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【映画】『父親たちの星条旗』充溢するイーストウッドの気合い

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002753

正攻法の第一級作品
I川 M之
2006-10-31 07:27

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(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC

 重い映画である。戦後61年が経過して、なお歴史の真相を白日の下にさらそうとする作品を生み出せるところにハリウッド映画の底力を看取しないではいられない。しかし、それ以上に、76歳にしてこれほど普遍性に満ちあふれた映画を世界に問うクリント・イーストウッドの気合いに、まずもって感服させられる。

 太平洋戦争末期の硫黄島決戦にあっての「戦闘中の高雅な瞬間」(*)の真相を明らかにして全米ベストラーとなった原作の映画化権を獲得したスピルバーグが、監督をイーストウッドに任せたことが本作の成功の最大の要因だろう。『プライベート・ライアン』でノルマンディー上陸作戦の裏側にあった個人史をあぶり出したスピルバーグではあるが、彼がこの作品のメガフォンを取っていたら、二番煎じにもなりかねず、描き出される人間像は、おそらく本作ほど深いものにはならなかった。

 一昨年度のアカデミー賞主要部門を独占した『ミリオンダラー・ベイビー』が醸し出していたような悲痛に伴う抒情は抑制されている。それゆえ観る者は、戦闘の悲惨と無意味さになんの飾りもなく向き合わされ、戦争そのものの在りようや、歴史がほとんどの場合恣意的に作り出されて行くという普遍的属性について熟考させられる。いきおい近時のイラク戦争で全米を騒然とさせた19歳の女性兵士ジェシカ・リンチをめぐっての顛末なども重ね合わさずにはいられない構えなのである。

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イーストウッド監督(10月10日撮影、ロイター)

 無論それも監督や脚本(ポール・ハギスほか)の明瞭な意図が働いてのことなのだろう。そうした連想もあって、冒頭で静かに語られる、ひとつの事象を善か悪かといった二項対立の図式化された安易な捉え方で判断しようとすることの浅薄さへの警鐘が重みを有することとなる。そして、その響きは、あたかも通奏低音のように終幕まで鳴り続け、真実に辿り着くことの困難さが痛切に胸内で響き渡ることとなるのである。

 クリント・イーストウッドの良心が全篇を貫く、正攻法の第1級作品である。エンドタイトル後に、同じ状況を栗林忠道中将指揮する日本軍側から描く『硫黄島からの手紙』が紹介されるが、それとの2作による重層性も大いに期待できる。

(ワーナー・ブラザーズ映画配給、10月28日から全国松竹・東急系で上映中)

*『硫黄島の星条旗』ジェイムズ・ブラッドリー/ロン・パワーズ、島田三蔵訳(文春文庫)

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは3件。

3 scott 11/02 13:38
>描き出される人間像は、おそらく本作ほど深いものにはならなかった。
本作の最大の欠点は、その人間像の描写の浅さに尽きると思うのですが。
登場人物の誰にも感情移入できず、自分としては、あまり出来のいい映画とは思えませんでした。
構成も技巧に走りすぎのように感じました。

ただ、この映画を作ったことは評価します。
本作はクリント・イーストウッドなりのイラク戦争への回答なのでしょう。

1 yonemura 10/31 12:26
>その響きは、あたかも通奏低音のように終幕まで鳴り続け、真実に辿り着くことの困難さが痛切に胸内で響き渡ることとなるのである。

よけいな修辞は言葉の意味を軽くしますよ。
リアリティ溢れる戦場描写が素晴らしい作品でした。
「硫黄島からの手紙」は、ちょっと門切り型の日本人描写が目立ち、取材不足を感じましたね。この作品ほどには期待できそうにないのが残念です。


WOWOWでやっていたら観ようと思います。(定形感想文)

太平洋戦争における当時の日本の立場やら何やらを検証して同じ過ちを繰り返さないよう反省することは必要だとは思いますが、現在の日本を貶めるために虚偽のプロパガンダを喧伝するのはダメでしょう。ひと昔前なら中帰連とか赤旗(日本共産党の機関誌)での731部隊の人体実験記事だとか。書籍化された森村誠一氏の『悪魔の飽食』はノンフィクションだと宣伝されていたりしましたわな。今もアレが事実だと宣伝している新聞社もありますね。

ちなみにわたしも当時赤旗日曜版(最終面の1つ前のページ)の731部隊の記事を直接読んでいますので、掲載していなかったなんてことは言わせませんよ。要は中国共産党の「南京大虐殺30万人説」と同じプロパガンダに日本共産党が乗っかって日本を貶めていたということ。いや、時系列からすると逆か。日本共産党が率先して日本を貶めていたのを中国共産党が利用したってことですね。原因を作った主犯は日本共産党です

同じように嘘であることがバレた事案に「いわゆる従軍慰安婦問題」があります。

捏造記事でおなじみの朝日新聞社で、現在はネットが当たり前の時代なので「またか」と思う程度でしょうが、インターネットが広く普及する前は情報共有の手段なんて限られていましたし、報道機関(新聞社)の捏造記事も他の報道機関(新聞社)によって指摘されなければ広く周知されることはありませんでした。

話を戻すと、嘘であることがバレた「いわゆる従軍慰安婦」をいまだにプロパガンダに使用している団体に「正義連」があります。本人たちの主張は以下。

ざっくり解説をつけると、「正義連」は「旧挺対協」であり、親北朝鮮の団体ということです。

当事者である「いわゆる従軍慰安婦(ジープで運ばれたと証言)」に支援金を渡さずポッケナイナイする団体だと明らかにされました

あれ? 正義連と同様に、シャブでキメセクしたシャブ牧師が代表をつとめる団体(施設内で薬物注射に使用されたとみられる注射器が見つかった)に保護されているはずの少女たちを心配する声が全くあがらない団体をつい最近見かけたような気がします。

これさ、まず施設に保護されているであろう少女たちを心配するメッセージを出すほうが先なんじゃないの? お里が知れるツイートを見て逆に安心しました。

日本共産党と強いつながりのある仁藤夢乃氏はリツイートばかりでご本人のメッセージを出しておられませんね。あれだけ多弁な方がどうなさったのでしょうか。心配です。

あぁ、暇な空白(暇空茜)氏はやっと本丸に手をつけることができるみたいですね。