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「MMOアクション」という新ジャンルで挑む

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002842

オンラインゲームの光と影(5)
S井H晶
2006-11-03 12:04

 第1回の記事のとおり、年間100を超えるタイトルが登場し、たくさんのプレイヤーが楽しんでいるオンラインゲーム。その中でも多数のプレイヤーが同時に楽しめるFPS(一人称視点シューティングゲーム)、RTS(リアルタイムストラテジー)、MMO(大規模多人数同時参加型オンライン)RPGの人気が高く、発売されるタイトルのほとんどがそれらのジャンルになっている。

 そんな中、歴史シミュレーションゲームなどで有名なコーエーと、オンラインゲームの企画・運営などを行うELEVEN-UP(イレブンアップ)が協力した「真・三國無双BB」は、MMOアクションというこれまでのオンラインゲームではなかった(※厳密にいうと、ないわけではなく、ストラテジー=戦略要素を持たせたものはある)MMOと本格アクションを融合させた新ジャンルの作品でサービスを開始した。

 そこで今回は、「真・三國無双BB」の開発元であるコーエーと、運営会社であるELEVEN-UPに、本作についてお話をうかがった。

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プレイヤーは、曹操や劉備といった、三国志の有名武将の勢力に属し、仲間のプレイヤーと共に勢力拡大のため合戦を重ねていく。操作する武将は、性別や容姿をカスタマイズでき、また武器や防具も変更できるなど、プレイヤーの分身として活躍させられるのが楽しい
(C)KOEI Co.,Ltd. All rights reserved. Presented by ELEVEN-UP Inc.

--「真・三國双BB」の概要についてお聞かせください。

ELEVEN-UP 「『真・三國無双BB』は、家庭用ゲームでミリオンヒットを続けている最高のアクションゲーム『真・三國無双』をベースにしたオンラインゲームです。本作は、シリーズ最大の魅力である一騎当千の爽快アクションを、オンライン上で多人数のプレイヤーが参加して体験することのできる一騎当千MMO(多人数同時参加型)アクションゲームとなっています。プレイヤーは1人の武将となり、さまざまな人々とふれあい、そして激しい戦闘を繰り返しながら、三国志の歴史を自らの力で創っていくことになります」

--本作はプレイヤーが、魏・呉・蜀といった勢力に所属して、敵勢力と争うシステムですが、企画当初からこの方式だったのでしょうか?

コーエー 「企画立案当初からこのアイデアを柱に考えていました。『無双』シリーズをオンライン化する際、世界観の表現やコミュニティの実現というのを考慮した際にオンラインならではの要素になり得ると思ったからです」

--勢力はプレイヤーの所属数が多い国が有利でしょうか?

コーエー 「やはり少ないよりは多い方が有利な面が多いです。しかし、それだけですべてが決まるわけではありません。どの都市を押さえているか、国力はどうなのかなど、複数の要素によって情勢は推移していくことになると思います」

--すでに熟練プレイヤーが誕生し始めているようですが、これから初心者が参加しても楽しめるでしょうか?

コーエー 「スタッフも驚くような熟練プレイヤーがどんどん増えているのはうれしい限りです。しかし初めての方がこれから入っても楽しめる要素は十分に用意しています。初心者推奨の『新参』というカテゴリもありますし、慣れるまではコンピュータ相手に腕を磨いたり、特務(クエスト)でアイテムなどを集めるといったことも可能です。また、アクションだけがすべてではなく、オンラインならではのコミュニティや世界観に触れることもこのゲームの楽しみのひとつです」

--プレオープンではシステムに制限がありましたが、正式サービスではどのように拡張、進化するのでしょうか?

コーエー 「まず武器や服飾(防具)、ステージ、特務などは定期的に追加していきます。それに加え、副将システムや家の家具配置機能、戦闘ステージのギミックなど、システム面にも追加・改良を加えることでゲーム自体に厚みを持たせていきたいと考えています。その際にはご参加いただいているお客様のご意見・ご要望をできる限り反映させられるように取り組んでいくつもりですので、『真・三國無双BB』の世界にみなさんがいらっしゃるのを楽しみにしています」

--次は本作の開発時のお話についておうかがいします。元々、家庭用ゲームのアクションとして有名な「真・三國無双」をネットゲームで展開しようとした理由、きっかけは何でしょうか?

コーエー 「“一騎当千の爽快感”を味わえる『真・三國無双』シリーズ。これをオンラインでつなぎ、みんなが同じ戦場で戦ったらどんなに面白くなるんだろう? もっと面白くできるんじゃないか? という単純な発想がきっかけです」

--開発時の難点、苦労した(している)部分はなんでしょうか。

コーエー 「“一騎当千の爽快感”を味わうという『無双』シリーズならではのアクション性を、オンラインでも損なうことなく実現することが大変でした」

--Yahoo! BBなど一部のプロバイダ限定となったのは、最初からその方向だったのでしょうか? それとも快適なプレイ環境を求めるため結果的になったのでしょうか?

コーエー 「数百人の兵士が戦場でアクションをするという、『無双』シリーズならではの面白さを実現するにあたり、快適な通信環境を確保する必然性がありました。Yahoo! BB、およびSoftBankブロードバンドサービス回線限定という形にすればインターネットの世界に出ない(いわゆるLAN状態と変わらない)環境を確保しながらも、500万近くの会員の方にプレイしていただけるというメリットがありました。ソフトバンクグループとの共同プロジェクトだったからこそ実現できたゲームだと思っています」

--プロバイダ制限により感じたメリット、またデメリットはなんでしょうか?

