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魅力を失いつつある香港ドル

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000001948

深浅で凋落ぶりを体験
記者名 S藤 H教
2006-10-03 14:40

 香港から鉄道に乗り、約45分で到着する深圳。

 ここは中国本土への入り口であるとともに広東省最大の経済特区指定都市だ。ここでは、人民元のほかに、香港の通貨・香港ドルも通用し、かつては香港ドルのほうが使いやすかった。しかし、過去数ヶ月の間、この街で暮らす人々の意識が急速に変化している。香港ドルが軽視され始めているのだ。

 私がはじめて深圳に足を踏み入れたのは98年の夏。当時は今のようなビザなしの入境は許されておらず、100香港ドル(当時のレートで約1600円)支払って最大5日間の特別ビザを取得しなければならなかった。香港とは異なり「中国本土」である、という一種の異空間的な響きにあこがれての訪問だった。

 当時、深圳の治安は最悪だった。スリや置き引きが街のいたるところで蔓延し、旅行者は自分の荷物から決して目を離せなかった。

 街を闊歩する男たちの目つきも悪く、着ている衣服は汚れ、誰がみても貧しい人民であふれた街だった。若い女性が1人で訪れることなど到底できる街ではなかった。香港とは全く別世界の人々が住んでいた。

 あれから8年。深圳は大きく変貌を遂げた。街はきれいに舗装され、最新型の地下鉄も開通し、治安も見違えるほど改善されたため、今では台湾や香港からの若い女性たちが安いアクセサリー等を買いに1人で来る姿も見かけるようになった。

 深圳は香港に最も近い中国本土の街であるため、香港ドルが街のいたるところで流通している。通貨価値は人民元よりも高く、円やドル、ユーロ等への両替が容易にできるため、商店やレストランなどでは観光客から料金を受け取るときにわざわざ香港ドルでの支払いを要求することが公然の商慣習だった。

 しかし、9月に深圳を訪れたとき、この常識はみごとに覆された。

 広東省最大の“アキバ”、「華強北路」の一角にあるタバコ屋を訪れたときのこと。

 日差しが真夏のように暑く、歩き疲れた私はのどの渇きを潤すために、ペットボトル入りのミネラルウオーターを買おうとした。若い女性店員に値段を聞き、3元を支払おうとした。

 あいにく私は人民元を持ち合わせていなかった。財布の中から3香港ドル分の硬貨を今までのように手渡したところ、受け取りを拒否されてしまった。

 その店員は私の財布の中をのぞき込み、10香港ドル札を見つけるや、「これならOK」と指さしたのである。

 私はすかさず「おつりをくれるのかい?」と聞き直すと「NO」という。結局、そのタバコ屋での買い物は断念し、近くのマクドナルドで快適なエアコンを浴びながら一休みした。そして近づいてきた親切そうな女性マネージャーにさっそく疑問をたずねると意外な答えが返ってきた。

(1)6月ごろから香港ドルは紙幣のみ受け付けるようになった。
(2)香港ドル硬貨は銀行で人民元に両替できないので経理上邪魔。
(3)人民元の価値はますます値上がりするので香港ドルよりも魅力的

 かつて人民元は中国国内からの持ち出し規制が厳しく制限され、外貨に両替しにくい通貨だった。今では経済の発展とともにそれらの規制もかなり緩和された(香港やマカオでは「人民元歓迎」のプレートを街のいたるところで見かけることができる)。

 また、3年前に突如香港を襲ったSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響により外国人観光客が激減し、香港経済が大打撃を受けたことによりその対応策の一環として中国本土の人民たちの入国制限を大幅に緩和したことも人民元の流通にいっそう拍車をかけることになった(カジノで有名なマカオでは本土からの人民元の持ち出しが無制限だ)。

 現在、広東省では誰もが人民元の未来に魅力を感じており、香港ドルという地域通貨は急速に魅力を失いつつある。

 今、香港ドルは人民元よりも1.5パーセントほどプレミアムが上回っている状態だが、年内にも人民元が香港ドルを上回っても不思議ではない。どうやら香港を代表する香港上海銀行のなかでも、そのような見方は浮上しているらしい。筆者は同行本店行員と雑談して知った。

 しばらくは人民元と香港ドルの相場に目が離せない日々が続きそうだ。

オーマイニュース(日本版)より

この記事についたコメントは2件。

2 S_AMIREN 10/09 19:04
敢えて内容の真贋や妥当性の検証は無視して、足で稼いだビジネス情報は大事だと思いました。
複雑な分析や予測よりも、習慣や風俗を織り込んだ現地報告に近い経済記事こそ、オーマイニュースに見合った経済の記事だと思います。
次回に期待します。


誤字脱字は今後もスルーします。

香港上海銀行はHSBC傘下の銀行です、というより本体か。人民元も何だかあやしげな元高になっていますし半年後くらいに売り抜ける所が出てきそうな感じかなぁ。ま、素人予想だけど。

中国共産党は約束を守らないということは常に頭の片隅においておきたいものですね。