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句集を読む

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句集を読み、収録句の中から印象に残った句を何句かpick upさせて頂いています。
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#高野ムツオ

句集を読む:『あの時 俳句が生まれる瞬間』

『あの時 俳句が生まれる瞬間』 高野ムツオ 写真・佐々木隆二 2021朔出版 著者は昭和22年宮城県生まれ、多賀城市在住。「小熊座」主宰。 2019年から2021年にかけて開催された「語り継ぐ命の俳句」展を機にまとめられた1冊で、同著者による『語り継ぐいのちの俳句』(2018年朔出版)の第三章「震災詠100句自句自解」を写真と共に再構成、加筆修正したもの。100句は著者の句集『萬の翅』、『片翅』からの句+新作。著者自身は「自解は避けるのが俳句本来のありよう」あとがきで述べて

句集を読む:『片翅』

『片翅』 高野ムツオ 2016邑書林 著者は昭和22年宮城県生まれ、多賀城市在住。「小熊座」主宰。 本書は著者の第6句集、全395句。 [章立て] 蝶の息 平成24年(2012年) 百燈 平成25年(2013年) 蕨手 平成26年(2014年) 甌穴 平成27年(2015年) 花の奥 平成28年(2016年) [好きな句15句] 大皿のパエリア太陽一個分 冬に入る笹蒲鉾の弾力も 欠伸してこの世に戻る冬日和 億年の途中の一日冬菫 福島の地霊の血潮桃の花 生者死者息を合わせて

句集を読む:『萬の翅』

『萬の翅』 高野ムツオ 2013 角川学芸出版 著者は昭和22年宮城県生まれ、多賀城市在住。「小熊座」主宰。 本書は著者の第5句集、全496句、第48回蛇笏賞受賞作。 [章立て] 樫の実 平成14年 蝦夷蟬 平成15年 凍れ日 平成16年 雪間草 平成17年 鯨の血 平成18年 緑の夜 平成19年 崖氷柱 平成20年 櫟落葉 平成21年 凍裂 平成22年 蘆の角 平成23年 鰯の眼 平成24年 [好きな句15句] 裸木となる太陽と話すため バーベルのような夏の陽病室に 息