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テレコム・イタリアの黒幕~桜井春彦コラム

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000002158

桜井春彦
2006-10-12 07:25

 9月下旬、イタリアで最大手の通信会社、テレコム・イタリアの保安部長ジュリアーノ・タバロリらが「情報の不法入手」などの容疑で逮捕された。2003年にミラノでエジプト人、オサマ・ムスタファ・ハッサン・ナスルが拉致された事件と背後で結びついているだけでなく、1980年代に発覚した「P2スキャンダル」との関係も指摘されている。

 タバロリはカラビニエーレ(国防省に所属する特殊警察)に所属していたことがあり、SISMI(対外情報機関)の防諜部門を指揮していたマルコ・マンチーニと親密な関係にあった。マンチーニはナスル拉致に絡み、7月上旬に逮捕されている。

 この拉致はCIA(米中央情報局)とSISMIのエージェントで編成された特殊部隊が実行したとされている。部隊の動きを追うため、ミラノ地検は携帯電話の記録を調査し、通話の中心にCIAのミラノ支局長ロバート・セルドン・レディがいることを突き止めた。

 SISMIと連携していることを過信したのか、個人のクレジット・カードを使用するなど、拉致部隊は実行犯を特定できる証拠を残していたようだ。拉致計画の立案者がCIAローマ支局長のジェフ・カステーリだということも判明している。

 実は、マンチーニが逮捕された後、7月下旬にテレコム・イタリアの関係者が「自殺」している。検察側の要請で携帯電話の通話記録を調査していたアダモ・ボベがその人物。盗聴に関する専門家で、彼の上司についても調べていた。

 ところで、拉致が実行されたのはシルビオ・ベルルスコーニ首相の時代である。政府も情報機関も拉致について知らなかったとベルルスコーニ自身は弁明してきたが、検察側はこの説明を否定した形だ。

 ベルルスコーニの経歴は興味深い。1990年、ベネチアの控訴裁判所はこの人物が1978年に秘密結社P2に入会していることを認めているのだ。この結社は「国家内国家」とも呼ばれているが、上部団体が「汚い仕事」をさせるために創設した実行部隊にすぎないとする人もいる。

 ともかく、P2は1980年のボローニャ駅爆破を含む一連の爆破事件やクーデター計画に関係していたと信じられている。つまり、NATOの極秘部隊「グラディオ」が実行したとされている事件に関与していた疑いが濃厚ということだ。1970年代に発覚したバチカン銀行を舞台にした金融スキャンダルでもP2は重要な役割を演じた。

 テレコム・イタリアの事件では、同社とSISMIとの関係が注目されているが、情報機関と巨大企業との結びつきは珍しくない。アメリカはその典型例で、アレン・ダレスなどCIAで破壊工作を指揮してきた人物の多くはウォール街の弁護士。最初から大企業と結びついている。インターネットの時代に情報機関がコンピュータ関連企業や通信会社と結びつくのも自然な流れ。コンピュータ・ソフト、例えば、あるOSに「秘密の合鍵」が組み込まれていると指摘する専門家は少なくない。テレコム・イタリアとSISMIが協力関係にあっても不思議ではないのだ。

 皮肉なことだが、CIAやNSA(米国家安全保障局)を擁するアメリカも「規制緩和」の影響で、通信情報が漏れ出ている可能性がある。2001年12月に放送されたFOXニュースによると、アメリカのほぼすべての通話に関する記録を保有しているイスラエル系の会社、アムドクス社をFBIは捜査しているのだ。会社側は情報の漏洩を否定しているが、通話記録が情報機関や犯罪組織に流れた疑いがあると伝えられている。ちなみに、アムドクス社は1997年、ホワイトハウスの新しい電話回線を設置する工事にも関係していた。

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桜井春彦(さくらい・はるひこ) 調査ジャーナリスト。早稲田大学理工学部卒。ロッキード事件の発覚を機に権力犯罪を調べ始める。1980年代半ばには大韓航空007便事件や大証券の不正をリサーチ。『軍事研究』誌で米情報機関のレポートを執筆。『世界』誌ではブッシュ政権の実態を発表。著書に『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房)がある。桜井ジャーナルでも「非公式情報」を発信中。
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オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは2件。1件は自己削除されましたのでシステム上は1件です。

1 ネコヤナギ 10/13 03:01
秘密結社P2、カラビニエーレ、CIA、SISMI、グラディオ、テレコム・イタリア、アムドクス社...
いったい、この記事は何を伝えたいのだろう?


政府の秘密機関が裏の世界で暗躍する、007の世界みたいでかっこいいじゃん。こういう記事は面白くてスキですよ。ロシア軍のサイバー関連担当部署は米国の大統領選にもちょっかいを出してきたことで知られていますが、現時点ではその頃の統率は維持できていないみたいですね。画面の向こう側にいるのが人間であるかぎりやりようはいろいろあるということです。

まぁこんなことを書くと反社会的な行為になってしまうのでしょうが、「核兵器の使用をちらつかせて世界を脅迫した」プーチン大統領と彼が率いるロシアおよびロシア軍は、当然自らの起こした行動に見合うだけの報いを受けても仕方ないですよね。ノーリスクハイリターンは許されません。ここは公平に当然の報いを受けていただきましょうw 権利?ありますよ。文字通りの意味で世界中の人々を第三次世界大戦の瀬戸際に立たせたのですから、世界中の個々人にプーチン大統領に報いを受けてもらう権利は発生しています。

まぁわたしはロシア軍所属の軍人さんの名前なんて全然興味ないですけど。

どこかの国はすでにわたしたちにケンカを売ってきてるみたいですよw