日本人指導者よ、メジャーリーグに挑戦せよ! ~二宮清純コラム~ 11 ねなしぐさ はじめ 2022年8月22日 11:41 引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000002627二宮清純2006-10-25 08:06 「日本のプロ野球なんだから、日本のOBにもっとチャンスを与えなくちゃダメだよ。アメリカからばっかり取ってこなくても……」。ある球界の有力OBが不機嫌な表情を浮かべて吐き捨てた。 アストロズやエンゼルスで監督を務めたテリー・コリンズがオリックスの監督に就任したことで、パ・リーグの監督は6人中3人がアメリカ人になった。広島のマーティー・ブラウンも含めると、実に12球団中4球団の監督がアメリカ人である。 先のOBはこの春に行われた野球の国別対抗戦WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が初代王者に輝いた際「もうアメリカから学ぶことは何もない」と発言し、賛否双方から意見が飛び交うきっかけをつくった。 野茂英雄が重い扉をこじ開け、追うようにイチローや松井秀喜が続いた。今季のワールドシリーズは元オリックスの田口壮(カージナルス)の活躍に注目が集まっている。ワールドシリーズに出場して悲願達成となれば、昨季の井口資仁(ホワイトソックス)以来、日本人としては2人目の快挙である。 選手がメジャーリーグでこれだけ活躍しているのだから、指導者も海を渡ればいいではないか、と個人的には思う。言葉の壁を乗り越え、メジャーリーグで実績をつくった日本人指導者が「もうアメリカから学ぶことは何もない」と言うのであれば説得力もあるが、この島国にいて大口を叩くのは、あまり潔い態度とは言えない。 朝青龍が横綱になったからといって、日本に来たこともないモンゴル相撲の関係者から「日本の相撲から学ぶものは何もない」と言われた日には、数多くの日本人が不快に感じるはずだ。伝統を軽く見てはならない。 ひとつ秘話を紹介しよう。88年秋、巨人はアメリカの教育リーグに若手選手たちを参加させた。若手の中にOという選手がいた。 メサの球場でヤングジャイアンツはパドレスの1A、2A連合軍と試合を行った。7回までに9点のリードを奪い、試合の大勢は決した。ここでヤングジャイアンツを率いていたS監督はOに送りバントのサインを出した。 アメリカの野球において、大量リードを奪いながら、さらに追加点を奪うために送りバントを敢行するのは、いわば死者にムチ打つ卑劣な行為である。バットを浅く握り、中腰で構えるOの喉元めがけて、ものすごいストレートが飛んできた。 次の瞬間、Oはもんどり打って地面に倒れ、スタンドは静まり返った。関係者の咄嗟の判断でグラウンドにはヘリコプターが呼ばれ、Oはメサからフェニックスの病院に担ぎ込まれた。 事態は一刻を争う。屋上には医師と看護師が待ち受けており、担架に移しかえられたOはそのまま手術室に運び込まれた。呼吸停止寸前のOの喉元にはパイプを通す穴が開けられ、3時間にも及ぶ手術でOはあやうく一命を取りとめた。葬り去られた日本野球の裏面史である。 ベースボールはアメリカの国技である。国技ゆえにルールブックにはない「Unwritten Rule」(書かれざるルール)が多数存在する。アメリカの国技に挑戦し、頂点を極めんとする勇気ある日本人指導者は現れないものか。日本野球のレベルの高さをぜひ本場で証明してもらいたいと願う。----------------------------------------------------------------------------------------二宮清純(にのみや・せいじゅん):スポーツジャーナリスト。独自の視点でスポーツを斬る「スポーツコミュニケーションズ」編集長。携帯サイト「二宮清純.com」も毎日更新。----------------------------------------------------------------------------------------オーマイニュース(日本版)よりこの記事にコメント欄はありません。わずかに可能性があるとしたら新庄剛志監督(北海道日本ハムファイターズ)くらいじゃないですかね。前提として監督としての実績が必要でしょうが。メジャーリーグで活躍する日本人選手も珍しくなくなりましたが、やっぱり日本の野球とアメリカのベースボールは違うスポーツです。 ダウンロード copy #OhmyNewsJapan 11