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文字で溢れる最近の「美術館」

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002177

親切な詳しい解説、でも意外と邪魔
I澤 K人
2006-10-12 07:46

 最近の美術館には、大変親切なことに「盛りだくさんの解説」がついている。たとえば、「創作の過程における未知の真実が、最新の技術を用いて今回初めて明らかになった」とか、「その時代背景に関しての知られざる事実」など、詳細に記載された解説ボードが、展示作品のすぐ隣にある。

 先日訪れた東京・丸の内の「出光美術館」での「風神雷神図屏風」展も同様であった。俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一の手による3作品が一堂に会し、見るものに圧倒的な迫力を感じさせる、すばらしい展覧会であった。そして、琳派芸術の伝統と創造の秘密に迫りうる、さまざまな解説も事細かく展示され、成程と感心し帰路についた。

 しかし、どうも満たされない何かを感じずにはいられない。それは、一体なんであろう?その少し前に東京国立博物館で行なわれた「若冲と江戸絵画展」の時もそう思った。

 あの展覧会を観た人は、たぶんすごく博学になったはずだ。ある程度の予備知識を持って作品に対峙するのと、まったくなんの背景も知らずにただ観るのでは、作品の認識に大きな差が出ることは言うまでもない。

 しかし、余分な知識は、自分の感性に対して必ずしもプラスとはならないこともある。俵屋宗達が描いた「風神雷神図屏風」の存在と「琳派の流れ」は、関係があるようでまったく無関係だと私は思う。その作品の存在そのものが重要なのであって、歴史的背景や作品の制作過程の秘話などとは無縁な、芸術性だけを感性としてとらえたい時もある。先入観なしに、作品の本質的な価値を見いだすことが大切である。

 だったら、解説ボードなんて読まなければいい、でも、そこにあれば目に留まるし、悲しいかな!読まないと損した気分にもなる。最近は、有料の「音声ガイド」までついている展覧会も多い。

 親切なことは大いに結構だけど、「言葉に溢れていない静かな美術館も恋しい」と思うのは、自分だけだろうか。

オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは3件。

3 monkey 10/12 14:57
記者の言わんとするところは分からなくも無いのですが、
宗達・光琳・抱一の「風神雷神図」を展示した趣旨や背景の説明は必要だと思います。
>しかし、余分な知識は、自分の感性に対して必ずしもプラスとはならないこともある。
そうなのですか?私が好きなのは抱一の「風神雷神図」です。(知識があろうが無かろうが)

2 yonemura 10/12 11:18
入り口で解説パンフレットを渡すところもありますね。

1 キックアズ 10/12 09:22
おいらは正直ハナクソが展示してあってもそれが美術館なら無価値であることを見抜く眼力がない人間なんでね。

資料的価値を見出せる解説をありがたく思う。


ただ美術品が展示してあるだけだと、わたしなら「上手だな」「面白いな」くらいしか感じないと思います。その作品の制作された時代背景とか作者の考えとかが解説されているなら迷わず読みます。

この方の動画を毎回楽しく視聴しています。解説やらこぼれ話はあったほうがいいですね。