ELEVEN-UP 「同一ISP(インターネットサービスプロバイダ)という特長をいかして回線の遅延を最小限にし、ゲームの質を高めるという点で、大きなメリットになりました。逆に、ユーザーを限定してしまうというデメリットもあるわけですが、その点はとても重視しています」

--制限外のプロバイダの人がプレイする機会はあるのでしょうか?

ELEVEN-UP 「他ISPユーザーの方へはネットカフェでのプレイを推奨しています。ならびに機能を限定した『体験版』の配布など、プロバイダのハードルを越えやすくするための施策はいろいろと行っています(ネットカフェで体験できる、体験キャンペーンは10月6日より実施中)」

--「東京ゲームショウ2006」ではオンラインゲームだけでなく、全PCゲームの中でも特に長い行列ができていました。こういったユーザーの反応を見ていかがでしたか?

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今年9月に開催された「東京ゲームショウ2006」。家庭用ゲームとして人気が高い「真・三國無双」のオンライン化ということで、本作のブースには行列ができ、長い待ち時間も発生するほど注目を集めていた。
撮影者:S井H晶

ELEVEN-UP 「想像していた以上に若いお客様が多かったことが驚きましたね。親と一緒にプレイする学生の方だけでなく、若い女性の方もたくさんプレイされていきました。試遊台は、ELEVEN-UPブースで16台、コーエーブースで8台用意したのですが、空きが出るどころか、多いときは最大90分待ちの状態となりました。『真・三國無双』の人気とブランド力を改めて実感できたイベントでした。今までオンラインゲームをやったことがなかった人でもすぐにプレイできたという点や、遊んでいただいたお客様の反応からも、いろいろな意味で可能性が見出せた作品だと再認識いたしました。私たちELEVEN-UPとしましては、このブランドに胡坐(あぐら)をかくのではなく、その名に恥じない運営とサービス+αを提供していきたいと思います」

--先日(10月30日)終了したプレオープンですが、ユーザーの反応はいかがでしたかでしょうか?

ELEVEN-UP 「プレオープンが始まる前は不安もあったのですが、始まってみたら基本的にみなさんに好評で、毎日たくさんの方に戦闘や育成、アイテム集めなどを楽しんでいただいています。早くもランキングの上位争いや、都市の奪い合いが始まっていて、外から見ているだけでも面白いですね」

--最後に、本作はMMOアクションという今までにない作品ですが、オンライン業界の革命児となれるでしょうか? またビジネスモデルとしての自信をお聞かせください。

ELEVEN-UP 「オンラインゲームのビジネスモデルは、まだまだ黎明期にあると思います。まだまだいろんなモデルが出せると思います。本作は、そういう意味で、ビジネスモデルだけでなく、オンラインゲーム、オンラインサービスとしての可能性もたくさん秘めていると感じています」

--ありがとうございました。

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 プレイヤーの操作を、最低限の遅延(※1)で反映させなければならないアクションゲームを、複数のプレイヤーが同時に楽しめるMMOアクションという形で実現した本作。プレオープンをプレイした感想は、アクション部分の完成度においては家庭用ゲーム機と遜色がないもので、また操作もスムーズに反応するなど、コーエーとELEVEN-UPの意気込みを感じ取ることができた。だが、プレオープンでは、バグフィックス(※2)はかなりされたものの、ゲーム内イベントや特務の少なさなど、ゲーム内容に物足りなさを感じた点は否めず、オープン期間に飽きを感じてしまったプレイヤーもいるはずだ。正式サービス開始により多数のシステムが新たに追加されたものの、今後、さらなる仕様の実装が望まれるだろう。MMOアクションというネットゲーム界における新たなビジネスモデル、その可能性を絶やさないためにも、正式サービスが開始された今こそより多くのプレイヤーが楽しめるための環境やサービスをなるべく早く実現してくれることを期待したい。


【用語解説】
※1)遅延……ラグとも言う。プレイヤーの操作に対してゲーム内のキャラクターなどの動きが遅れる、もしくはおかしな状況になること。プレイ人数の集中によるゲームサーバーへの負荷、インターネットの回線状況などいくつかの原因がある。

※2)バグフィックス……プログラムの不具合により、プレイ中に操作や画面がおかしくなる現象を「バグ」と呼ぶ。バグフィックスとはこれらの不具合を修正することを指す。

【関連サイト】
真・三國無双BB
コーエー(GAMECITY)
ELEVEN-UP

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オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは1件。

1 yonemura 11/04 10:59
普通、こういう記事では会社名だけではなく、インタビューした方の名前も書くものですよ。
拒否された場合は別にして。


運営会社や課金方式、プロバイダ制限を変更するなどしてつい最近までサービス提供されていた『真・三國無双Online』ですね。

サービス終了は2022年2月24日。ほぼ1年前です。

終了時のタイトルは『真・三國無双 Online Z』だったようで、なんとなく『モンスターハンターフロンティアZ』を思い出させてくれます。なんだかんだでMHFには100万円近くつぎ込んで遊んだのでサービス終了は寂しいですね。ポカラ丼あたりで団員が続々引退してた時に一緒に引退してれば良かったのかもねぇ。

このモンスターはMHFを遊ばなくなってから実装された個体です。青白いほうのゼルレウスは狩っていて楽しい相手でした。ソロでも討伐できる良い調整がされていたと思います。プレイヤーレベルとしてはルコディオラあたりで限界が来ていたという感覚はありますが、課金兵で底上げされた装備があればなんとかなったのもズルズル遊んでいた原因なのかな、と。

ラヴィは最初の実装で1回行ったきりです。あれは廃人専用コンテンツでしたので、ちょっと無理でした。