見出し画像

【④ハートヤイ→パダンベサール→バタワース→ペナン島】赤い提灯と茶色い汁

寝坊した。起きたら8時だった。乗る予定だった列車はもう出てる。

昨晩ホステルのおねーさんに相談して、洗濯物乾くように移動してもらったのに、めっちゃ恥ずい。

ロビーに降りたらそのおねーさん居なかった。夜シフトだからだろうね。良かった。いや良くない。もう午後発の列車に乗るしかないのだが、果たしてペナン島行きのフェリーに間に合うのだろうか・・・。


ここで説明しておくと、今日の目的地であるペナン島に行くためには、まず鉄道を2回乗り換える必要がある。今いるハートヤイから最初に向かうのが、1回目の乗り換え駅・パダンベサールである。まずはそこまでの切符をハートヤイ駅で買い、列車を待つ。

昨日より軍人増えてるじゃねーか・・・何が起こるんですか・・・。まぁいいか。ほぼ定刻で来た列車に飛び乗る。車両の中はほとんど聞いたことがない言語が飛び交う。おそらく乗客のほとんどがマレーシア人だろう。

最初のバタンベサールまではあっというま。40分ほどで到着する。ぞろぞろと降りていく乗客の後に続くと、どうやらこの列に並べば良いらしい。そう、ここがタイ出国のイミグレーションである。

人やべぇぞ。

でも大丈夫。この駅でのイミグレは楽勝らしいから。きっとすいすい進むでしょう・・・


結局、出国審査通るのに40分かかった。


審査自体はあっさり終了。しかしバックパック引きずるわけにもいかないのでずっと全荷物背負ったまま並んでたの、結構しんどかった・・・。

さて、次はマレーシア側の入国審査です。またどれだけ待たされることやら・・・

40秒で終わった。

マレーシアのイミグレがスゴイのではない。むしろタイすごい。ぶれない。陸だろうが空だろうが、「俺たちは急がない。窓口も増やさない。お前らが待て」という強い意志を感じる。

とにかく無事マレーシアに入った。今度はマレーシアの列車に乗り換えだ。その前に切符を買わないといけない。売り場は2階にあり、すぐ見つかった。実はまだ両替してないのでマレーシアのお金・RM(リンギット)を全く持ってない。しかしここの切符はタイバーツで買えちゃうのだ。

目的地のバタワース(Butterworth)までで112タイバーツ。マレーシアリンギット持ってれば11.4RMだったので、計算すると日本円で80円くらい損してるっぽい。まぁ仕方ないね。切符自体400円くらいだし。

クソ・タイイミグレのせいで既に列車2本くらい逃してるので17:25発を待つ。来た列車を見て驚く。

ーその前にというか、ちなみに、ここまで乗ってきたタイの「ディーゼル列車」もなぜか同じ線路に停まっている。

こちらがここまで乗ってきたタイの「ディーゼル列車」。

その車内。


そして、こちらがマレーシアの「電車」。

明るく、エアコンの効いた車内。

文明を感じる。

しかしマレーシアの文明的な電車にも難点がひとつ。トイレが無いのだ。もちろんタバコも吸えない。(タイの列車は車両の間なら吸っていいという謎ルールがある。)こちらは長距離列車というより普通の通勤電車という感じだ。微妙におしっこしたかったのを我慢しながらウトウトすること2時間、バタワースに到着。

ここでフェリーに乗り換えて、ペナン島を目指す。「フェリー」とかかれた看板の矢印を辿ってく。

これが思ってたより歩かされる。途中、建物の裏道みたいの歩いたり、唐突にエレベーターに乗らされたり、「ホントにこれで合ってるのか?」って思わされること数回。気が付くとモールみたいな駅ビルみたいな建物の中にいた。

しかし「フェリー」の案内はちゃんと続いてる。それに従って建物を抜け、アーケードになってるレーンをさらに歩き続けると、おお、潮の香りがしてきたぞ。その先にあった。フェリー乗り場だ。

