見出し画像

サイト上の記載で名誉棄損「刑事」裁判

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000001878

表現の自由と法制度を考える
記者名 吉本 敏洋
2006-10-15 15:52

 「グロービートジャパン・平和神軍事件裁判」の第13回公判が9月27日、東京地裁・第426号法廷(警備法廷)で行われた。これは、Webサイト上の表現が名誉棄損で起訴された、日本で最初の、そして唯一の刑事裁判である。

 起訴状によると、被告人であるA氏が、自ら開設したWebサイト上に、グロービートジャパン株式会社が「カルト教団である旨の虚偽の内容を記載した文章」や、同社の「会社説明会の広告を引用したページにおいて(中略)虚偽の広告をしているがごとき内容を記載した文章」を掲載し続け、同社の名誉を棄損したとしている。

 同社は、フランチャイズチェーン「ニンニクげんこつラーメン花月」を運営している企業。裁判は、同社が宗教団体・日本平和神軍のとの関連性や一体性があるとの表現を巡り、その真実性や相当性を巡って争われている。

 これまでの公判において、グロービートジャパン社長の黒須伸一氏や副社長の靏見嘉弘氏への証人尋問が行われ、教団の教祖に対し年平均3000万円におよぶ献金が行われていることや、教祖が代表を努める「イオンド大学」(本校はハワイ。文部科学省所管の「大学」ではない株式会社)へ無料で施設を貸し出していることなどが明らかになった。また、創業時から2006年2月頃まで、教祖が同社株式の51%を所有する筆頭株主であったことも明らかになっている。この日は、靏見氏への尋問最終日であり、弁護人から、グロービートジャパンの営業上の機密情報が、教団の教祖に漏えいしていることなどについて突っ込んだ質問が繰り返された。

 証人は、弁護人から質問される多くの項目について、「知らない」「忘れた」を繰り返した。たとえば、自身の名義となっている告訴状の添付書類が、どのような理由で添付されているのかについての質問に対しても、「見たことがない」「なぜ添付されているのかも分からない」などと回答している。前回は、会社設立にあたってどのように資金調達したか忘れた、結婚した日付も忘れたなどと回答している。この日は、2時間半に及ぶ弁護人からの質問後、検察官と裁判所から簡単に質問が行われ閉廷した。

 筆者は、Webサイトで個人が行うジャーナリズムひいては表現の自由の観点からこの裁判を追いかけているのだが、調べれば調べるほど、日本の法制度の不備を感じざるを得ない。というのも、今回ような刑事の名誉棄損訴訟では「罪のないこと」を訴えられた側が証明しなければならず、組織的なジャーナリズムならともかく、個人でそれを行うのは大変な困難を伴うからだ。

 また、公判後、弁護人の紀藤正樹弁護士にインタビューしたところ「99%真実が書かれていても、1%間違いがあれば裁判に負けてしまう。それが法の問題点」とのこと。つまり、「限られた紙面」と言った表現上の制約がないWebサイトの場合、参考資料や説明を限りなく詳しく行うことができる。しかし、たとえば誰かを批判する際に書いた経歴の一部など、部分的にでも間違いがあれば、そこだけを取り上げられて有罪になる可能性がある。

 この裁判でも、このWebサイトでは数十ページにもおよぶ論評を行っていたが、起訴状で問題とされた表現は、ほんの8行分程度である。他の多くの部分に問題がないにもかかわらず、普通の個人が起訴され刑事被告人となっているのが現実だ。さらに、民事での名誉棄損の賠償額は、高額化する傾向にあると言われている。

 現在、オーマイニュースをはじめ、さまざまなメディアが、こぞって「市民ジャーナリズム」の理想や可能性を宣伝している。だが、ふとした拍子に高額な賠償金を負わされてしまったり犯罪者となってしまわないよう、現実の裁判例から考えてみることも必要である。

 なお、次回公判は、10月27日(金)13時30分より、東京地裁426号法廷で行われる。

オーマイニュース(日本版)より

この裁判の結果は以下のPDFで読むとわかりやすいかと思います。

このPDFファイル内の記事を書かれた記者さんもオーマイニュース関係者です。


この記事についたコメントは14件。コメント番号3~5は日本版オーマイニュース編集部スタッフさん(具体的には平野日出木デスク)による手動削除、8はコメント者による自己削除、10もコメント者(野良猫氏)による自己削除、14もコメント者による自己削除です。情報量多すぎですがこのあたりの事情は後述します。

13 yonemura 10/20 18:47
3~5のコメントも消されましたね。
Wikipediaへのリンクも、Googleの検索結果もオーマイの削除対象とわかりました。
どこから見てもオーマイニュースのコメント八分ですw
うだうだ言ってないでさっさとこの問題を追及しなさいw>吉本敏洋(Beyond)氏

12 野良猫 10/17 01:03
花月さんの悪口と受け取られるといやなので、いったんは削除しました。
そういうつもりはないが、個人的に思ったことでした。
店の状態をどういうふうに感じるか、そこも含めて考えてほしいと思います。
バックにいい音楽でも流してくれてたら、こってりラーメンももっとおいしかったのにね。。。


