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無料巡回バスから眺める都心

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003168

大都市が抱える性(さが)を乗り越えるものはあるか
H本 M樹
2006-11-19 12:15

 現在、高層ビル建築が進む東京駅近辺。駅を挟んで、東に八重洲、日本橋、西に丸の内、大手町が広がります。

 この街並みの違いは、つくづく面白いですね。

 丸の内サイドは、企業群が入る大きなビルが立ち並び、整然とした印象。駅もレンガ造りの立派なもの。昔は、東京駅の改札は丸の内側だけだったそうです。

 一方の八重洲側は、小さなビルと大きなビル、個人店などが共存し、雑然とした雰囲気。どちらもそれぞれの味があります。

 この両エリアでは、「丸の内シャトル」、「メトロリンク日本橋」という名称で、無料巡回バスを走らせています。地元の企業や店舗の協賛を募り、地域活性の足として、無料で展開しているもの。通常、コミュニティバスというと、居住地と駅などを結ぶものが主ですが、この巡回バスは、これら都心のさまざまなビル、施設を結んでいます。その両方に乗ってみました。

【画像省略】
丸の内シャトル。15分間隔で、1周30分ほどかけて走る
撮影者:H本M樹

 有楽町駅近くから大手町駅北側を左回りに結ぶ丸の内シャトルは、東京駅丸の内口や皇居のお堀近くなど、天気のよい日はいい眺めも多いですね。コンクリートジャングルな感のあるエリアもありますが……。丸の内、大手町エリアは企業が多く、乗客もビジネス利用が多いようです。

 京橋、宝町から日本橋を通って新日本橋駅を、8の字+アルファで結ぶメトロリンク日本橋は、大小さまざまなビルが立ち並ぶ道をすり抜けていく印象。東海道など五街道の起点である日本橋も、さらっと通ります。こちらのエリアは、三越、高島屋などがあり、各方面の地下鉄駅ともつながっているため、ビジネス客だけでなく、買い物に利用する人が多い雰囲気でした。

【画像省略】
メトロリンク日本橋が、日本橋の上を走る。10分間隔で走る。上は高速道路
撮影者:H本M樹

 もともと需要があったエリアで、かつ近距離の縦横への展開が求められる地域でもあり、利用者にとって非常に有用なサービスといえます。しかし、バスの背面に名前を載せ、車内CMや車内にパンフレットを置く協賛者が受ける恩恵は、一様ではないのでしょう。

 低公害、低騒音、低床をうたった、日の丸自動車のタービンEVバスの車両導入費用は4000万から5000万円が相場とか。協賛金は1口25万円(1カ月当たり)というから、丸の内側に多くある大手企業はそれほどきつくもないでしょうが、日本橋エリアの商店などにとっては、協力するのもなかなか大変なのではないでしょうか。「町内会」のお付き合いの延長、という性格の地域貢献と言えなくもないですが。

 しかし、隣接する地域がひとつの目的でうまく連携する手法として、非常にいいものと言えます。にぎわいは町単位ではなく、広がってこそより価値があるものなのですから。

 今回乗ってみて、筆者としては、丸の内エリアと八重洲エリアを結ぶようなコミュニティバスが欲しいと強く感じました。ここの東西移動が、意外に遠かったりするのです。丸の内側は、千代田区と三菱地所、日本橋側が中央区と三井不動産というように、管理行政区分やエリアに強いデベロッパーも違い、地域の色合いが違いすぎるのですが、だからこそ、地域を含めた関係者にはぜひ連携を模索してもらいたいと思います。

 それにしても……東京駅に近いエリアにはどんどんと高層ビルができ上がってきました。両エリアとも、まだ工事中の大きなビルが見られ、工事の囲いの殺風景さは少々残念な感じがします。また、日本橋や日本橋川の上には、高速道路が走り、橋や川の雰囲気が暗く、これがあの「お江戸日本橋七つだち」として名高い場所か、と思うと、切なさが身体を駆け巡ります。バスの車窓から見上げる空がどんどん四角く、狭くなってきているのは、大都市TOKYOの負わされた性(さが)なのでしょうか。そろそろ、欲求を最大化するための高度化以外の街づくり哲学が、重要とされる時代になってきているのかもしれません。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは2件。

2 ヒラポン 11/20 11:31
ご意見、ありがとうございます!

そうですね。おっしゃるとおりの「どのエリアは高層化が必要」などの議論がないまま、あっちもこっちも、という状況が、問題なんだと思います。哀のマークは、都市づくりの観点のない行政へのお気持ちの表れだと感じました。

その観点から、鋭い指摘、ありがとうございました!

1 タックスペイヤータント 11/20 00:08
丸の内エリアや八重洲エリアのような正に都心そのものが高度化するのは
都市機能として止むを得ないと思うのですが、、、。
例えば、世田谷の三軒茶屋や用賀には都市計画の立場から見ると超高層ビルは必要なものと思えない。つまり、超高層を認めるゾーンはもっともっと少なくてよいだろう。都心と限られた副都心だけに超高層ゾーンを認めて、他は制限したほうがいいと思う。


両サービスとも多くの協賛企業に支えられて成り立っていますね。人の流れを呼び込む効果は大いにありそうなので今でも運行されているということなのでしょう。東京の地理に疎いわたしでもいくつか知った地名があるので、観光がてら東京に行くって人も多いんだろうと思いました。

人に酔いそうですが。