建設計画
記者名 平良夏芽

 「米軍再編」が沖縄の負担軽減のための基地の分散を意図しているかのような錯覚が全国に広がっている。普天間基地の「移設」とか、海兵隊8000名のグアムへの移転という報道に触れるとなおさらだと思う。しかし、それは全くのまやかしである。米国は、自国の軍隊をいかに機能的に配置するかを検討しているのであって、駐屯地の負担の有無など気にしていない。

 名護市辺野古への新基地建設は、普天間海兵隊基地(飛行場)の「移設」として報道されている。しかし、この計画は1966年に米海軍によって立てられたものである。海軍、つまり計画の中心は軍港である。基地や核兵器対応の弾薬庫と直結しており、水深が30m以上あり原子力空母が寄港でき、艦載機をおろすこともできる空港付きの軍港の建設計画である。

 新基地建設に強い拒絶感を表す県民をごまかすために、「軍港建設」という目的はいまだに隠されている。その上で、宜野湾市民に多大な犠牲を強いてきた海兵隊基地を過疎地に「移設」すると発表し、辺野古と大浦湾にまたがる基地建設を強行しようとしているのが日米両政府の計画である。この計画とパッケージだと念を押された上で発表されている「負担軽減案」は、沖縄の中南部の米軍基地の返還と、海兵隊員8000名のグアム移転である。使用頻度の低い基地を返還し、必要な設備は北部地域に新たに建設(日本の税金によって)することのどこが負担軽減なのか。またグアムに移転すると言われている海兵隊員は司令部付きか後方支援の部隊であって、実戦部隊ではない。日々、人を殺す訓練を行い、実際にイラクで多くの人々を虐殺して帰ってくる海兵隊実戦部隊は沖縄に残るのである。それらの変更が、辺野古への巨大な軍港と空港をセットにした基地建設の結果、ご褒美として実施されるというのである。

 「米軍再編」は日本だけの問題ではない。米軍が駐留している世界各地に大きな影響を及ぼしている。その一例が韓国の平澤(ピョンテク)である。ソウルにある米軍基地が平澤という田園都市に移設されようとしている。地元の農民たちは体を張って止め続けているが、建設を推進しようとする政府の圧力は恐ろしい。去る5月の4、5日には、地域住民と支援者たちを押さえつけるために7000名の韓国軍と機動隊が導入された。軍隊と機動隊は容赦なく暴力を行使し、100名を越える人々が病院に担ぎ込まれた。住民を守ることが仕事であるはずの警察と軍隊が、米軍基地建設のために住民に牙をむく。これが「米軍再編」の実態である。

 再編で負担が増える地域では、反対運動が行われている。これがもし自分たちの安心を勝ち取るためだけの運動であるならば敗北に終わるだろう。しかし、世界に広がる軍事支配、暴力の連鎖を断ち切るための決意であるならば、私たちは世界の人々と手を結び、この動きを止めることができるはずだし、止めなければならない。被害者とならないための叫びだけではなく、加害者とならない、加害者にさせない決意をする。そのことが今、私たちに求められているのではないか。

【画像省略】
辺野古、基地反対坐りこみ運動
撮影者:平良夏芽

2006-09-11 08:33

※引用文中【画像省略】は筆者が附記
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