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意外なところから「安倍首相・岸」関連論

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002558

「岸DNA」を論ずることはやはり大切なのか?
辻 雅之
2006-10-26 07:54

 岸信介と安倍首相を関連させて論じる評論がはやった。しかし私は、それぞれ違う人格だからどうなのだろうと思っていたところがあったし、またその手の記事に多くみられた「戦犯の孫だから」的なスタンスも好きではなく、あまり興味を持っていなかった。

 しかし、岸と安倍首相との関連性については、北岡伸一氏(東京大学教授)や原彬久氏(東京国際大学教授)といった、岸をわりと評価する人々までそのことについて論じていたのだ。2人が書いた短い論評はなかなか興味深いものだったので紹介してみたい。

 著書『自民党』(読売新聞社)において日米安保体制を党是として確立した岸を「事実上の自民党初代総裁」と位置付けている北岡伸一氏は、読売新聞10月8日号掲載のコラム『新政権の外交課題』(『地球を読む』)のなかで、今後の安倍外交を考えるうえで岸外交の出発を振り返ることは「意義あることだ」として岸の外交姿勢について論じている。

 それによると、岸外交は非常に実務的だった。日本の置かれていた状況を把握し、それをすぐ行動に移していた。確かに岸外交は実践的だったし、精力的だったとも思う。日米安保改定をなしとげただけではなく、アジア諸国への外遊も積極的に行い、国連外交も大きく展開させた。このあたり、政権発足直後すみやかに中韓訪問を実行した安倍首相と重なるところだ。

 『岸信介言行録』(毎日新聞社、岸信介へのインタビュー集)・『岸信介』(岩波新書)などを書いた岸研究の第一人者・原氏は、岩波書店の雑誌『世界』11月号に掲載された『岸信介と安倍晋三』という論評において、岸と安倍首相の共通性を「社会主義」的というユニークな視点で論じている。

 確かに、岸は戦前、いわゆる「革新官僚」のトップランナーの一人だった。国家社会主義的思想によっていわゆる総動員体制の基礎を築き、東條内閣にも入閣した人物だ。戦後首相となってからも社会保険制度の充実などを図り国民皆保険実現への道筋をつけた岸に、往年の「国家社会主義」の影を見る人は、原氏だけではない。

 原氏の視点を踏まえて安倍首相の著書『美しい国へ』(文春新書)を読んでみると「国民年金制度と最低賃金制度という、福祉の基礎となる2つの制度が出来たのは……岸内閣のときである」という表現にどうしても目がとまってしまう。

 さらに『美しい国へ』のなかでは、岸と三輪寿壮という社会運動家(彼が後の日本労農党の初代書記長になったことも紹介されている)が親友であったということも書かれている。そしてその文脈のなかで「祖父はその貧しさを生み出している国家を改造しようとした」ということも書かれている。

 このようなことから、岸と安倍首相の「社会主義的な傾向」という共通点から、今後の安倍政治をみていこう、というのが原氏の論評である。

 さて、岸政権は安保闘争で倒れたわけだが、その前の「警職法(警察官職務執行法)改正」でみせた「逆コース・反動」姿勢が、2年後の安保闘争で増幅され、岸を倒したというのが記者の考えだ。警察官の権限を拡大しようとする警職法改正を強引に成立させようとした岸に対しては、野党だけでなく与党自民党からも大きな反発を招いた。後の首相となる池田勇人や三木武夫は抗議して閣僚を辞した。この騒動がなければ、「反動政治家・岸」「戦犯容疑者」といったイメージが大きくなることはなかっただろう。その後の安保闘争もずいぶん違った形になっていたのではないだろうか。

 岸にそのつもりはなかったかもしれないが、大衆は感情やイメージで動く。岸は自身のイメージ操作に失敗した。……とりあえずの「清廉・低姿勢」なイメージを安倍首相は今後も保ち続けていけるだろうか。それとも「逆コースのDNA」のイメージが浮上することがあるのだろうか。

 そういった意味では来年の参院選、自民党が勝った場合、その後の安倍首相の言動には注目したい。ほっとしたところでワキを甘くしてしまうか、それとも「祖父の教訓」を活かすことができるかどうか……。私もつい、「岸信介と安倍首相」の連関性について考えてしまったが、いかがなものだろうか。

オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは15件。

15 惰眠癖 11/03 12:18
イデオロギー的な傾向といったものではなく、血縁関係者の政治的姿勢、業績が、どのようなかたちで後継者に影響を及ぼしたのか、ということは、政治家という生き物を理解するうえで大変興味深いことかと思います。
岸・安倍のラインのみではなく、角栄・真紀子、鳩山一族等についても考察をめぐらせてみてはいかがでしょうか?
…って、これはちょっと大仕事になっちゃいますよね。

顔マークは、そういう視点もありでしょう、ということで。

14 新党を欲する人~立憲平和党党首 10/31 21:56
なんで 人の真摯なコメントを削除するのか

私が 戦争遺族だというのが 何がいけないのだ!

戦争遺族は 自民党に踏みにじられている!

自民党は 再び戦争を起こすからだ!

この会社は 自民党広報か?

冗談じゃない

これは由々しき事態だ!

11 ネコヤナギ 10/28 15:21
>>10
「そういう議論からは距離を置きたい」と言う枕詞で、最初から安倍首相と岸との関連を決めつけているのはあなたではないですか。

> 「有名な保守論客たちも安倍=岸比較論をしていること」についてのみなさんの反応はないのでしょうか。

ただの関係妄想でしょ。

安倍首相と岸の政治姿勢に共通点がないはずないでしょう。保守系の政治家ですから共通点があって当たり前です。そんなことを言い出せば、安倍首相と小泉、安倍首相と中曽根...歴代のすべての首相と共通点があります。

10 ツジ 10/28 07:44
>ネコヤナギさん
「2人は同人格とはなから決めつける」議論から距離をおいて、「安倍首相と岸の政治姿勢に共通点はあるのかないのか、あるとしたら何か」という議論をしているわけです。大きく峻別をしているつもりですが、お判りにはならないでしょうか。

それよりも、この記事内容の大半を占める「有名な保守論客たちも安倍=岸比較論をしていること」についてのみなさんの反応はないのでしょうか。議論すべきはそのことについてではないかと思うのですが。

9 新党を欲する人~立憲平和党党首 10/28 07:21
おいおい 安倍 キサマの不祥事オンパレードじゃのう

安晋会 偽装建築 野口殺人事件でまだ足りない ゼネコン汚職

みなさん 調べてみてください

大変なことになっていますよ

いやあ おい 美しい国 販売やめろや

7 ネコヤナギ 10/27 22:38
「そういう議論からは距離を置きたい」と言いながら、ぜんぜん距離を置いていないのはなぜ?

6 ツジ 10/27 19:42
>鳥越し苦労さん
申し訳ありませんが、私は岸と安倍首相が同じ人格だとかそういう議論はしておりません。むしろそういう議論からは距離を置きたいということをはっきり述べているつもりなのですが。

さて、当の安倍首相の『美しい国へ』を読むと、岸に関する記述が意外に多いことに気付き、この記事を書いた次第です。お読みになっていないのであれば、ぜひお読み頂いたうえで、安倍首相と岸が全く「違う時代に生きた」のかどうか、その辺のご見解を頂けると幸いです。

3 鳥越し苦労 10/26 18:38
> とりあえずの「清廉・低姿勢」なイメージを安倍首相は今後も保ち続けていけるだろうか。

清廉・低姿勢?
まったく重要なイメージではないと思いますけど。

> 「反動政治家・岸」「戦犯容疑者」といったイメージが大きくなることはなかっただろう。

血縁があっても、まったくの別人であり、まったく別の人格です。
さらに別の時代に生まれ、まったく異なる環境で育っています。
なぜこうも二人を関連づけようとするのか理解に苦しみます。

1 新党を欲する人~立憲平和党党首 10/26 17:50
満州の三介こと 岸信介
どうやって 戦犯 死刑から 免れのか

笹川らとつるんで 満州でたらふくためた汚れた金を アメリカに渡して 事なきを得たという

戦後は まさにアメリカべったりの政策

ここへきて 安晋会 安倍も まさに売国奴的な考え 政策

いやあ おそるべき 売国奴遺伝子

こんな奴が 総理大臣とは 

日本という国が 信じられない

こんな自民党を応援していたなんて

自民党は 変わってしまった


安倍晋三元総理大臣のご冥福をお祈りします。