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人の心はいつだって読めなくて土曜日の夜と日曜の朝の境目、街と足音はリバーブする渋谷、東京、雨。
埃かぶった隅っこから出会って1年が経ったヘアクリップを見付けて、見詰めた。
無くしそうな物が何とか一年越した日に、小さな喜びを噛み締めたい。
人生や生活にそういう小さな種の喜びで嬉しがりたい。
カネコアヤノが生活の色を楽しむみたいに私だって天気がいい日に目を細めて青空でいたい。

頭が痛いから目をとじたいよね。
歩けば歩くほど荷物は重たくなって、細い紐状になって手首の皮膚を締め上げる。
妊娠検査薬を使ったことがある女の子は可愛くない。
ぱちぱちシュワシュワ、小さくて細やかないくつもの気泡が淡い期待を舐めるように潰す、体育座りの和室の中庭、午後16時半、西陽に当たる髪の毛の透明なセロファン。
他人は、他人との関係性ほど過去の光を帯びた時に足並み揃えて幻想へと向かうものは存在しなくて、それをこの間痛感して唇を噛んだ。
嘘ばっか、とかじゃなくて真実という概念そのものが常に変動し揺れ動いているものなんだろう。
行き場のない息苦しさがちらちらと光る。
悲しみを宿すほど強く光る貴方のその目、心と連動して体の調子が全て壊れる華奢な魂でいたかった。

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