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表現の自由と行政の壁

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000001581

一定のルール下で共生できれば
記者名 H M幸
2006-09-26 08:19

「人の心を温かくしたい」

 そう語るAさんは、路上で歌う高校生。プロを目指し、ライブ活動の一環として路上でギターの弾き語りをしています。

 駅前のペデストリアンデッキ(歩行者のための通路・広場)は路上パフォーマーの集まりやすい場。Aさん以外の若者もライブ活動やダンスの練習に使用しています。

 しかし最近、その広場にはある看板が貼られました。

 -音楽演奏、ダンス等、歩行者や住民に迷惑となる行為は、禁止します ○○市-

 「看板、気になる?」とAさんに問いかけてみると、「やっぱり気になる」と言う。

 「看板に禁止と書かれてあると、ちょっと気が引ける」、でも聴衆から「元気をもらった」と言われたり、「この歌を歌って」などのリクエストも入るため、迷惑にならない範囲でやりたい気持ちも強いとAさん。

【画像省略】
駅に掲示された看板です
撮影者:H M幸

 なぜこの看板が掲示されるようになったのか、道路を管理する市の土木課に尋ねてみたところ、「近隣の住人から、夜うるさくてかなわない、と苦情の電話があり、対策として注意を促すために看板を掲示しました」との回答。

 条例などで禁止しているわけではありませんが、市民からの苦情を無視するわけにもいかず、注意を促す看板を掲示したようでした。市民からの苦情があった場合に職員が注意していますが、条例による規制までは現状は考えていないとのことです。

 ぺデストリアンデッキを通る市民の反応としては「看板が貼ってあるの、見えないのかしら」と同行者に呟(つぶや)く人、拍手や「頑張ってね」と応援をする人など、反応はそれぞれでした。大半の人はチラッと見る程度で、街の風景のひとつとして、気にせず通り過ぎて行きました。

 友人や市の職員に指摘されて初めて、自分の声が思ったより遠くまで聞こえていることがわかったAさん。そこで近隣の住民に配慮し、通常の半分の声量で歌う、夜6時には終了する一方で、他の路上パフォーマーにも声をかけ、完全禁止をされないように行動で示しています。

 「公園と違い、常に人が通るので安全だ」と言うAさん。酔っ払いに絡まれることがあっても、他の人が助けてくれる安心感と、人前で表現できる場として、ここが必要だと語ってくれました。

 Aさんは路上ライブを続けるために上記のように活動を自粛していますが、以前と変わらない人もいて、「そのうち完全禁止になってしまうのでは」という不安もあるようです。

 一定のルール下で活動を許可してもらえることが最善なのではないかと、土木課の職員に尋ねてみると、「土木課は道路の管理が仕事なので、ライブ活動を認めるかどうかは決められません」という返事でした。

 東京都には、審査に通ったアーティストにライセンスを発行し、公園や駅などの公共施設の一部を活動場所として提供する文化政策があります。活動エリアは限定されているため、市町村単位でも同じような政策が取れるようになれば、Aさんも安心して歌えるようになるのかもしれません。

※引用文中【画像省略】は筆者が附記
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この記事についたコメントは16件。

16 みゆみゆ 09/27 09:00
皆さん、様々なご意見をありがとうございました。
ご自分の体験談などもあり、とても参考になりました。
15 Cane 09/27 00:58
sir様
こちらこそ、わかりにくい文章をのせてしまい、誤解を与えてしまいました。
おっしゃるとおり、音の問題は当事者同士で解決していくしかないと思います。でもこの記事のような高校生のストリートミュージシャンでは正直難しいでしょうね。
14 生ける屍 09/27 00:49
>ゴキブリさん
>ちと探しただけではネット上のソースが見つからなかったのですが、田舎の廃校(小学校/分校等)を楽器演奏の場として改造し、使用しておられる方もいるようです。

