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社会習慣のチップをめぐり米国で訴訟急増

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003126

従業員にとっては生活給の一部
苅田 保
2006-11-14 20:46

 米国ではレストランやバーでは、心付けを意味するチップを従業員たちに払うのが社会習慣になっている。給料の安さをチップでカバーする雇用主が大半で、チップは従業員にとって生活給の一部にもなっている。チップは従業員のサービスなどへの“贈り物”といえるが、便宜上、雇用主が管理していることが多い。このため、チップが適正に従業員に払われているのかどうか不透明な点も多く、ここ数年、チップをめぐる訴訟が急増している。

 米紙『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』によると、全米の飲食店などに支払われたチップは最近の例では、年間で260億ドル(約3兆円)と推定されている。チップは普通、売上額の15%程度といわれる。

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(写真はイメージ、ロイター)

 レストランやバーなどは、利益を上げるために人件費を抑えるのに躍起になっている。しかし、給料が安くては人が集まらない。そこで役立つのがチップという習慣で、うちで働けば、かなりのチップがもらえると言って、誘っているのが現状だ。チップという存在なくしては、レストラン業界などは成り立たないといわれるゆえんだ。

 ここで問題になるのがチップを誰が管理するかだ。チップは、客が店のサービスに満足してカウンターや請求書の下に置いていくご祝儀だが、カリフォルニア州のレストランの場合、半数が雇用主が管理している。管理というのは、一時的にチップを預かるという意味だが、チップを収入の一部と見る雇用主もいるため、正しく全額が従業員に戻っているとは断定できない。これが近年のチップをめぐる訴訟急増の原因になっている。

 2004年には、大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」が、カリフォルニア州の元従業員から、チップが管理職側にも支払われているとして裁判所に訴えを起こされた。この裁判は、雇用主がチップを着服したものではないが、シフト制職場を監督するスタッフにもチップが払われていたことが問題になり、裁判沙汰になった。

 管理職側がチップを受け取るのは州法で禁じられている。スターバックス側は、シフト管理者は会社側の人間ではないと反論しているが、この訴えは集団訴訟として認められており、敗訴すれば、カリフォルニア州にいる元、現従業員10万人に巨額の損害賠償を支払う義務が生じる。裁判は来春始まる。

 チップは店によっては、接客に当たったウェーターやバーテンがすべて受け取る場合もあれば、その日のチップを一括してプールし、店が閉じた後、従業員全員で分配するケースもある。従って、チップを自分ですべて取れる店では、チップの方が給料より、はるかに多いという従業員が多い。

 店によっては、雇用主がチップを一括管理し、この結果、従業員にはチップは一銭も払わず、チップを給料の一部にして払っているケースもあり、チップを払った客にとっては、想像もつかないようなチップの分捕り合戦が起きている。

オーマイニュース(日本版)より

※引用文中【画像省略】は筆者が附記


この記事についたコメントは5件。

5 クリストファー・エリクソン 11/16 21:01
タイトルだけ見てチップの要不要の話かな、と思ったら分け前のゴタゴタの事だったのでびっくりしました。

しかし、多文化が混じり合い、かつ合理性を尊ぶアメリカ社会で、チップ制のようなあまりにヨーロッパ的で形式的で煩わしい習慣が何故日常生活に生き残っているのか、とても不思議に思います。
実質的な給与である他にも、何か特別な社会的な役割があるんでしょうか?

3 飛☆浪漫 11/15 03:15
アメリカ人が来日して チップを出さなくていいのに
『サービスがアメリカより行き届いてるから驚いた』って聞きますがどうなんでしょう?
自分がローカル・スタッフやった時なんかチップはないけど 手伝いすると やたらアメリカ人が
『グレイト!』『ビューリフォ!』『ファッキン・ビューティフル・ガイズ!!』
とかいちいち言ってくれましたが 言葉のチップみたいなもんでしょうか?

2 tc 11/15 01:28
以前NYでつり銭ごまかされそうになったから文句つけて代わりにチップはずんだことあるべ。悲しすぎ。

1  11/14 23:16
記者さんは在米ですか?

半ば強制的に心付けを渡すしきたりをもつ文化って、あまりなじみになりたくありませんが、世界的にはどのくらいの分布なんでしょうか。


売上の15%がチップって多いですね。米国人にとっては当たり前の習慣なのでしょうけれど。