見出し画像

「有事」に対する無意味な高揚感

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002422

北朝鮮への措置を考える
O羽 S史
2006-10-16 05:56

北朝鮮制裁決議が安保理全会一致で採択され、アメリカは北朝鮮に対して対決姿勢を強めている。
その上でアメリカは北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査、『臨検』を辞さない構えである。オーストラリアなど対北朝鮮制裁に積極的な国がある一方で、中国や韓国など北朝鮮の隣国は臨検などの具体的措置に消極的である。

日本にもアメリカから臨検などの措置への協力が求められているが、憲法九条の制約があり北朝鮮船舶へ威嚇射撃など武力行使は取れないこともあって、どのように協力できるか、かなり立場が微妙な状況に追いやられている。

それでは日本はどのような対応をとるべきか。

九条があるから具体的な協力はできません、後方支援は頑張ります、とアメリカに言うべきだとぼくは考える。

そもそも具体的措置というならば、アメリカにとって北朝鮮を焦土にするのは赤子の手を捻るより簡単なことだ。
それをしないのはアメリカにそれをする理由がないからである。

いま北朝鮮が崩壊することなど、誰も望んでいないのだ。難民が流入し東アジア経済に悪影響がでることは簡単に予想がつくし、中国の経済に陰りがでるなら日本経済への影響は避けられないだろう。そうすると、芋づる式に世界経済にまで影響が広がっていく。

アメリカですら、イラク一国を抱え込むのに四苦八苦しているわけである。東アジアだけでイラクよりもっと具合の悪い北朝鮮を果たして抱え込めるというのか。

日本国の利益を考えて、臨検への協力体制は消極的にするべきである。そもそも国際法的に考えても、海賊行為や奴隷取引の取り締まりなどが根拠である臨検をすべての船に実施するのは、少々無法である。
子どもではないのだから、ガキ大将に引っ張られてまで無茶に積極的に介入すべきではない。あくまでもスネオ的なポジションを固持するべきだ。

仮にも、自民党の政調会長の口から「核保有の議論が必要だ」などと、議員としての適性を疑われる意見が飛び出した。
唯一の被爆国であるという倫理から考えても、功利的に考えても、どう考えても議論の必要がないほど、核保有というのは最悪の選択肢である。

はっきり言って、失敗が濃厚な核実験とおんぼろのミサイルで有事なんか起こりっこない。
しかし、すわ有事か、という雰囲気の中で誰も彼もそわそわ浮き足立っている。まるでわくわくしているようだ。

今、この国は勇ましくある必要などないのだ。勇ましくあったところで、得なことなど一つもないし、水木しげるが言うとおり、昔、この国が戦争に走った理由はそういった無用な勇ましさであった。
有事への軽い高揚感と無用な勇ましさ、そんなものが今すぐ世の中をどうにかするなんてことはありえない。
しかし、間違った方向であるのは確かだ。
落ち着いて考えてみるべきだ。まず落ち着いて。

オーマイニュース(日本版)より

記者氏の未来予測(失敗が濃厚な核実験とおんぼろのミサイルで有事なんか起こりっこない)が事実上はずれたことは別として、無用な勇ましさは不要だとわたしも思います。必要なのは最悪の事態を招かないための準備を整えることと、最悪の事態が来るかもしれないと覚悟を決めることでしょう。できることからコツコツと積み重ねることが大事かと。

ちなみに北朝鮮のミサイル技術は直接的にはウクライナ由来です。