良かった、今朝から心配していたフェリー、ちゃんと便ある。間に合った。次の便は19:50発、あと20分くらいか。よく見るとその次に8時台の便もあるし、夜もいくらか走ってるみたいだ。ガラスのゲート扉の前で先に車が乗り込むのを見送った後、ゲートが開き他の乗客と一緒にぞろぞろ乗り込む。

薄暗い船内。車も同じフロア側面に停まってる。真ん中にパイプ椅子みたいなシート席がまとまっている。景色が見たいのでもちろん座らず、先頭まで突っ切る。

ここからもうペナン島が見える。いつ動き出すのかなぁ、と若干待ちくたびれていると、微妙に船が動いてるのに気づく。どうやらゆっくり港を離れ始めたらしい。もっとモーターの爆音を上げて動き出すのかと思ってた。

だんだんと沈む夕日。それに反比例するように浮かび上がり、距離を縮めていくペナン島の夜景。なかなかロマンチックで美しかった。

20分くらいの船旅でペナン島に到着。港から宿まで辿り着ければ本日のゴールだ。ちなみに今日から泊まるこの町はジョージタウンと言い、島の中心地区だ。

俺はマレーシアのSimカード持ってないので、事前に撮っておいたマップのスクショを頼りに予約したホステルを探す。方向音痴のワリに結構スムーズに見つかった。中華系古商店風の佇まいで、なかなかillな宿だ。ただフロントの髭オヤジは無愛想でそっけない。荷物を降ろしてすぐに晩飯を食いに出る。

俺の取った宿はインド人街のすぐ側にある。それは元々知っていたのだが、インド人ストリート、実際見ると想像以上にサイケってる。

飯屋も結構あるし、もうこの辺食っちまおう。ふと目にとまった角の店、美味そうな匂いがする。既に21時を回っているにも関わらず客入りも中々良い。ここにしよう。

前で注文してる客を見てると、目の前に並んだオカズやカレーっぽいものを自分で選んでご飯にぶっかけてもらってる。俺もそれを丸コピして、フライドチキン+カレーっぽいもの3種類をチョイス。カレーは汁だけで具は入れてくれない。他の客もみんなそうだから、そういうもんみたい。

見るからに食欲をそそる一皿の完成である。(※食べる前の写真です。)

まずはフライドチキンにかぶりつく。うん。普通に美味い。タンドリーチキン風のまろやかな下味付き。次にカレーっぽい汁のぶっかかった飯。もうどれがどのカレーか分かんない、が、美味い。思ってたよりスパイスの香りも味の濃さも控えめで、あっさりしてる。しかし米との相性が良く、ガツガツすすむ。一番上にかかった黒い汁、カレーかと思ったが黒蜜のように甘いソース。この甘さが良いキックとなってチキンの味も締まる。この一皿で6RM(約165円)。コスパ的にも満足のいく一食だった。

さて、ちょっと付近を散策してから宿に戻ろう。

島に入ってからすぐ気づいたのだが、この町の雰囲気はかなり独特だ。まず華僑系らしい店構えの、中国語の看板を掲げた商店が目につく。しかし建物は、太い柱にアーチ状の梁があったり、ボコボコと装飾がほどこされた壁面を白×パステルグリーンなどとコントラストに塗装していたりと、コロニアル風のテイストを感じさせる。一方で、サリー(インドの衣装)やスパイスを売りビカビカ電飾が輝くいかにもインドらしい店舗も連なり、これらが混然一体となって広がっている。

