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【くらしの話】小雪のキムチ漬け

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/LookKorea.aspx?news_id=000000003373

ユン・ヒギョン
2006-11-24 10:17

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撮影者:ユン・ヒギョン

 毎年、初雪が降るといわれる小雪(二十四気のうちの二十番目、陽暦の11月22日頃といわれる)が訪れると、冬の間に食べるキムチを漬けます。

 冬用のキムチを漬けることは、田舎暮らしにおいては本業と同じです。冬の間、大雪に見舞われ交通が途絶えでもしたら、キムチとご飯だけで過ごさなければならないからです。周りから何のためにそんなにたくさんキムチを漬けるのかと言われたりもしますが、「冬は食べ物が十分でなくて」と、笑ってみせます。とくにキムチを入れた饅頭が大好きな私にとって、キムチは欠かせないのです。

 白菜を割る作業をしていると、指先がヒリヒリと痺れてきます。まるで幼い子どもの生えたばかりの歯を見るように、幾重にも重なる葉は瑞々しく、青々としています。

 刳り鉢に塩水をとき、ドブンと浸しては取り出し、白菜を塩漬けします。何層にも重ね粗塩をふり、一晩待ちます。隣近所の奥さんたちは、よその家のキムチ漬けも手伝います。白菜を洗う音、大根を千切りするまな板の音、にんにく、生姜を刻む音、飛び交う冗談に笑い声まで…。真の生活がここにはあります。

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撮影者:ユン・ヒギョン

 生姜、唐辛子、にんにく、葱、大根、塩などが、細かく砕かれ、刻まれ、切られて、キムチの素ができあがります。そこに田舎の匂いをまぶせば、下ごしらえが終わります。素に混ざった青い高菜や刻み葱が香ばしく、思わずゴクリと唾を飲みこみます。素を白菜の中までまぶしつけ、終わりに葉をくるくると巻き込む奥さんたちの手つきに、楽しそうな笑い声を聞いていると、11月の一日はあっという間に過ぎて行きます。柔らかな芯の部分を丸めて一口ずつ口に入れては、美味しいと、またひとはしゃぎです。ほんとに楽しい光景です。

 キムチの材料を眺めてみると、自分の分身が集まっているようです。大根、白菜、唐辛子、にんにく、葱など、夏の間中、汗水流して育てたものです。野菜をじかに育てて食べられるということ、それだけでも、これ以上の幸せはありません。

 瓶が息づけるよう、窪みを掘ってキムチの蔵を作るのは、私の仕事です。瓶5つ分の窪みを掘り、背中から腰までびっしょり汗をかいても疲れを感じません。もうしばらくすれば、この地方名産の瓶の中のキムチが熟し、冬を暖かくしてくれるからです。

 キムチの瓶を土深く埋め、周りを眺めてみます。丘にはもううら寂しい風が渡り、森は幹や枝をむき出して黙想に耽っています。私も、自分を冬の中に押し込め、あれぐらい離れた場所で、裸木のように孤独な時間を耐え抜いてみようかと思います。冬の間、寒さのなかで熟し、本物の味になるキムチのように…。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


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韓国とキムチの話題ではこういう話もありました。国産のキムチの売上が伸びたかどうかまでは確認していませんが、韓国でも食の国産志向が強まったのではないかと思います。