マガジンのカバー画像

句集を読む

28
句集を読み、収録句の中から印象に残った句を何句かpick upさせて頂いています。
運営しているクリエイター

#照井翠

句集を読む:『泥天使』

『泥天使』 照井翠(てるいみどり) 2021コールサック社 著者は昭和37年花巻市生まれ。 「暖響」「草笛」同人。 本書は著者の第6句集。全408句。 [章立て] Ⅰ 泥天使 Ⅱ 龍の髭 Ⅲ 雪沙漠 Ⅳ 巴里祭 Ⅴ 群青列車 Ⅵ 縄文ヴィーナス Ⅶ 蟬氷 Ⅷ 滅びの春 前作『龍宮』から8年、「震災詠」、「常の句」、さらに最終章にはコロナ禍を読んだ句を収録したとのこと。 戦災も震災も人ひとりにす この無季の句は普遍的な衝撃句。「戦災」は(句集の出版年から考えれば)ロシアに

句集を読む:『龍宮』

『龍宮』 照井翠(てるいみどり) 2021コールサック社(文庫新装版) 著者は昭和37年花巻市生まれ。 「暖響」「草笛」同人。 本書は2012年に角川書店から出版された著者の第5句集の文庫新装版。全202句。 [章立て] 泥の花 迷宮 流離 雪錆 真夜の雛 月虹 句集のあとがきによれば、震災当時、著者は転勤で釜石市内、釜石港から数分のところに住んでおり、「死は免れたが地獄を見た」とのこと。その状況下にあってその状況をこれだけ多くの十七音に残してくださったことにまず感服する