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ケーキよりもごちそうなもの

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003032

忙しい父との大切な時間
S中 K織
2006-11-10 22:49

今日は父とある場所で人に会う用事があった。

終わった後、
「お茶するか」
と言う事で、近くのホテルの喫茶店に入った。

でも父は「六時に東京駅で、ええ」
という用件の電話をしている。

今はもう5時半だ。

「何時にここ出る?」
と聞くと

「40分には出るよ」

と言う。

あと10分しかないけど、
父にとっては大切な時間なのだろう。

「ケーキでも何か食べなさい」

と、父はメニューを広げてにこっとしている。

おなかは空いていなかったが、

ミルフィーユを頼んだ。

これがまた、普通のケーキの2倍くらいの巨大ケーキだった。
でもおいしかった。

「おいしい!」

と言うと、父は嬉しそうににっこり。


昔もこんな事がよくあった。

帰りが遅い父が、子供のためにできる事は
私の大好きなケーキを買ってくることだった。

「わーい!!ありがとう!」

と喜ぶのだが、
夜のケーキは禁物。
でも、父がせっかく買ってくれたから食べたい。

その葛藤の末、結局父に喜んでもらう選択肢をとる。

次の日の朝は、また父は早いから
私がケーキを食べるのを父が見れるのがその夜しかないのだ。

私は
明日、食事減らせばいっか・・
と考えながらケーキをほおばる。

父は「おいしいか?」と嬉しそう。

うん、この笑顔のためなら
多少太っても全然問題ない。

それが、当時、私が父にできる精一杯の親子のコミュニケーションだったのだ。

今日の10分間だって、
大した会話はしなかった。

でも私はこういう時間が大切だと思っている。
父の、
忙しい中でもコミュニケーションをとろうとしているその気持ちを知ること、
そして私と会話している時の嬉しそうな顔が

どんなケーキの味よりも私にとってごちそうなのだ。


ちょっと不器用で、忙しい父と
会えない時間を埋めるケーキの時間は
私が何歳になっても大切にしたいな。

と思う。

オーマイニュース(日本版)より

個人の日記です。

『孝行をしたい時に親はなし』と昔から言いますし、できる時に親孝行はしておいたほうがよいと思います。