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映画『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003259

若さへの惜別
I川 M之
2006-11-24 07:30

【画像省略】
(C)2006『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』製作委員会 シネマライズほかにて全国公開中

 磯山晶、宮藤官九郎、金子文紀トリオの代表作となっているテレビ番組完結編の観客動員が好調であるということだ。

 映画化が話題となった前作「日本シリーズ」は、単なるテレビの拡大版で、ストーリーも荒唐無稽、ただの内輪話にとどまっていたように思う。しかし本作は、話の展開に取り散らかすところもなく、シリーズそのものにきちんとケリをつけようとの思いがよく現れた、深みのある仕上がりになった。

 作品の下敷きにされた『フィールド・オブ・ドリームス』は、登場人物たちの様々な心残りを乗越えるハートウォーミング・ストーリーだったが、本作は、痛快感とともに惜春の情とも言うべきほろ苦さが全編の基調となっている。

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(C)2006『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』製作委員会 シネマライズほかにて全国公開中

 誰もが破天荒な若さとは、どこかで訣別しなければならない。いつまでもそればかりを懐かしみ、ひきずっていては、いつになっても大人になれないからだ。ただ、そのことを真正面から表現するのは照れくさい。声高に叫んだりするのではなく、ため息をつくように「バイバイ」と呟くのが、いまの時代の気分に最も似つかわしい。そんなメッセージがひしひしと伝わってくる。

 『フィールド・オブ・ドリームス』では、かつて一世を風靡した老作家が(原作ではサリンジャー)、ケビン・コスナー扮する主人公に、彼がトウモロコシ畑をつぶして作った球場を「ここには子どもの頃に確かに持っていた気持ちが懐かしく思い出させるものがある」と評し、「だからこそやがて多くの人がそれを求めて集まってくるだろう」と予言する。

 『木更津キャッツアイ』も、その球場と同じく若さを象徴する懐かしい場所だった。虚構を面白がるコアな愛好者たちに支えられ、作品の気分はずっと継承されつづけてきていた。しかし、作者トリオも岡田准一をはじめとする出演者たちも十分そのことを踏まえつつ、「いつかはそうした無邪気さを充溢させたシリーズに別れを告げなければならない」と頃合いを見計らっていたことだろう。

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(C)2006『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』製作委員会 シネマライズほかにて全国公開中

 幼なじみの仲間たちと集い、ビールを飲み、野球と戯言に明け暮れる。ただそれだけの話なのに、多くが共感し、町の活性化をも実現はしたものの、それは若さと同じく永遠に続く主題ではないからだ。
 
 祝祭の終幕をはっきりと告げた見事な完結編ではあるが、このお祭り騒ぎを楽しむためには、ここまで継承されていた気分を事前に知っておかないと「バイバイ」の重さを楽しみ、ほろ苦さを十分に味わうことはできないので、要注意。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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元となったテレビドラマを見ていません。なのでWOWOWでやっていてもたぶん見ません。ベースとして使われた『フィールド・オブ・ドリームス』は観ました。アメリカ人でメジャーリーグのファンならもっと楽しめる映画なのかなと思いました。

万人に受ける作品はないでしょうし、単に巡り合わせの問題かな。元のテレビドラマを見ていたら映画館に足を運んでいたかもしれません。