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句集を読む

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句集を読み、収録句の中から印象に残った句を何句かpick upさせて頂いています。
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2023年3月の記事一覧

句集を読む:『思ってます』

『思ってます』 池田澄子 2016ふらんす堂 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第6句集。 [章立て] 思ってます ひとりのとき 居る あーだーこーだ 此処 ともしび 幸いなれ [好きな句7句] 春寒の灯を消す思ってます思ってます 花は葉にそれとも花はなかったか 入ってはならない村も此処も雪 津波以前此処に家々人々東風 夜は雪になるかそれとも誰か死ぬか 朝晩の寒さを嘆く元気かな 仏壇のメロンを今日も押して嗅ぐ

句集を読む:『拝復』

『拝復』 池田澄子 2011ふらんす堂 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第5句集。 [章立て] Ⅰ  Ⅱ  Ⅲ  Ⅳ  Ⅴ  [好きな句5句] 鰻重を奮発させるに異存なし 前兆は過去にのみあり実千両 いつか死ぬ必ず春が来るように 暖房や延期をすると老けてしまう 気が済んだらしや雲雀の落ちきたる

句集を読む:『此処』

『此処』 池田澄子 2020朔出版 著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第7句集、全380句。第72回読売文学賞詩歌俳句賞受賞作。 [章立て] 体 何処 この道 ときどき どの道 中有 次 此処 [好きな句15句] 初蝶来今年も音をたてずに来 三月十一日米は研いできた 数の子の薄皮ほどの自愛かな 天高く柱枯れ立つ日本丸 出来かけのゼリー何回揺すられる 無花果や自愛せよとは何せよと たいがいのことはひとごと秋の風 雑煮用鶏を解凍しつつ寝る 三月寒し行ったこともなくもう無