見出し画像

実名投稿のリスクを考える

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003307

オーマイニュースに記事を書く、コメントをするということ
T代 K介
2006-11-27 09:02

 『IT media News』に「チャットで口論、ネットで殺人予告、自宅に押しかけ暴力の男が有罪に」という記事が掲載された。

 昨年、イギリス在住の47歳の男がチャットルームで知り合った3人と口論となり、ウェブサイトに殺人予告を掲載、そのうちの1人の住所を突き止めて、殴る、蹴る、首をナイフで切るなどの暴行を加えたことで、2年半の懲役が言い渡された、というものだ。

 実名で記事を投稿しているオーマイニュースの市民記者にとって他人事とは思えない事件だろう。

 「プロ野球と宗教と政治の話はするな。仕事の顧客はもちろん、職場内や友達の間でも避けろ」と、親や先輩から忠告を受けたことはないだろうか。普通にコミュニケーションが取れていたのに、これらの話をしたばっかりにギクシャクした関係になることがあるからだ(最近は「プロ野球」についてはそれほど気にする必要はなくなったように感じるが)。

 オーマイニュースに実名で記事を投稿するということは、全く知らない人にはもちろん、友人や職場の同僚、取引先の人、家族、親戚など、記事にアクセスしたすべての人に考えと名前が伝わる。記事が好意的に伝わることもあれば、これまで築いてきた関係にちょっとした亀裂をもたらす可能性もある。市民記者のほとんどはそのリスクを理解しており、多くの人に自分の考えや事実を伝えたい、そういう熱意と天秤にかけた上で、記事を投稿しているはずだ。

 告発はもちろんだが、宗教や政治の話題を扱う場合は、前述した通りリスクが高い。「この記事に一言」でも熱いやり取りが交わされることが多く、イギリスの事件のようなケースに最も発展しやすいジャンルだろう。トラブルが発生しないように、執筆者はもちろん、オーマイニュース編集部やコメントをする市民記者も注意するべきだ。

 まず、市民記者についてだが、記事を投稿する際には必ず推敲することである。書いた記事をすぐには投稿せずに、1日たってから見直してみるなどの行為はやはり有効だろう。短時間で気合を入れて書き上げた文章ほど非論理的で感情的になりやすく、いったん落ち着いてから見直すほうがいい。また可能なら、親しい人に1度目を通してもらい、感想を聞けるとさらにいい。

 オーマイニュース編集部にはそのリスクを減らしてくれることを期待したい。記事中の不必要な煽りや過剰な文言、読者に偏った誤解を与えかねない表現などを、執筆者と連絡を取り、原文を生かしつつも、第3者の目でうまく編集して欲しい。プロの編集者としての仕事を期待したい。

 「この記事に一言」へコメントを投稿する人も、執筆者へのちょっとした気遣いがあると嬉しい。もめそうな内容こそ、冷静に、論理的なコメント投稿を心がけて欲しい。自分とは異なる思想で書かれた記事は不愉快に感じることが多く、ついトゲトゲしいコメントをしてしまう、ということもあるだろう。だが、トゲトゲしいコメントは記事執筆者のトゲトゲしい返事を呼ぶ。「この記事に一言」はニックネームで表示されるとはいえ、オーマイニュースの特性上、実名を公開しているのと同義の人も少なくなく、また、コメントはオーマイニュース編集部を介さずに即時に反映されてしまう。むやみに熱くなり、攻撃的なコメントの応酬になると、トラブルを生む可能性が高い。また、コメントの応酬を見た第3者が記事執筆者かコメント投稿者のどちらかに悪意を持つ可能性がないとも言い切れず、お互いのためでもある。

 オーマイニュースでの実名による記事投稿はメリットでありデメリットでもある。先日のシステム変更でオピニオン制度がなくなり、市民記者制度に一本化された。この変更はオーマイニュースが実名投稿を重要視する方針をより明確にしたものと私は考えている。だとすれば、「実名投稿のデメリットであるリスクをどう減らしていくのか」は、今後のオーマイニュースにとって重要な課題となるだろう。

オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは7件。

7 S木I朗 12/04 12:34
スタート時からの今日に至るまでの経過を一読者として見続けていますが、記事投稿者の至らぬ点を指摘する「ひと言」は、ある意味で言えば親切とも言えますが、ただその物言いが厳しく、初体験の投稿者にとって萎縮しかねない「ひと言」はたとえ当たっているとしても、読んでいて もう少し口の利き方があるだろうと画面を見ながら一人ぼやいています。
記事を書くうえの明確なルールが確立しないままのスタートは、記事投稿者が責められる以前に編集部の未熟さがことを大きくしたきらいがあります。それとても私個人の思いとしては、書く人、それを支える人、読者、コメンテーターなどいずれも初体験の者の集まりなのに、いきなりプロフェッショナルなレベルを要求する「ひと言」コメントは本当にニューメディアの発展を望んでいるのだろうかと思えることすらありました。
自由に発言出来る場という趣旨が、そのことによって相対する方の自由な発言を塞いでいまうという不自然な場として経過してしまったように思います。他人に厳しく迫るなら、己にもそれなりの厳しさや発言の責任を持つ意味でオピニオンの実名登録もやむを得ないことだと思います。
それが決して理想的な形ではないことは私自身そう思いますがが、運営者の方たちも苦渋の選択だったと思います。そのことによって規制がかかっただとか発展が望めないだとかコメンテーターから色々な声はあがりましたが、その結果によって責任をとるのは運営者ですから、これからの貴重な意見を受け止めていくためにも実名登録は必要だったかもしれません。

