いつか消え去る私達
白い線が揺らいで、空間に揺蕩う。煙を見た。
寝そびれたの、昨日は眠たかったのに、あんなに重たくのしかかっていた憂鬱は気が付いたら晴れていて、体の隅にも残らない確かにあった存在を憂いて、大人になったことを感じた。
引き摺ることが得意だった。
脚をびっこ引いて、まだ駄目だと眼球を湿らせて何度もダメなフリした自分を慈しむことが趣味だった。
考えることが沢山ある。
諸行無常だって事、人は生きていると静止できない連続性の中、気が付くことを忘れてしまう。
悔しかった、多分、本当は。
あまりの世界への純真な瞳に、苦しくなってしまったの、悔しくて。
本当は真っ直ぐでいたい。痛みを真っ直ぐに通じたく、大丈夫だと嘯きたくなんてないの。
考えることが沢山ある。
過ぎ去っていく。大人になっていく。
もう大人で、気が付きたくなんてなかったのかも。
偶然の連続の中、都合のいい部分をこうやってハサミで切り取って、輝く虚栄の未来を覗くのはもう疲れたの。
暴走する妄想も、白熱する脳の誇大妄想も、現実は掠らない、いつも。その事に気がついたの、今更。
手の中にあるものは既に無く、全ての触れたものはいつか時間の流れと共に滅んでいくの、私も、貴方も、その事を忘れてしまう。いつも忘れてしまう。
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