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経団連のあいつぐ要望

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003357

企業の社会的責任とは何か
下川 悦治
2006-11-29 11:59

■失う残業代は1人当たり114万円■

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御手洗冨士夫・日本経団連会長と奥田碩・前日本経団連会長(ロイター)

 過日、ホワイトカラーエグゼンプションとはという記事を書いたが、管理職と同じようにホワイトカラーには残業代を払わなくても良いという制度「ホワイトカラーエグゼンプション」について、日本経団連は年収400万円以上を対象に予定している。

 報道によると、厚生労働省が導入を検討するホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制の適用除外)が実現した場合、対象となる労働者が失う残業代は年間総額11兆6000億円、1人当たり114万円に上る(全労連系『労働運動総合研究所』=労働総研=の試算、岩手日報2006年11月08日)。

 経団連は他にも様々な要望を出している。たとえば御手洗経団連会長は、「偽装請負」に対して、所属のキヤノンも指導されたせいか、10月13日の「第22回経済財政諮問会議」で次のように述べている。

 「請負の方が中小企業に多いため、例えばAという会社に行って請け負う、それからまたBに行って違う職種で全部請け負うような場合がある。その場合、現実には、会社の職種に応じた訓練を請負事業者が全て行うことはかなり難しい。ところが、受け入れた先で指揮命令してはいけないという中に、いろいろ仕事を教えてはいけないということも勧告で入っている。そこに矛盾がある」

 「労働市場がひっ迫して、どんどん派遣社員が正社員に代わるようになっているが、この動きについてはそのままもうしばらく市場に任せた方がいい。このペーパーにもあるが、日本の労働市場が職務給に変わりつつある。しかしながら、職務給に変わらないうちに、年功序列型の給料で、今の派遣法のように3年経ったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう」

 これは簡単に言うと、政府や所管官庁による様々な指導などいらない、民間にやりよいようにさせろと言っているように聞こえる。

■法人税の「10%引き下げを」■

 その同日の会見で御手洗会長は、今度は法人税の「10%引き下げを」と言い出した。10%だと約4.4兆円程度の大規模減税になるという。バブル経済の崩壊後、国民は多くの犠牲を払いながら、景気回復に尽力してきた。しかし、たとえば大手銀行はまだ法人税を納めていない。

 巨額の利益を計上しているもかかわらず、大手銀行がいまだに法人税を納めていないのは、「過去の赤字を最大7年間繰り越して、利益と相殺できる税制上の特別ルールの恩恵を受けているため」(2006年11月21日東京新聞)である。大手銀行は税金(公的資金)を投じられて助けられ、税金支払いを免除されてやっと復活できた。「住友信託銀行がようやく過去の赤字(繰越欠損金)を一掃し、07年3月期決算後に13年ぶりに法人税の納付を再開する見通し。しかし、大半の大手行は納付再開が3~7年後になりそうな情勢」(同)らしい。

 こうした「法人優遇策」は、税法上認められた仕組みだとたとえば銀行業界は主張する。しかし庶民は「定率減税」の廃止などで痛みを強いられているのだ。法人のさらなる減税要求は正当性があるだろうか。

 たしかに日本の法人税率は国際的に最高水準にある(表参照)。御手洗会長が要求するように「10%」引き下げた場合、その額は消費税2%分に相当する。

 「老齢者控除、公的年金等控除を削減した結果、高年金所得者について税額が10倍になっている」と、なんと自民党が作成したパンフレットの冒頭に記載されているという(朝日新聞2006年11月18日be2頁、山田厚史編集委員「企業減税と富国強兵」)。同じ記事のなかで、山田厚史編集委員は続けて「国際競争力を高める平成版・富国強兵である。すでに小泉政権時代の税制改正で個人所得税は3.9兆円の増税、法人税は1.4兆円が減税された。安倍政権は更に企業減税に力を注ぐ」と述べている。

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 すでに障害者自立支援法の1割負担制度開始(10月1日から)によって、障害者が自立支援施設を利用するときの自己負担額は年約400億円増加すると言われる。一方、財界から与党に対する政治献金が年内にも復活する予定と聞く。

 公的資金投入→企業業績回復→財界から与党への政治献金再開→法人税減税というサイクルを目の当たりにすると、官僚や政治家が好んで使う「限られた財源だから国民負担を求める」という常套句の背景で、露骨な利益誘導がなされようとしているのではないかと勘ぐりたくもなる。

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【用語解説】
 偽装請負:契約上などでは請負という形を取っているが、その実態は労働者を発注主の管理下へ常駐させ、発注者の指揮命令をもとに業務をさせる行為。契約形式ではなく実態に即して判断される。労働者と発注主との間に指揮命令関係があるのならばそれは労働者派遣と判断される。間接雇用の禁止であり、直接雇用の原則に反していると考えられる。

 職務給:職務や役割の重さ、責任の負担度合いや企業への貢献度などに応じて決められる賃金。管理職層を中心に浸透してきた。

【関連記事】
ホワイトカラーエグゼンプションとは

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは2件。1件削除されましたのでシステム上は1件です。

1 ハラボジ 11/30 16:42
下川悦治さま    豊田@市民記者です。

>すでに障害者自立支援法の1割負担制度開始(10月1日から)によって、障害者が自立支援施設を利用するときの自己負担額は年約400億円増加すると言われる。


自立支援法による障害者の自己負担額約400億円はどこから
出てきた数字でしょうか。教えていただければ幸甚です。
僅か400億円のために全国的に大騒ぎになっていますね。


究極的には「社会を良くする活動をすること」になるのでしょう。電話やインターネットで誰でも自由に通信できたり、穀物や野菜を加工しておいしい食物を提供したり、あるいはエアコンなどの空調設備を行き渡らせて快適に生活できる環境を整えたり、言ってみれば人間の欲を満たすのが企業活動なのかもしれません。リサイクルとか産廃の処理とか弾薬の製造なども当然その活動に含まれます。国の安全を守るのも大事よ?

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労組の話を書くと(削除)になるよねぇ、やっぱりw