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経済用語の新常識(9) ~山崎元コラム~

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/OhmyColumn.aspx?news_id=000000002652

[第9回]ロングショート運用
山崎 元
2006-10-27 08:10

【ロングショート運用】

 株式で資金を運用する手法のひとつで、株式の買い(ロング・ポジション)と空売り(ショート・ポジション)を基本的には同額行う方法。

 通常のロング・ポジション一方の運用の場合、株式市場全体の平均株価が下落すると損失となる可能性が大きいが、ロングショート運用では、こうした変動の影響を受けにくく、「マーケット全体の上下に関係なく、安定的な絶対リターンの獲得を目指す」といった触れ込みで、マーケティングされることが多い。

 ただし、安定的に利回りを稼ぐことができるのは、運用がうまくいった場合のことで、運用が拙い場合には、マーケット全体の上下に関係なく損失が出ることになるし、昨年のように平均株価が大幅に上昇するようなときには、通常のロング・ポジションの運用に大きく劣ることがほとんどだ。

 日本株で、ロングショート運用が行われる資金の相当部分は、外国人投資家が資金を出しているヘッジファンドであり、これに加えて、国内の企業年金なども資金の出し手になっている。ヘッジファンドは当初は外資系の業者が中心であったが、近年は、国内の運用会社も、既存の大手運用会社に加えて独立系の運用会社も、同様の運用サービスを提供している。

 個人投資家には直接関係がないとも思えるが、そうとも言い切れないのは、今年に入ってから、日本株のロングショート運用を行う資金の運用成績が悪いことと、現在のロングショート運用に一定の偏りがあることの影響が株式市場に出ているからだ。空売りを行うためには、売るための株を調達しなければならないし、株式を買い戻す際に取引が薄い状態では心配だ。したがって、空売りの対象は、市場での取引量が多い大型株になることが多く、また昨年、IT企業や新興企業の株価が好調だったこともあり、ロングショート運用の資金で、小型株のロング(買い持ち)、大型株のショート(売り持ち)のポジションが大量に積み上がった。

 ところが、今年1月のライブドア強制捜査による影響もあって、小型株の株価が大幅に下落して、ロングショート運用の運用成績が悪化し、顧客からの解約が相次ぐようになった。前記のようなポジションを持ちながら、顧客の解約を受けると、小型株を売って、大型株を買い戻す、という操作を行わなければならなくなるが、こうした動きがまた一層、自分たちの運用成績を悪化させる、という悪循環が発生する。

 ライブドア・ショックの影響が一巡したと思われる7月下旬以降も、IT企業を中心に、小型株がまとめて売られるような動きが出た背景には、上記のような、ロングショート運用の逆回転があった。ヘッジファンドの決算期は一定しないが、9月以降年末までの間にあるものが多いと言われている。1~3カ月前くらいに解約の通告を行わなければならないケースが多いから、解約による影響は山を越えた可能性が大きいが、今後もまだ出てくる可能性がある。新興市場の銘柄が、軒並みまとめて叩き売られるような動きになるときは、こうした動きが背景にあることを理解しておくといい。

 なお、「まとめて売られる」場合には、個々の企業の業績の見通しが悪くない銘柄も売られることが多いので、こうした銘柄を安い株価で買えるチャンスが生じることがある。個人投資家はこの点にも注目したい。

 それにしても、「安定的な絶対リターンの獲得」などという「うますぎる話」に簡単に乗せられる企業年金などのお人好し具合は、何とかならないものだろうか。

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山崎 元(やまざき・はじめ)
1958年生まれ。経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表(投資と投資教育のコンサルティング会社)。著書に『「投資バカ」につける薬』(講談社)、『お金をふやす本当の常識』(日本経済新聞社)など多数。著者ブログ「評論家・山崎元の王様の耳はロバの耳!
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・第8回[地政学的リスク]
・第7回[年金一元化]
・第6回[インフレ・ターゲット]
・第5回[イノベーション]
・第4回「IPO」
・第3回[ストラテジスト]
・第2回[ラップ口座]
・第1回[TOB]

オーマイニュース(日本版)より

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リーマンショックは2008年9月15日です。ピーマンが嫌いな子供にピーマンを食べさせるためにわからないようピーマンを細切れにしてハンバーグに混ぜ込んで食べさせようとしてたらバレますわな。ピーマン嫌いの味覚をナメ過ぎです。

最後まで抵抗してたのもドイツでしたっけ。

ロシア国民がプーチンを支持している(ように見える)かぎり、ケツの毛まで全部抜かれる未来しか見えませんねw ご愁傷さま。