胸オペ検討したけど死にたくないからやめました

友人から「トランスジェンダーのリアル」という冊子が読みたいという連絡をもらったので、私ももう一度読んでいたのだが、鈴木げんさんの文章の冒頭に「治療をはじめたのは40歳のときです」とあった。おーぅ。私も40超えて移行を検討し始めている。いまさらこの年で…、なんて後ろめたく思っていたが元気が出た。40代からでもちゃんと外見が変わるものなんだな。オペなしで俺になる裁判、勝ってほしい。

先日美容整形の病院に胸オペを相談しに行ったのだが、「今では驚いたことにこの手術は保険適用でできるらしいですよ」と言われて驚いた(医師が言うのとは別な意味で)。

医師は「これは大きな手術であなたは40代だから傷の治りが若い人とは違う。入院設備のある病院で受けたほうがいいです。死んでもいいならうちでやるけど」と。

「驚いたことに」「死んでもいいなら」という言い回しにショックを受けた。

は?死んでもいいわけなくない?

驚いたことに、ホルモン使っちゃってる私には手術は保険適用されないんですよ。

驚いたことにまだ、札医大のジェンダークリニックは受診の申し込みが数ヵ月に一度の抽選式なんですよ。

驚いたことに北海道内で性同一性障害(性別不合)の診断書を出すと公表してる医療機関が5ヵ所しかないんですよ。

驚いたことにまだ法的性別の変更に、子のいないこと要件も手術要件も撤廃されないんですよ。

驚いたことに「死んでもいいから」と言って危険な手術を受けたトランスジェンダーがかつてたくさんいたんです。カルーセル麻紀の時代、麻酔が効きすぎたり、患部が膿んでも医者がなにもしてくれなくて腐った組織を自分で切り取ったりしてた。安い病院で胸オペをして麻酔の管理が悪くて残念ながら亡くなったFTMもいる。

私は死にたくないし安全に医療を受けたい。死んでもいいならってなに。

性別なんていう変なもので人をてきとうにふたつにわけて勝手に登録しようと思ったやつがわるいのに。

その美容整形の医師は、「札医大はGID診る気があるの?」と聞いてきた。月にひとりくらい胸オペ希望者が来るらしい。知らんよ。そんなこと私が知りたい。そもそも初診が抽選制の病院ってなんだよって思ってるよ。以前はコンサートのチケットよろしく電話かけまくってたからそれよりは利便性上がったけど、何人患者を受け入れるのか、何人抽選に申し込んでるのかとか一切公表されてないし、どうなんだろ?一年とか待つ感じ?GID診る気ある?

その病院の胸オペの費用の見積もりは100万円だった。相場よりけっこう高い。年齢で断るならなぜ上半身裸になって乳をつままれたのだろう。無駄に嫌な思いをしたなぁ。JRタワーの美容整形。私はここはやめとくことにする。

こんなことなら若いうちにとっとと切っておけば良かった。