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お湯の出る井戸(2)

引用元URL:引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/HotIssue.aspx?news_id=000000000575

52.6℃の井戸水 【地震・震災特集】
記者名 上久保 廣信

 「お湯の出る井戸(1)」で報告したような浅井戸から“お湯”が出た現象が他の場所でも起きているのではないかと考えるのは自然なことだった。人もお金も限られている私たちがこの現象をじっくりと探求していくためには、温度計をやみくもに設置するわけにもいかない。そこで、これまでにお湯が出た可能性がある焼津市立港小学校へ温度計の設置をお願いすることにした。港小学校は、大富小学校から海寄りに3kmほど東に位置している。私は測定の準備を整えて、浅井戸をふさいでいるマンホール内に測定器を設置した。温度計は10分間隔で自動的に測定し、データは測定器に記録されるようになっている。

 2004年8月になって、港小学校での初めてのデータ回収の日がやってきた。どんな水温変化があるのだろうかと考えながら浅井戸をふさぐマンホールのふたを開けてみた。すると、測定器を納めたコンテナボックスは土をかぶったように汚れており、計測器を収めたボックスからは水がこぼれている。測定器を収納したボックスが、地上近くまで大きく上昇した水位によって水没していたのだ。測定器は壊れて水温のデータを失ってしまった。しかし、この井戸の水位が大きく変動していることが分かる。壊れた測定器を交換して後のデータ回収を待つことにした。

 港小での計測が軌道にのってしばらくした2004年12月23日14時、これまで18.4℃で推移していた水温がみるみる上がり始めた。1時間におよそ1℃のペースで上昇し26日の午前9時には35.1℃を記録していた。水温の異常はそれだけではなかった。

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温度測定器を井戸から引き上げると、その場でパソコンに取り込み温度推移などのデータを確認する。(2006年8月9日撮影)
撮影者:堀 信

 その後、温度は16℃まで下げたが、10日から1カ月の間隔をおいて4℃から7℃ほどの水温上昇を7回ほど繰り返した。ついに2005年7月31日から、5日間連続して水温が上昇し続け8月5日には52.6℃に達していた。

 井戸の水温を26℃も上げる熱源は何か。人工的な要因も視野に入れてながら検討しているが、現在のところ人工的な要因は見つかっていない。地下の深部からの熱水の上昇に伴う現象と考えるなら、そのメカニズムを探る上でもさらに継続したデータの蓄積が必要である。(「お湯の出る井戸(3)」に続く)

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2006-09-02 13:20

※引用文中【画像省略】は筆者が附記
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