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人の助けを借りて生きる

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003100

認知症の介護の現場から
M原 S
2006-11-18 12:20

【画像省略】
撮影者:OhmyNews

 わたしの祖母は認知症です。アルツハイマーではないのですが、ひどい認知障害です。症状が出始めたのは10年前です。最初、祖母の異常に気づいたのは母でした。しかし、母が何を言ってもわたしには母が大げさすぎるようにしか思えませんでした。

 それが、祖母とひとつ屋根の下で暮らすようになってから、わたしも祖母がおかしいことに気付きました。昼間はおとなしいのですが、夜になると祖母は自分が働いていたときの記憶がよみがえり、両親と一悶着起こすのです。そういう毎日が続きました。

 いま、祖母はグループホームに入所しています。一緒に暮らしている方が祖母の状態にはいいのですが、母1人で祖母の面倒を見るのが困難だったためです。

 入所してから、祖母は食事が肺に入ったために肺炎を起こして、一時入院しました。その後、祖母と久しぶりにグループホームで会ったときには、長いベッド生活で足の筋力が相当落ちたようで、車いすがないと移動できない状態になっていました。

 足の力が落ちたうえに認知障害という状態で、見ていて気の毒になりました。祖母はわたしの顔も忘れたようでした。わたしが名前を言えば分かりますが、そうしないと分からなってしまったようです。ちょいちょい顔を出さないとひどくなるのは明らかでした。

 仏教の教えでは、人の一生には8つの苦しみがあると言います。そのうちの1つが老いの苦しみで、祖母はまさに老いの苦しみを体験していました。祖母は自分の症状がひどいというのを自覚してるようで、時々泣くそうです。

 認知障害の人というのは、自分の病気が分かるそうです。ビデオで認知症の人の講演を見たことがあり、その患者さん自身がそう言ってました。今の祖母は誰かの助けがないと1人では生きていけない状態です。

 祖母は今、誰かの援助で生きていくという人生を歩んでいます。祖母が元気なら誰かの助けで生きていくというのは嫌でしょう。こういう風に人の助けを得て生きるという人生もまた天の意思だとわたしは思っています。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは5件。

5 IT夫 11/20 18:36
こんにちは。はじめまして。
同僚の市民記者のIことI川と申します。
今後共宜しくお願いいたします。

#同僚の記者の皆様お一人お一人に
 暇を見つけてコメント欄でご挨拶をしています。

認知症とその介護の問題はわたしたち皆の問題ですね。
記者もきっとそのうちに
介護者の視点から記事をお書きになられることと思います。
(そしてやがては介護される側の視点からの記事も
引き続きのご健筆を期待しております。

http://blog.livedoor.jp/zelda2/
ご自身のブログと連動させるとよさげかもです。:-)
他の方々でもおられますが小生もそうしています。
http://ameblo.jp/pasosavi/
(小生は長文癖がなかなか抜けきれず

4 安住るり 11/19 22:20
はじめまして。11月からオーマイ記者として記事を出している者です。

私の母は、83歳で、数年前から、次第に記憶機能が衰えてきて、今では1分前のことも忘れます。でも幸い、精神状態はとても安定していて、手が掛からないほうのボケです。健康状態も、今は安定しています。一時入院した後は、足腰が弱って、車椅子でしたが、さいわい歩けるように回復しました。

家事や入浴ができなくなっているので、週に4日は、「デイサービス」に送迎してもらい、昼間の7時間ほどを施設で楽しく過ごします。ヘルパーさんに週の半分は来て貰い、あとの半分は、私が逗子の自宅から東京西部の母の家に移動して、洗濯や買い物などをします。

介護度3で、諸経費は一割負担の範囲内で収まっており、母の住んでいる市では、ある限度以上の負担金は毎月還付してくれるのでありがたいです。
紙オムツの補助金も出ています。

この状態に落ち着くまでには、いろいろ試行錯誤があって、「まだらボケ」の頃には、扱いに困ることもありました。足腰が「痛い、痛い」と訴えるときもありました。

そんなアレコレをJANJANに40回以上連載しています。
「おだまき日記」といいます。よろしかったら見てください。

3 じぇじぇ 11/19 14:47
M原 S記者

長文掛けるじゃないですか^^ 注目されてる記者なんですから頑張ってください。

ところで(前にどこかのコメ欄でも書いた記憶がありますが)私の祖母は、90越えて大往生で逝きました。

>祖母は食事が肺に入ったために肺炎を起こして、一時入院しました。その後、祖母と久しぶりにグループホームで会ったときには、長いベッド生活で足の筋力が相当落ちたようで、車いすがないと移動できない状態になっていました。

まったくウチと同じです。最後の2年ほどは治らないと言われたほうの認知症(治るものもあるので)でした。

M原記者のお母様の選択は間違いではなかったと思います。どこにいようが家族が笑顔を見せ合える時間を少しでも長く持ち続けるには、プロの方のお世話になることも1つの方法だと思います。

(コメント入れようと書いてたら1000字越えちゃったので、短くぶった切りました。この記事の追記として何か書こうと思います。グダグダ、失礼しました)

2 ゆみみ 11/18 17:42
 うちの祖母も認知症になりまして、最近の記憶からどんどん
無くしていくのです。最近は少女時代の記憶も強いようで
まるで戦前からタイムスリップした人と話しているような
気分にもなります。脳の記憶メカニズムは不思議です。

1 えっちゃん 11/18 15:00
人の助けを得るのは 決して卑下することではないと思います


認知症でなくとも、手足が自由に動かせなくなり自分の思い通りの動作ができなくなればついイライラして家族にその不満をぶつけるということもあるだろうと思います。それが原因で不和になることもあるんじゃないかと。とくに寝たきりになってしまうと下の世話も他人の手を借りなければなりませんし、自尊心の強い方ならなおいっそうそういう傾向にあるだろうと。

あきらめて現状を受け入れろと言うのは簡単だけど、難しいですよね。