5 桂多郎 11/29 23:39
投稿記事は実名で書くからこそ価値があると考えます。
しかし少しでも危険が伴うことが予想される場合は実名以外で書くことも知恵ですね。
世の中は信念があり強い人ばかりではありませんから・・
但し、次のことは言えます。

「責任と信念なき言論は煙」・・・「同・・屁の如し」

世の中をよりよき方向へと願う人は多少のリスクは覚悟の上だと思いますが・・アナログ新聞でもそうだったですが、インターネットの社会でも影響は同じです。

むしろインターネットのメリットを生かし「世の中を良くしよう」と考え「行動する人」を増やさねば今の世界の危機を克服出来ないと考えますが如何でしょうか?

4 全力失笑 11/29 16:56
>プロの編集者としての仕事を期待したい。

そのプロが市民記者のペンネームと本名を間違えて
載せたりしちゃいましたね。もう直したようですが。
こういうミスはコメント欄だけでなくOMNトップで
お詫びと再発防止への取り組みを載せてくれないと。
頑張れ編集部。

3 IT夫 11/29 04:52
プロ野球でギクシャク… 経験があります…
http://q.hatena.ne.jp/1130374123

実名投稿のリスク… 最近とみに思います…
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2780921/detail?rd

冷静に論理的なコメント投稿… これは…
これはちょうど投稿させていただいた記事と関係があるような

【仮タイトル】ニューシングは一体どうなってしまうのか
【仮サブタイトル】反旗を翻した人々の哀しき末路は見たくない

2 うしき@篠ノ井 11/28 11:37
>短時間で気合を入れて書き上げた文章ほど非論理的で感情的になりやすく、いったん落ち着いてから見直すほうがいい。また可能なら、親しい人に1度目を通してもらい、感想を聞けるとさらにいい。
>オーマイニュース編集部にはそのリスクを減らしてくれることを期待したい。記事中の不必要な煽りや過剰な文言、読者に偏った誤解を与えかねない表現などを、執筆者と連絡を取り、原文を生かしつつも、第3者の目でうまく編集して欲しい。プロの編集者としての仕事を期待したい。

とても良いご指摘だと思いました。S藤T信記者の「小説の書き方から記事の書き方を学ぶ~読みやすくプロらしい記事を目指そう~」や、この記事のような、記事を向上できるハウツーものを沢山載せて欲しいです。

1 ふねしゅー 11/27 21:56
 概ね同意します。

 私は以前、どの記事に対して付けたコメントか失念しましたが、次のようなことを書きました。

「本当に恐いのは、本人もしくは家族等の実生活に被害が及ぶことや、「死ね」や「殺す」などの極端な言葉が書き込まれることです。最悪そういった事態が生じた場合に、果たして警察は動いてくれるのか、あるいは法律で守ってもらえるのか。編集部として、万一の場合の対処方法を示してもらえれば、記事を書くのが恐いと考える市民記者は減るのではないでしょうか」

 オピニオン会員が市民記者と一本化されたことにより、ひどい誹謗中傷に対してはある程度の抑止力が働くようになっているようですが、たしかに政治思想や宗教の話題になると、一抹の恐さがありますね。

 韓国版オーマイニュースの歴史の中では、刑事事件に発展してしまったようなことはなかったのでしょうか? あるいは記事内容によっては、民事的な裁判沙汰になるような可能性がありえるのかなとも思いますが。。

 念のため、私は実名主義には賛成です。市民が実名で記事を書くというのがオーマイニュースのミソであり、市民一人一人の責任ある社会参加につながると期待しているからです。だからこそ、守る仕組みの提示がほしいと思っています。


違います(全否定)。実名であれ匿名であれ根拠のないデマを撒き散らすなと書いていただけです。語気が荒くなる場面もあったのは否定しませんが。

↑の記事は日本版オーマイニュース編集部が編集を行ない正式に採用した記事です。日本版オーマイニュースの『創刊宣言』を一部抜き出します。

日本版オーマイニュース『創刊宣言』より一部引用

ちなみに上記「BA機内~」の記事を書いた市民記者さんはこの方↓

信用を担保するために実名を出すという心意気は買いますが、その前に報道記事として嘘を書いちゃいかんでしょ、という話。そんなに難しいことではないと思いますが、当時(も現在も)激しく抵抗される方が複数名いらっしゃいました。

嘘やデマを撒き散らすけど優しく受け入れろ」ってアホかwwwとしか思いません。