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超学歴社会・中国でニセ留学生続出?!

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003315

人生を分ける大学入試
Y山D樹
2006-11-24 06:38

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(写真はイメージ、ロイター)

 中国の「名門」大学に通う、ある“外国人留学生”は、中国語は完璧で、肌の色は中国人学生と何ら変わりない。でも、実は彼はニセ留学生だった──。こんな事件が中国の各都市で頻発している。新華社通信が伝えた。

 中国では大学への入学試験として「高考」(ガオカオ)と呼ばれる全国一律の試験を課す。日本で言えば大学入試センター試験(古くは共通一次)といったところだが、試験は完全一発勝負だ。6月に行われるこの試験で実力が発揮できなければすべては水の泡となる。中国ではこのテストの結果を大学願書に記入して、合格発表を待つという仕組みなのだ。

 さて、この事件のことの次第は次のようである。この“ニセ留学生”は高考に失敗した。浪人する手もあるが、彼は実家にちょっとばかり財産があるので禁じ手を使った。

 ある仲介業者を通じて、いったん国外(中国人が比較的出国しやすいタイやフィピンが多い)に出て、その業者の手で現地のパスポートと中国入国ビザを作成する。そして、“外国人留学生”の身分で中国に入学するのだ。

 留学生の大学入試は高考とは別枠で行われ、比較的ハードルが低い。彼らは氏名も偽名を使って中国の名門大の門をくぐる。この“留学”が終わったら、何らかの理由を説明して、卒業証書の氏名を本名に変更する。これで「名門大卒業生」の出来上がりだ。このための費用は20万元(日本円で300万円)とされる。相当に裕福な家庭でないと、とても払えない額である。

 だが、その後の調べにより、このようなニセ留学生は北京や上海を始め、広東や江西、浙江の各省でも発見され、全国的な仲介組織が暗躍していることが明らかになった。

 では、なぜここまでして大学に入らねばならないのか。中国は今、超学歴社会である。中国の大学統一入試試験「高考」の失敗は、日本で考えられないほど人生への痛手となる。だから、試験の当日の試験会場周辺では、一切の工事などが中止され、物音を立てないよう気を配る。試験に遅れかけた受験生をパトカーで会場まで送るなどということも決して冗談ではないのだ。

 必然的に彼らの受験戦争は激烈なものとなる。山東省に住む知人の息子さんを例にとってご紹介しよう。

 中国の子どもたちは、中学校(中国では初中学校という)に入った瞬間から大学入試に向けての“戦い”が始まる。中学生の彼は毎朝5時起床だ。支度を済ませて、6時半には学校に到着し、自習を始める。7時半に1時間目が始まり、12時まで授業がある。1時間の休憩をはさんで、また授業が始まり、夕方5時までぎっしり勉強漬けである。

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(写真はイメージ、ロイター)

 高校に入ると、この状況は激化する。夕方5時に授業が終わったあと、夜10時から11時ごろまで教師が教室にいる状態での“自習”が行われる。そんな生活を中高6年間続けるのだ。だから、日本のように「部活に汗を流す高校時代」など考えられない。それもこれもすべて「高考」のためなのであり、だから、試験当日は周りがそれほど神経質になるというわけだ。

 そこまでして、大学入試に“命をかけ”なければならない理由は何なのか。今年の大学入試の受験生は全国で950万人だ。だが、4年制大学、いわゆる「本科」といわれる大学の募集定員は260万人という狭き門だ。加えて4年後の就職のことを考えると、全国に95しかない「重点大学」に入れるかどうかが人生を決めることになる。今年、就職活動を経験した学生によると、中国の大企業では「北京・清華・復旦大学以外は履歴書さえも受け付けない」というところがいくつか見られた。つまり、いくつかの「重点大学」を除いては、就職が極めて難しいのが現実なのである。就職セミナーに数万人の学生が列を作る壮絶な光景は、春先に何度もメディアに取り上げられ、われわれを驚かせた。

 加えて、今年の大学新卒者の初任給は平均月1000元(1万5000円)で、あまりの少なさが社会問題となっているが、この入試に万が一失敗すれば、このわずかな給料でさえ得ることができず、食いはぐれてしまう。そして、いわゆる単純労働に従事することになれば平均600元ほど(約9000円)という給与に甘んじなければならない。つまり、日本以上に、大学に入れるかどうかがその後の生活スタイルに影響を及ぼすのだ。

 今回の事件は、そんな学歴社会や大学入試偏重主義が生んだものといえるだろう。ただし今回発見されたニセ留学生はすべて退学処分となり、払った300万円も水の泡となった。その払った代償はあまりにも大きかった。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは1件。

1 花京院 11/24 10:33
そいうえば知り合いの中国人の人、数人が中学、高校と部活というものがなかったと言ってました。


科挙の国ですから、の一言で済まされます。それよりも中国共産党員になれるかどうかのほうが、中国ではその後の人生に大きく関わってくるような気がしますが、たぶん気のせいですね。