そして何よりも印象的なのが、町中に吊るされた赤い提灯だ。提灯の赤い光が、異国情緒溢れる町をさらに幻想的に照らしている。

またここジョージタウンはアートの町としても知られ、いたるところにアートっぽいものがある。

猫もいるよ。

なんか歌が聞こえる。音の先へ向かうと、煌々と照らされたステージを発見。

中国風の派手な衣装着て高音でアエアエ歌うおばさん。あれ、こういうのタイでも見たことあるな。確かあれは去年の旧正月(中国春節)・・・・・・。


あっ、今旧正月か。


今更思い出す。さっき通った廟も夜なのに人が出入りしてて「ほえーさすが華僑系がいっぱい」とか思ったけど、旧正月だからじゃん。あと提灯も。タイもところどころ提灯出してたわ。旧正月だからじゃん。

ということで、この大変インスタ映えする赤提灯の景色も、この時期を外して行ったら見れないのかもしれません。

・・・そろそろ宿に戻るか。宿のある同じ通り沿いにモスクがあるので、最後にそれ見て帰るか。

モスクの正面、塔のようなものがライトアップされている。しかし、その脇でそれより気になるものを発見する・・・。

なにこの長蛇の列。

先頭を覗くとご飯屋さんであることが分かった。現在22:30。えっ、この時間にこんだけ並ぶってどういうこと・・・?!非常に気になる・・・。でもご飯はさっき食ったしな・・・。

まぁ食うよね。

だって気になるもん。この時間でもこんなに並んでるくらいだから、もっと早い時間だと2、3倍の列になる有名店なのか、あるいはこの時間だけやってる幻の一皿があるとか・・・。列の割に15分ほどで注文の番が来た。そして出てきたのがコチラ↓。



先と同じくぶっかけ飯である。

実はこの店もさっきと同じく、前に置かれたオカズや鍋の中から自分で選んで皿に乗っけるタイプだった。また同じく先の客の注文をマネて卵焼きと謎の煮込みみたいのをチョイス。最後にぶっかける茶色いカレーみたいのはこの店の定番みたいで、みんなそれかけてた。

さて、実食である。

まずは卵焼きから。うん、玉ねぎ入りの普通の卵焼き。しっかり味付けされてるからご飯のオカズになる。これはタイの卵焼きとそんなに変わらず意外性はない。次に謎の煮込みみたいの。これは、エビだ。煮込みというよりこの茶色いスパイスソースみたいので炒めた感じ。プリプリの食感が良く、味の濃さもほど良い。そしてメインの、カレーみたいな茶色い汁。さっき食べたカレーみたいな汁と似てるが、ドロッとした見た目通り味がさっきのより濃厚で、トマトらしき酸味と甘みも感じられる。

さっきから「カレーっぽい」「カレーみたいな」って連呼しているけど、カレーっぽくてカレーらしくないのよ。俺が知ってるどのカレーとも違う。つまりインドカレーみたいなスパイスの鮮烈さや味のインパクトがなく、またはタイカレーのようなココナッツミルクの甘さやコクもない。なんだか素朴な味わいで、味を強く主張することなくスッと入ってくる。そこがイイ。美味しい。

俺は今タイに住んでるけど、タイカレー、赤も黄も緑も、実はそんなに好きじゃなくてめったに食わない。昔は好きだったよ。でも飽きるのよ。クドくて。それに比べて今日食べた「カレーっぽい汁」はあっさりしてるなかしっかり食欲が進むスパイスの風味とほど良い塩気・うま味があって、これなら週3で食っても飽きないなって感じさせる。

しかしいくらなんでも夕食にたっぷりライス2皿は腹が膨れる。今夜は酒も入れる気にならない。苦しい腹を抱えてこのままホステルに帰って寝るとしよう。


【後日談】

確かにあの行列の店はなかなか美味かった。しかし、正直、これと言って何があそこまで人気を生み出しているのかイマイチ分からなかった。きっと現地の人にしか分からない魅力があるのだろう・・・と自分で自分を言い聞かせつつ、後日同じ店の前を通ると・・・

全然並んでねぇ。(※この日のこの時間は19、20時くらいの晩飯ピークタイム)

謎は深まるばかりである・・・・・・。

(2月10日。晴れ。明日へ続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?