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想定外の感動

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003151

オペラの感動に影響を及ぼすホールの響き ♪
K賀 T紘
2006-11-15 20:20

期待のローマ歌劇場には落胆させられたが、その後のキエフ歌劇場&ハンガリー国立歌劇場は素晴らしかった!

① キエフ歌劇場「トゥーランドット」は、神奈川県民ホールの3階バルコニー上手最前列で聴いた。金管と打楽器が最も響く席というのがその理由だ。そもそも、ロシアのオケが凄い馬力を出すことは、他のシンフォニー公演なんかでも認識していたが、このオケも凄い音だ!
舞台&衣装は絢爛豪華 = 最近の欧州は現代演出ばかりだが、ロシアは相変わらずのオーソドックスな舞台なので、こういう演目ではたっぷり楽しむことが出来た。もっとも、この日のテノールはダメだったが。。。

② 「トゥーランドット」までは想定の範囲内であったが、「アイーダ」静岡公演にはぶったまげた (゜o゜)
静岡には、ウイーン・ムジークフェラインザールとそっくりに造った静岡音楽館AOIがある。東京の紀尾井、名古屋の
しらかわ、大阪のいずみホールも同じ設計だ。室内楽の響きが実に美しい ♪
でも、ここでグランドオペラは無理 ⇒ 市民会館。。。超デッドな多目的ホールで、クラシックは聴けない。

③ キエフの金管&打楽器群は、このデッドなホールの壁を震わせたのである、凄い! スンゴ~イ!!!
後にも先にも初めての経験だ。合唱がまた素晴らしかった。アドレナリンどくどくの興奮で、未だに頭の中を走馬灯が廻り続けている。絢爛豪華であったゼフィレッリの「アイーダ」も、これほどではなかった。
「アイーダ」とは、こんなに凄いオペラだったのか !?
今まで聴き逃していた音がいくつも聞こえた = ヴェルディのスコアには、こんな効果的な音が書き込まれていたとは。。。イタオペの真髄をウクライナの歌劇場で知ろうとは、人生、何が起こるか分からない。

④ ハンガリー国立歌劇場「トスカ」は中野でと決めていた。中野に住んでいた頃からの会員で、ZEROホールの音響の素晴らしさを知っていたからだ。それに、東京公演(文化会館)より安い。
冒頭のスカルピアの動機からして一気に引き込まれた = 期待どおりの音だ。静岡から遠征してきた甲斐があった。
教会の中は本物の鉄柵が使われており、扉を閉めるたびにガチャンと重厚な音がする。こういう諸々の効果に影響を及ぼし、臨場感に関係してくるから、ホールの響きは大事なのである。

⑤ 東京公演と違って、タイトルロールは控え(?)のSzilvia Ralik = スリムで上品な美人なのに声はリリコスピントで、朗々と響き渡る! しかも、演技が巧い!2幕では、手に汗握るドラマを演じてくれた。
ネチネチと迫るスカルピアに苛ついて、「1人だと言ってるでしょ!」と大声を出し、嘘がバレてしまう。これほどリアルな
演技のトスカは、グレギーナ以外では知らない。ローマ歌劇場で退屈したのは、この迫力の違いだ。
我が国では、細かいニュアンスの箱庭的歌い方が評価されるきらいがあるが、ヴェズリモオペラでは、真に迫るドラマの表現力が迫力と感動をもたらす。

⑥ スカルピアのAnatolij Fokanovは、貴族的な上品さと男の色気を併せ持ったピッタシカンカンの適役。
これまた演技がリアル ⇒ 本気でトスカに襲いかかる。刺された後も簡単は死なないしぶとさ。反抗するカヴァラドッシが退きたてられて行ったあとも、苛ついて彼のマントを何度も蹴飛ばした = "坊主憎けりゃ袈裟まで憎し"・・・
終幕で、彼の命を助けようなどとはサラサラ思ってないことが、これで分かる。
カヴァラドッシの拷問の悲鳴も凄かったし、拷問の動機の大太鼓のトレモロがまた凄い音! 何というリアルな
舞台だ。

⑦ 3幕のラストでは、そのまま飛び降りるのではなく頭から跳び込んだ = こんなトスカは初めてだ。
最後のティンパ二・大太鼓・シンバルが、またまた、これでもかとばかりの凄い音で、ホール全体に響き渡った!
「トスカ」は、何十回と観てきたはずだが、こんなに興奮させられたドラマはない。これがA席1万円とは安い。
これだからオペラは、否、人生は止められない (^-^)

オーマイニュース(日本版)より

海外の歌劇団の日本公演をいろいろ見て回りました、という趣旨の記事だと思います。歌劇団の違いはあれど演じる施設の音響設備によって舞台の迫力は変わるよねということが言いたいのだろうと推測。観劇した中で演者・施設双方を考慮してもっとも良かった演目を1つに絞って記事にしたほうが読み応えのあるものとなったんじゃないでしょうか。

オペラは見たことがないのでよくわからないです。『銀河英雄伝説』のようなスペースオペラならたくさん読みましたが、本物のオペラは死ぬまでに一度は鑑賞しておきたいですね。