自分は音楽はやりませんが、音楽をやる方というのは有償無償で使える練習場所を探すことに四苦八苦しておられるのが現実のようですね。
今は学校内の部・サークルでさえ近隣住民から苦情が来ることもある時代です。芸大あたりでも近所との関係には苦慮しているようです(もちろん防音・エアコン付の演奏室がどこにでもあれば良いのですが、そうそう都合のいい条件があるわけもなく) それだけ日本人が生活騒音に対して「もっと文句を言っていい」と権利意識に目覚めてきた証拠なのでしょう。

>Caneさん

私も以前に住んでいた場所で隣室の住人に自分では些細と思っていた生活騒音で苦情を言われたことがありまして、それ以来、TVの音などには無意識のうちに気をつけるようになりました。
ピアノや楽器の練習にせよ、一昔前までは住宅地の風物としてそんなにうるさくは言われなかったと思いますが、最近はそういうわけにもいかないのでしょうかね。とくに集合住宅ではいつのまにか音が漏れていることもありますし。

記事に話を戻せば、Aさんはまだ高校生ですね。残念ながらまだ高校生や学生では・・・。すみませんが今回は引いた方がよろしいでしょう。もしくはまた別の場所を探してもらえませんか?
自分で責任の取れる年齢になってからそれでもやりたければ何かやるのはいいと思います。具体的には行政や商店会などに働き掛けて公に演奏出来るような
環境を作っていくか。残念ながら高校生・大学生では、自分の意に添わなくてもやむを得ない立場でしかないんですよね。
13 sir 09/26 23:12
>>11 Caneさんへ
>>フルートという比較的音量
絶対値としての音の大小よりは、周りの環境雑音との相対値によって人の感じ方が異なります。ですが、>>11で書かれた内容から察するに、Caneさんは十分に事前配慮を行っていると見えます。
「努力している人に、更に努力しろ」と言いすみません。

 不法占拠人も不法占拠自身は問題で、「出て行け」という張り紙をした人も、本来なら張り紙でなく、面と向って言うべき事だったと思います。
>>8の発言の趣旨は、なるべく主観を抜く努力をしていきたいし、共にしていきましょう、と言う内容でした。
 「自分が気を付けている。でも相手は不快に思う事がある。」この差は絶対的な物差で計れないものであり、その場その場の人間同士で
決める事しか出来ないのではないか、と思うからです。

 私自身も、隣人が音に対して過敏な方(約10人以上の方の意見から)で苦慮しています。
でもこう言う文章も、端から見れば本当にそうなのか?と見えるものです。(笑)(その人が本当に過敏なのか、その他大勢がうるささに鈍感なだけなのか?)
やっぱり、主観が入りますからね。

ですので、余り自己保身な考え方に陥らぬ様に私自身も努力していきたいと思います。
12 世界平和 09/26 22:39
 ライブハウスでやれ。
11 Cane 09/26 22:27
sir様
私はどこでもかまわず音を出していいとは思いません、なので、フルートという比較的音量の小さな楽器ですがスタジオを借りて練習をしています。
マンションで練習した時は、両隣上下階住民とも日頃から交流がありましたし、楽器の音量には気を使いました。そしてマンションの自治会でも人に迷惑をかけない範囲の音出しはOKと確認もしました。
また、公園というのは高速道路と運河にはさまれた住宅から1kmほど離れた森の中です。周囲に人がいないことを確認しましたが、その場を不法占拠している人がやってきて、よそに行けと言い出したのです。
日頃、自分の楽器音について気にしているので、記事に「身につまされた」のです。
10 yonemura 09/26 22:25
「表現の自由」とは「何を」演奏するかの自由であって、「どこで」演奏するかの自由ではありません。
左翼用語ではない正しい言語感覚を身につけましょう。
8 sir 09/26 19:24
>> 6 Cane(casagekko)さんへ

