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勇気ある提言 ~鈴木邦男コラム~

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000002768

鈴木邦男
2006-10-31 08:29

 「誰(た)そ我に ピストルにても撃てよかし 伊藤のごとく 死にて見せなむ」

 石川啄木の歌だ。伊藤とは、ハルビンで安重根に暗殺された伊藤博文のことだ。あのような歴史に残る劇的な死なら、自分だってやられてもいい。甘いヒロイズムか。虚勢か。人生の終わり方としては羨(うらや)ましいと思ったのか。「一度ぐらいは暗殺されてもいいか」と僕だって考えた。昔は「テロリスト志望」の青年だったのに、今は逆のことを考えている。まあ、最悪の場合はマゾヒスティックな美学の中で死んでやるさ。……と啄木に励まされて、鶴岡に向かった。

【画像省略】
焼け落ちた山形県鶴岡市の加藤紘一・元自民党幹事長の実家
撮影者:青木 理

 10月27日(金)、山形県鶴岡市で、「言論の自由を考えるシンポジウム」が開かれ、参加した。8月15日に実家が放火された加藤紘一さんの地元だ。「加藤議員は、この地に住む我々が代弁者として国会に送り出している訳ですから、この攻撃は私たちへの攻撃であることを強く認識する必要があります」と案内状には書かれている。この事件に対してはなぜか、政治家も評論家もマスコミも腰が引けている。語りたがらない。だったら、この鶴岡でやろう、という意気込みが感じられる。

 パネリストは加藤紘一、佐高信(評論家)、小森陽一(東大教授)、早野透(朝日新聞コラムニスト)の各氏と僕だ。僕なんか、「放火した右翼と同じ仲間じゃないか」と思っている人も多いだろうに。よく呼んでくれたと思う。また、右翼の大半は、「加藤宅焼討ち支持」を声明し、11月中旬には「支持集会」を開くという。
僕など、「裏切り者め」と思われ攻撃されている。

 鶴岡では、「右翼が襲撃するかもしれない」という不穏な情報もあった。そのときはそのとき。啄木の歌の心境だ。「いや、パネリスト同士で乱闘になるかもしれない」と心配する人もいた。だから警察も、ものものしい警備だった。

 しかし奇妙だ。「テロはいけない」「言論でやろう」と、当たり前のことを言っているのに、命がけの覚悟がいる。また、「首相の靖国参拝を批判する加藤は許せない」「中国寄りだ」と決めつけ、「だからこのくらいやられても仕方ない」という雰囲気がある。そのことに右翼も力を得て、「天誅(てんちゅう)だ」「民族の正当防衛だ」などと言う。

 外務省の田中均さんが数年前、「北朝鮮寄りだ」として爆弾を仕掛けられたとき、石原慎太郎都知事は、「このくらいやられても当然だ」と言った。「テロを容認」したのだ。とんでもない話だ。暴力を容認し、あるいは暴力におびえて皆が発言をひかえたら、「言論の死」だ。

 こんな東京の危険な、ふがいない言論状況を地方から撃ったのが今回の集会だ。何と500人が詰めかけ超満員だった。熱い討論が展開され、皆、熱心に聞いていた。鶴岡発の勇気ある提言だ。

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すずき・くにお
1943年、福島県生まれ。67年、早稲田大学政治経済学部卒業。70~73年、産経新聞社に勤務。学生時代から右翼・民族派運動に飛び込み、72年に一水会を創設、「新右翼」の代表的存在となる。現在は同会顧問。『新右翼 民族派の歴史と現在』(彩流社)、『夕刻のコペルニクス』(扶桑社)など著書多数。近著は『愛国者は信用できるか』(講談社現代新書)
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オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは7件。

7 大貧民 11/03 01:54
この種の議論をする場合、加藤という男が、いかにして拉致被害者家族の心を踏みにじり、日本人を裏切って中国のいいなりであったかを論じない限り、公平とはいえないでしょうね。
読者の「呆れ」が、この記事に寄せられたコメントの数にも表れています。

6 ジュンちゃんカワイイヨ 11/03 00:30
回を重ねるごとに、鈴木さんが透けてきたねぇ

5 てんぷる 10/31 22:55
ん~、、不思議なコラムですな。
なぜ、「熱い討論」や「鶴岡発の勇気ある提言」の内容に一切触れてないんでしょう。そこ一番大事なんじゃないの?

4 世界平和 10/31 21:35
 加藤紘一宅放火犯は、金に困って人生が嫌になった男の自暴自棄の犯行であった事が分かっているのに、なぜその事を小さな動機として、純粋に政治思想的なテロという風に扱うのか?何か意図でもあるのかな(笑)
 事実を踏まえた議論を展開してくれ。

3 金本 10/31 18:55
鈴木さんの看板は「右翼イメージ」なので定期的にご自身で右翼右翼と言わないといけないのでしょう。右翼左翼を言わないとだめになっちゃうんです。

2 ヴオノ 10/31 14:23
加藤代議士はいつもこうなのね。読売主催の戦争責任シンポのときも「私は実は石原莞爾の親戚なんです。」と明かした後に、親戚の俺が言うんだから俺の歴史観が正しい、といった感じに展開するんです。親戚とか関係ないんですけど、こんなインチキが案外日本人には効くんですよね。このシンポだって、東大の先生も朝日の上席記者も右翼の論客もみんなこう言ってるよ、とやったのでしょう。鈴木さん、ダシに使われてますよ。

1 T中M彦 10/31 12:28
徳なき恐怖は忌まわしく、恐怖なき徳は無力である φ(..)メモメモ


ツイッターでも勇気ある提言がなされていますね。

ただしくは記者会見が2022年11月29日なので1ヶ月弱前の話です。税金を投入した事業の不正会計疑惑の話なのに、他の不正会計疑惑の話題では急先鋒だった日本共産党や立憲民主党の議員の方々がそれを追及するような姿はまったく見えませんし、テレビのワイドショーで連日トップを飾るようなこともありません。

のりこえねっとの共同代表である鈴木邦男氏からもなにかハッパをかけてやってくださいませんか?