NF2019ルーチン公開

京都大道芸倶楽部 Juggling Donuts所属のわきしろうです。
昨年に引き続き、今年度の11月祭(NF)で披露したルーチンのノードロ編集版を公開しました。よろしければご覧ください。

https://youtu.be/SX8Xrr9Z530

とはいえ、実はNF直後に一度ノードロ編集版(仮)を上げており、これだけで記事を終わらせるのは物足りません。
そこで今回は、ルーチン製作の過程を文章化してみます。

1.コンセプトを決める

具体的にルーチンを作り始める前に、ルーチンのコンセプトを決めます。今回であれば、
目的→学生大会出場のための基礎固め
雰囲気→真面目
という2点を決めました。
今まで「今度こそちゃんと格好良い感じのことをするぞ」と意気込んでは毎回変な方向に逸れてきたので(例:JDLルーチン)、いよいよ本気でクールなやつ作ろうやというモチベーションです。

2.技系統を決める

コンセプトを基に、ルーチンに使う技系統を決めます。
今回はフラットスローを軸に据えました。年始あたりから熱心に開発・練習してきたオーバーヘッドフラット系統を演技に取り入れる目的があったのと、大会へ向けた高難易度技への発展が(手持ちの技術の中では)容易そうだったからです。
軸以外に使う技系統は、曲が決まってから決めていきます。

3.曲を決める

技系統と並行して、ルーチンに使う曲を決めます。まず条件として
長さ→4分~4分半
種類→日本語歌詞付き
の2点を決めました。
長さについては大会用ルーチンを意識した結果です。高難易度の技を持っていないため技の多彩さで技術点を稼ぐとして、あまり短いルーチンは向いていないと思ったからです。
種類については、技術の練習に時間を割くべく構成は素早く決めてしまいたかったので、作り慣れた日本語歌詞付きの曲にしました。

特に使いたい曲は無かったので、Twitterで候補曲を人に提案してもらい、その中から選びました。

4.構成を大まかに決める

曲が決まったら、曲のパートと技構成のパートの対応を考えます。
僕はサビで単純な技間奏でジャグリング以外の動きその他でシーケンスやマニピュレーションをすることが多く、今回もそれに倣っています。サビでは頭を使わず盛り上がりたい、それ以外では基本賢そうに見せたい、少し休憩も与えたいという思想です。
より具体的に、1番サビで普通のフラット系、2番サビでオーバーヘッドフラット系、間奏後から4クラブ、後奏で5クラブでひと技、という所まですんなり決まりました。

5.曲をよく聴く

(主にジャグリングができない時間に)曲をひたすら繰り返し聴き、音を拾いたいポイントや、音に合う動きを考えておきます。
歌詞付きの曲であればメモ帳アプリに歌詞をコピーしておき、この歌詞の部分にこの動き、というようなメモをしておきます。公式の歌詞検索サービスなどはコピーガードがかかっているため、適当なブログとかを探してコピーすることが多いです。

6.細かい動きを決める

曲を聴くのと並行して、各パートの細かい動きを決めていきます。
ある程度動きの候補が出せている部分から決めていき、あとの部分は自分の安定している動きや使ってみたい動きを編集してはめ込んだり、ひたすら区間リピートをしながら動きを模索したりします。
音楽再生にはjetAudio+というアプリを使っています。区間リピートや再生速度の変更などが気軽にできるので便利です。

技パートは安定度やバリエーションの付け方(前向きが映えるか、横向きが映えるか)などで比較的簡単に決まります。
シーケンスパートは難易度があやふやである(製作過程では成功率がゴミでも案外安定してくることもある)こともあって動きを決めにくいのですが、①音合わせ ②技要素の繋がり ③構成上の要請 などをヒントにひたすら試行錯誤し、面白いと思った動きを採用して繋げていきます。

具体的には、①は1番Aメロのサムロールやフィンガースピンに反映されています。特徴的かつテンポの速い「いらんいらんいらんいらん」の部分に合わせる動きを考えたときに、細かくてフラット系とも見た目の相性が良さそうなサムロールを合わせることにしました。統一感を与えるべく、同じリズムの所ではクラブを横に約2回転させるバリエーションとしてフィンガースピン、ヘリバックキャッチ、掌での回転を採用し、それらを繋げるための動きで1番Aメロ前半を埋めました。
②は、2番Bメロ最後の納刀フィニッシュに反映されています。2番サビのラストの技が先に決まり、そことの繋がりを意識して納刀で終わるシーケンスを考えました。
③は、間奏~ラストサビ前までのシーケンスに反映されています。まずルーチンに緩急をつける(観客を休ませる)ために大人し目の動きにすることを決め、ルーチン全体のキャラ付けのため序盤にもやったサムロールを間奏でやることにしました。また4のオーバーヘッドフラットファウンテンはしっかり技として見せられる練度にならない前提だったため、本格的に4での技をやる前(ラストサビ前)にシーケンスの締めっぽくやることを決めました。

どこか一部でも動きが決まると、シーケンスは作りやすくなります。特にクラブでは道具保持の状態数が多いため、状態の変化を繋げていくイメージで未定部分を埋めていけます。
また、直接繋がっていない動きでも統一感や一貫性、イメージを決めることで連鎖的に動きが決まることがあります。今回で言えば、1番サビ後のオーオー言ってる部分で面維持フラットカスケード一周をすることが決まったところから、1番Aメロでのアイソレーション的な動き(面維持という一貫性)、2番シーケンスパート全体(1番シーケンスはクラブを固定して身体が動くイメージ、2番シーケンスは体を固定してクラブが動くイメージ、1番サビ後はその移行点)が決まりました。

7.実際に通す

パート単位で完成したら、実際にルーチンを通してみてリスク管理などをしていきます。動きを決めた段階では思いつかなかった簡単な代替案が思いつくことがあるので、思い切ってどんどんリスクを下げていきましょう。
本番1か月前の段階で通し練習にストレスを感じるほど落とすようであれば、難易度の高い技を削ったり、技・パート単位で特訓したりする必要がある気がします。もっと完成度を求められる発表機会の場合は多分もっと前倒しした方が良いです。練習に使える時間などにもよります。


以上です。

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