>いつでも借りられるわけではありません。

いつも借りれないから、
>>6に書いてあるような事をやって良いと言う理由はありませんよ。

どうも「自分は悪くないのに…、世間は寛容じゃないな~。」と言う感じに読めます。

 歩み寄りとしてすべき事としては、
・可能であるなら配慮として、事前に周囲の人に声をかける。
・何らかの改善案・工夫が可能かを考える。(消音、防音、防振etc)
・事が起きた場合、自らの主張をする前に、相手の怒りを感情的にならずに受け止める。
・可能であるなら、相手はどの範囲まで許容出来るかを直接訪ねてみる。

等が有ると思います。
やっぱり、こう言った人間が絡む問題の一番の解決策は、利害関係者が集って、
実際に顔付き会わせて、よくよく話す事です。
これをやるには、非常に体力と耐力が必要ですが、そういった困難を載り越えてでも
やらないといけない事であるならば、そうすべきだと思います。

そうでないならば、ある程度の自粛は必要と考えます。
7 スナギモ 09/26 17:09
興味ない人には騒音であることはどこまで行っても変わらない。
「迷惑にならない範囲」というのは音を出す側が決めることじゃない。

一部のストリート出身(と言われている)ミュージシャンが路上で声を掛けられてデビューした、なんていう非常に低い確率か、はたまた作り話の神話を信じた馬鹿どもが増えたおかげで、地域住民は非常に迷惑をしている。

まともな演奏が出来る連中はまだいい方で、そのほとんどが路上で「練習」をしている。
「練習」は少なくとも人様に見せるものではないので、どうしても外でやりたいなら、どこか山奥でも行ってやればいい。
ダンスの連中に関しては「練習」であるなら人通りが多い所でわざわざやる必要はない。
以前、最寄り駅の駅前広場で禁止されているはずのスケボー集団に何度かボードをぶつけられたこともある。

俺も以前はバンドをやっていたけど、音はスタジオとライブハウスで出すものという認識。

ルールを守れない人間が歌う歌が人の心をつかめるわけがない。
6 Cane 09/26 16:46
生ける屍様
私事で恐縮ですが、大きな音を出したいときは、よく貸スタジオで練習しますが、いつでも借りられるわけではありません。また以前、マンションに住んでいた時、部屋でフルートを吹いたら、マンション中に「出て行け」という張り紙をされて問題になりました(演奏がではなくて張り紙行為が)。先日も都内の大きな公園で、人気のないところを探して練習していたら、路上生活者のような人が出てきて「他でできないのか」と詰られました。たしかに世間は寛容な人ばかりではないです。
5 みゆみゆ 09/26 16:24
皆さん、コメントをありがとうございました。
Aさん、近隣住民、市側、それぞれの意見を聞いた所、それぞれの気持ちがわかり、皆が歩み寄れるいい方法はないのかな、と思った次第です。

マナイさんへ
行政側を悪者にしたつもりはなかったのですが、実際に看板設置等は行政が行うため、壁、という表現にしました。
実際の壁は、確かに近隣住民かもしれませんね。
これからはタイトルをもっと記事内容に沿ったものに考えたいと思います。

水銀さんへ
実は苦情があった家は、駅から100メートル以上離れています。
確かに歌声が風にのって届くことはありますが、騒音ではありませんでした。
(ライブ中にその場所に行ってみましたが声は聞こえませんでした)
ただ、夜間はやはり音が響くでしょうし、人によって音の許容度は違うでしょうから、騒音と言われれば、その通りだと思います。

Caneさんへ
Aさんは街のお祭り等のイベント出演もしているので、そういった公で演奏できる場がもっと増えるといいのかもしれませんね。

生ける屍さんへ
路上活動については市に聞いてみました。
現状では反対する条例はないようですが、路上でのライブがどんな活動になるのか微妙なので、どこで管轄すべきか明らかでないようです。
よく、街でチラシやティッシュを配布していますが、その場合は警察に了解を得て許可書を頂きます。
でも、ライブ活動はそれに該当しないため、どこが監督すべきか判断がかなり微妙なようです。
4 生ける屍 09/26 16:03
>あえて言うなら,路上ライブを阻んでいるのは近隣住民ですよ.
さらに言うなら,近隣住民の静かな生活を送る権利を侵してきたのは
路上ライブ者です.

