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行方不明者はどこへ消えたのか?

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003327

ネパールでは、多くの家族が消息を今でも知りたがっている
シャラド・チラグ
2006-12-07 06:49

 ボジプル郡出身のラム・バハデュル・カーキさんは、仕事を探すため、2004年、カトマンズに向かった。仕事を見つける代わりに、タンコットの検閲所で治安警察に逮捕された。今日まで、家族は彼の生死が分からない。誰も何が起きたのかを教えてくれないのだ。家族は見つけることを望みながら、ネパール軍のバラックを探し回った。これまでに、その努力は実を結んでいない。

 父親のカードガさんによると、ラムさんは友人のダーガ・ビスタさんとカジ・ビスタさんとともにカトマンズに旅立った。その途中で、治安警察に捕まり、警察は一行を毛沢東主義の武装反落勢者(マオイスト)とする疑いをかけた。ダーガさんとカジさんは後に解放されたが、ラムさんはいまだに拘束されている。

 ダーガさんは、逮捕された後で拷問を受けたと言う。

 「私は何度も気を失った。とても残酷だった。拘束中は家族が私に会うための許可を絶対に与えてくれなかった」。ダーガさんによれば、ラムさんはマオイストの活動に関与していると強制的に言わされたという。

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軍によって捕虜にされたマオイストたちの家族による抗議(ロイター)

 ラムさんの父親カードガさんは、息子の身に何が起きているのかを調べるために、できる限りのことをした。昨年9月には国家人権委員会(NHRC)にも相談したが、支援は得られなかった。

 「タンコット検閲所に何度も出かけ、息子の具合がどうなっているのかを聞いたが、いつも息子を逮捕したことはないと言われた」とカードガさん。これでは、ネパールでは「全市民が法の下で平等だと、私にどうやって信じろといのか?」。カードガさんはそう政府に訴えたが、無駄だった。

 家族の中ではラムさん以外には働いて生活を支える人がいないので、ラムさんの不在で家族の生活は困難を極めている。

 「もし今息子がどういう状態にいるのかが分かれば、苦しみも減るのだが」とカードガさん。

 同じくボジプル郡出身のペマヌル・シェルパさんは、昨年の8月から行方不明だ。兄弟のパサンゴドルジさんによれば、平服の男たちが警察本署からやってきて、カトマンズにある、ペマヌルさんの親戚の部屋から、ある夜ペマヌルさんを連行していったという。55歳になるパマヌルさんは、昔、インド軍の兵隊だったことがある。

 「警察本署やほかの関連する場所を何度も訪れたが、逮捕の事実を否定された。どのような状態にいるのかは分からない」とパサノグドリさん。多くの人権擁護団体にも行ってみたが、手がかりは得られなかった。

 これは、ネパールの治安警察に逮捕され、消息が分かっていない数千人のなかのほんの2つの例だ。ネパール国軍(RNA)のなかには人権問題担当の部門があるが、誰もこの部門が何かができるとは思っていない。しかし、担当部長はこうした疑惑を否定する。

 B.A.クマル・シャルマ部長は、RNAは人権法を尊重しており、政府は治安警察によって逮捕された人の名前のリストを発表した、と述べた。

 しかし、NHRCの広報官ビマリバブバブ・カトリ氏は、公表された政府のリストに入っている人よりも多くの人が消息を失っている、と見ている。このリストには、すでに殺された人、あるいは解放された人の名前しか載っていない。カトリ氏は、多くの人が強制的に拘束され、軍のバラックで拷問を受けていると見ている。政府や治安軍に対し、基本的人権を尊重するように、と呼びかけた。

 消息を絶った家族がいる人々は、いまだに何が起きたのかを知りたがっている。政府側にもマオイスト側にも責任がある。ネパール政府は多くの国際的な人権法に署名をしてきたが、1996年に始まった、マオイストたちによる暴動に関してはこうした法律を適用することに失敗している。

 マオイストたちが政権に参加することになった今、失踪をとめるべきときが来たのではないか? 政府側もマオイスト側も、全員が何がどうなったのかを告白するときではないか? 両者ともに前進し、過去を忘れたがっている。失踪者を持つ家族もそうすることができるように政府やマオイスト側が助けられたら、どんなにいいだろうか。

オーマイニュース英語版から〔11月8日掲載〕)

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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共産主義者は貧乏人を食い物にします。ネパールのGDPが少しでも上向けばその分だけ共産主義者(マオイスト)の影響力が小さくなると思いますのでがんばって豊かな国になってほしいと心から願います。