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刺される考

だいぶ前、島田紳助がまだテレビに出ていた頃、こんなことを言っていた。
いきなり後ろから刺されて振り向くと、なんでお前が!?っていう奴が立っとんねん。
やはりお前か!なんてやつは刺しに来ない、目をかけてかわいがったやつが何かで逆恨みして凶行に及ぶものだと。けだしその通りだろう。さすがは紳助、人間をよく知っていたと思う。
今は、さしづめ、誰だお前は?という奴が立っているのだろうか。

いきなり後ろから刺されたとして、そのとき咄嗟に、あ、これ、なにかの怨恨だろう、自分が何かで邪魔だったんだろう、とは思わずに、なんだいったい、なんにも思い当たらない、きっと通り魔の衝動殺人に違いないと思える人は、幼いか、そうでないなら人生御の字で過ごしてきたということだ。
私ですか?私はその時100%で前者だと身構えるだろう。真夏どんなに暑くても滅多にスーツを脱がないのは、布一枚が大事だと思うからだと、これまた若者に言ったら、あくまでも闇討ちされる想定で、格闘になる想定はしないんですねときた。たしかに。

カフェのテーブルで、壁を背にする側と壁に向かう側に椅子が置いてある形の店で、お一人様の多くは昨今、壁側に座らないのですね。壁に向かって座る。他人を見たくないのと、見られたくないのと二つの理由からだそうだ。
私なんかは、大島渚が必ず壁を背にして議論したなんていうのとほど近い時代を過ごしてきたので、そういう座り方は不安なんだよねと、若い世代に言ったら、何が不安なんですか?と聞いてくる。だって、いつなんどき暴漢が入ってくるとも限らないだろう?店全体を見渡しているのとそうでないのとでは、状況把握に1秒2秒遅れるよ、不安じゃない?と言ったら、ふだんどういう想定してるんですかとこれまた笑われた。

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