仰る通りで、Aさんたちには申し訳ないのですが、この場は止めて別の場所を探して頂くしかないでしょう。

>私も日ごろ楽器の練習場所に困ってますので、身につまされる話です。

具体的には文句を言われないような場所を探してあちこちを転々という形なのでしょうか? 今は学校の敷地内で吹いているだけの吹奏楽部・音楽部でさえ住民から苦情が来ることがあるようで、世間は寛容な人ばかりではないですからね。

>東京都のアーティストライセンスは、指定された場所で継続して活動をすることが条件のようですので、自由な活動が認められるわけではないですが、プロを目指すAさんのような人にはいい場になるかもしれません。

そういえばこの類の路上活動について、各地では住民・自治体・警察・土地の所有者や管理者との合意はどう形成されているのでしょうか?
そのあたりの具体的な慣習はあるようでない、各地でケース・バイ・ケースで処理されているのが実態のようですね。
「お上が芸能に口出しするのか」という批判もありましたが、東京都のヘブンアーティストのような制度が妥協案として出てくるのはやむを得ないかと思います。
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/heavenartist/

ちなみに厳密に言えばこの類の活動は道路交通法や諸条例に引っ掛かることが多いようですね。個人的には地域の商店会・地回り・同業者などとのトラブルが絶えなそうで怖いので自分でやろうとは思いません(苦笑)
3 Cane 09/26 13:40
私も日ごろ楽器の練習場所に困ってますので、身につまされる話です。
市に苦情を申し入れた近隣住民は、Aさんのパフォーマンスが好きでないのでしょうから、昼夜を問わずやめてもらいたい、と思っているでしょうね。条例でないのに「禁止」という看板を出す市の態度には納得できませんが、Aさんの目的は、市や苦情住民と闘うことではないので、応援する人がいるにしても、この場で続けることは困難が予想されます。
東京都のアーティストライセンスは、指定された場所で継続して活動をすることが条件のようですので、自由な活動が認められるわけではないですが、プロを目指すAさんのような人にはいい場になるかもしれません。自分の街で歌を聞いてもらいたいという気持ちはわかりますが、自分の表現にふさわしい場所を探すべきではないでしょうか。
2 水銀 09/26 13:12
騒音をまき散らし市民に迷惑をかける行為が表現と自由とでも?
馬鹿も休み休みいってもらいたい。
なんて無責任な記者なのだろう。
1 マナイ 09/26 12:28
記事タイトルの「表現の自由と行政の壁 」って
本文の内容に合ってない気がします.
行政を一方的な悪者扱いしたいのか,と勘ぐってしまいます.

Aさんは,行政の壁に阻まれて路上ライブができないわけではないでしょう.

あえて言うなら,路上ライブを阻んでいるのは近隣住民ですよ.
さらに言うなら,近隣住民の静かな生活を送る権利を侵してきたのは
路上ライブ者です.

両者の間に割って入って仲裁役を引き受けているのが
行政(市の土木課)って事です.
本来なら,これは土木課の仕事でもないでしょうに.
(土木課の中の人,ごくろうさまです)

記事自体に文句はないんですが,OhmyNewsってタイトルと内容が
整合してない記事が多いもので,つい書き込んじゃいました.

検索すればすぐにわかるので具体的な地域はあげませんが、商店街振興の一環としてオープンライブハウスを運営しているところもあるようですね。ただこれも「音を出す側」と「場所を提供する側」がきちんと話し合って合意を得た企画ですので、人通りの多い路上で場所を占拠し勝手に演奏(練習)をするのとはまったく意味が違ってきます。表現の自由はもちろん大事ですが、表現者としての責任も同時に背負っていることを忘れてはいけないと思います。

脚とか腕に包丁を突き立てられている気分がする。