それより大切なことは、その「忘れた」的な対応を、もっと一般人の評価に露出するべきでしょうね。
もしも、本当に「忘れ」てはいないことを法廷で「忘れた」と証言したのならば、それ自体が偽証になるでしょうから。

11 yonemura 10/16 20:37
まあ、この記事とは直接関係ないんですが、たとえば吉本氏が告発記事を書いてこのグロービートのような企業から訴えられる、私のようなコメントが誰かの所属する組織から名誉棄損の訴訟を受ける、
なんぞという事態も「タブーに挑戦する」のが看板のオーマイニュース
http://www.ohmynews.co.jp/HotIssue.aspx?news_id=000000000617
では当然ありうると思いますが、
そのへんの訴訟リスクはきちんと考えておられるんですかな?w

私のコメントのように、ちょっとクレームを受ければ、事実関係の調査すらせずに即削除! 
を繰り返すというのも「タブーに挑戦する」「ジャーナリズム」の取る態度としてはかなり情けないものですなw

ま、法律顧問の一人でもさっさと置くことです。訴訟リスクを甘く見ていると大やけどを負いますよ。
オウムのような訴訟大好きの組織も日本には多いものですw

9 yellowbell 10/16 17:16
言わずもがなでかつ釈迦に説法ですが、ジャーナリズムは権力に対抗しうる力を持っています。
その力が権力に向かううちはいいのですが、昨今のように権益にまで向かうことを必要とされるとなると、名誉毀損問題は避けて通れないことでしょう。

ジャーナリズムとそのリスクの問題は、この国のワイドショージャーナリズムにとってもっとも重要なトピックであると思われますので、続報を期待します。
また、市民ジャーナリズムという言葉をセンセーショナルなあおり文句にすることなく、記者諸氏にはその意義と覚悟と自覚を自らの記事の初頭で謳いあげるくらいの自律を期待します。

7 吉本敏洋 10/15 22:36
>そして、吉本敏洋(Beyond)氏も、このオーマイの酷い言論弾圧に対し、
>Webサイトで個人が行うジャーナリズムひいては表現の自由の観点からこの問題を追いかけてほしいものです。

時間があれば追いかけてみたいところですが、私が全てを追いかける必要も無いので、yonemuraさんにお任せします。

ただ、一つ言わせてもらえば、関係の無い記事にSPAMのような書き込みを行っても、誰の支持も得られないと思いますよ。

6 yonemura 10/15 22:21
Wikipediaのリンクに「アレフブロガーの時代」がありますなあ~w

2 吉本敏洋 10/15 19:43
>Webサイト上の表現に対する名誉毀損訴訟に関する記事ですか。また随分と絶妙なタイミングでの掲載ですね。

勘ぐり過ぎです。
この記事は9月28日に投稿したものですが、編集に時間が掛かり、やっと掲載されました。編集は、編集部と私のメールのやり取りで行われ、編集が終了して間を置かず掲載されたため、タイミングを計る時間はありません。

編集は主に、裁判に係わる事実関係の調査と、事実に関する表現の微調整です。「この部分を、もっと詳しく」「資料では、こうなっています」と言うようなやり取りが、何度と無く行われました。

1 Hounddog 10/15 17:10
Webサイト上の表現に対する名誉毀損訴訟に関する記事ですか。また随分と絶妙なタイミングでの掲載ですね。

「アルファブロガー」は成立しているか
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000002238

におけるコメント削除、及びコメント欄封鎖を正当化したいという編集部の意図が透けて見えるのは、私の勘ぐりすぎでしょうか?


まず記事本文について。

ネット上で言論活動(ブログやツイッター、YouTube等ほぼすべて)を行なうなら常に頭の片隅に留め置かなければなりません。そういうトラブルを避けたいなら秘して黙す以外の方法はありません。

で、コメント欄の事情説明。

まず記者さんのyonemura氏への対応は正当なものであり、わたしはこの対応を支持します。無関係な記事への連続投稿はスパムと判断されても仕方ない。コメント番号3~5に書かれていたのはyonemura氏による松永英明氏関連の書き込みで、松永氏の経歴をゴシップ的に扱っていたブログのURLを含むものでした。そもそも松永英明って誰やねんって方は以下を参照なさってください。

その松永英明氏へインタビューを行なった市民記者さんの記事(※)のコメント欄でもyonemura氏は同様の書き込みを行ない、編集部スタッフさん(平野日出木デスク)にコメント削除されています。

※該当記事は後日取り扱います。↓

上記記事では最終的にコメント欄が閉鎖されたのですが、そちらの経緯については上記記事の感想文とともに詳細に解説をつけようと思います。そんなコメント欄が閉じられるような事態を詳細に解説することなどその場に偶然居合わせなければ不可能ですが、まぁ可能なわけですよ。

コメント欄を閉鎖させたのはわたしだから。