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冗談じゃない旅 幕開けまで


今回で終わらせたかったけど

まぁ、無理ですねぇ!

さぁ 幕が開きそうですよ



渋谷ラ・ママ


渋谷の風

渋谷の街は 駅前こそ人で溢れてるが
路地へ入れば 蜘蛛の子を散らしたように
分散していくのだろう

裏路地の 人通りは少ない

銭湯からライブハウスに向かうには
北西へ進路をとる 道は上り坂

やはり東京は坂が多いな

巨大なビルやマンションの隙間に
へばり付くようにある 公園や花壇
また街路樹のたぐい 店先の植木

彼らもまた都会で生る 小さな命たちだ
愛おしさはいつだって 胸に思える
その余裕は 無くしたくない

ビル風が強くなる夕方の裏路地から
大通りへ出る 目的地は通りの向こうだ

首都高速3号渋谷線

渋谷ラ・ママは 道玄坂にある
艶やかで大ぶりのヘデラの葉が
風に揺れてビルの壁面を撫でている
開場前 すでに受付では行列ができていた

演者のひとり グッナイ小形さんは
6月初旬には北海道へ引っ越す
東京在住中にするラストライブは
今回含めれば 5/31のあと2本となる

だがあまり 心配はいらない
彼は 6月以降も頻繁に東京へ来て
音楽活動を続けていく予定 とのことだ

ライブも路上も続けていくらしい

彼らしく生きられることが 何よりと思う

柔らかな夕方の風に包まれながら 開場を待つ


緑が目と心に優しい


受付にて

「ご予約ですか?お名前は」

と聞かれて 一瞬戸惑う
あれ?…誰だっけ? 自分が分からない

はぐぱぱ …じゃなくて
××(本名)では 予約してないし…

ええと、ああ、あれだ

「あの、えと、グッデイ小樽です」

使ったことない名前 思いのほか
恥ずかしいぞ なんでだ?

「お目当ては?」
「グッデ…いや、グッナイ小形さんです」

もう聞かないで(恥)

受付の横には手作りのキーホルダー
ご自由にどうぞと 書いて置かれてい
「ZZZ」なイメージのハートをピックアップ


大切にしよう


きちゃった///

会場は地下 階段を下る
扉の先は 黒い壁 黒い床
実にライブハウスらしい

オレンジ色の壁をバックに
演者たちが 物販テーブルにいる
イベントのフライヤーへ
サインを次々に書いている
来場したお客さんへ渡すようだ

マスクをして 帽子を目深にかぶった私は
左端に座る 男に近づく


サインを書く手が止まり 顔を上げる

おもむろに 帽子とマスクを外す

「きちゃった///」


「えーっ!!」

小形さんは目を丸くし 驚いては
体を揺らして笑っている

「月曜の平日だけど きちゃった!」
前のゆりんぐ⭐フェスに来れなかったから
リベンジです!と伝える

小形さんは 感心したような 呆れたような

「あービックリした…全然、油断してた」
と伝えてくださる


小形さんの出番は本日 1番手らしい
まだ少し時間もあるが
サインの続きがあるだろうし
「また後で」
と、バーカウンターで飲み物を注文する

お酒を受け取り 空いた席を探す

客席はステージからは、一段、二段と低く
舞台袖には簡単な花道もあった

さて どこで観ようか


知ってる人 知ってる顔

最前列下手の端
こちらに座る方のお隣にでも
座らせてもらおうかしら

おやおやおや…?
こちらの御方は 随分と見知った顔ですね

「お久しぶりです」
そっと声かけする

「えっ?…えっ!」
驚くのも当然ですね
私が暮らしてるのは 三重県ですものね

そこには 以前から
小形さんのライブなどでご一緒する
双六問屋さんがいらした

双六問屋さんは
美しい写真や映像、文章で
音楽の記録を残して下さっている
ブログ ↓
https://sugorokudonya.com/ 
インスタ ↓
https://www.instagram.com/sugoroku.donya?igsh=MWVhcjFkZWIyeDJ6aQ== 

佐古勇気さんや叶芽フウカさん
双六問屋さん推しのミュージシャンは
私の琴線に触れる方が多いのも嬉しい

この旅、助走の冒頭でもチラリと書きました
年始の高円寺でのライブ

見に行こうと思うきっかけが 双六問屋さんの
叶芽フウカ愛だったのは 間違いない

あと いろんなとこに書いておきたいのは
叶芽フウカは 天才だということ
また見に行きます 必ず

「会えるとは思ってなかったです…」
と話してくださる 嬉しいなぁ
覚えていて下さるだけで もう感謝

「いや私も会えるとは思いませんでした…
 主催のゆりんぐ☆ちゃん以外、東京へ
 来ることは誰にも言ってないですし」
そんなことを話しつつ

そういえばユーロスペースで
映画『冗談じゃないよ』の試写会でも
ご一緒した記憶…
だんだん思い出してきた
たしか観覧後、深夜バス出る時間まで
映画の感想を話したり
飲みに付き合って下さった…

飲み付き合ってくれたのは 池袋


感慨に浸りつつ
人で埋まってきている会場を見まわす

薄暗い店内
客席後方には バーカウンター
すっと背の高い男に目がとまる
「あっ!」
思わず小さな声を上げる
「ちょっと失礼して…」
双六問屋さんに一言告げ 席を立つ

男のもとへ 足を運ぶ
「お久しぶりです!」
声をかけるも にこやかにするばかりで
なんとなしに手応えがない感覚

そうか 前に会ったのは確か
去年9月の鑪ら場(名古屋)だし
その前は 2年前の9月だ
その頃の私は髪がロングだったし
覚えてなくて当然か…

おかしな自己紹介だが
一番しっくりくるかと思い
こう声をかけなおす
「えーと、名古屋によくいる人です!」
「…あ、ああ(納得)!」
思い出したようだ
「どうも、はぐぱぱです」

彼もまた 大好きなミュージシャン
内藤重人さんである

「今日は?」
「小形さんのライブ見に来ました」
「明日帰る感じなの?」
「最終の深夜バスで帰ります(笑)」
「アッハハ」
内藤さんとは年代が近いからか
とてもリラックスして話ができる
彼もまたそうだったなら嬉しい

そんなことを思っていると
小形さんが席を立つが見える
サインを書き終えたのだろう

ライブ前に少しだけ話せるかな
「ちょっと小形さんと話してきますね」

小形さんへ話しかけようとする

…と、とても見たことある顔の男が
傍でハンディカムを廻している
「おおん…、なんか見たことある顔ォ」
声について出てしまう わりと失礼
初めましての感覚が 全然ないまま
「あっ、はじめまして…」と声掛けをする

名前を存じ上げないが
小形さんの曲『丁度いい』MVで見た顔

あのMVには のうじょうりえさんはじめ
小形さんが組んでいたバンドメンバーや
奥様の尖さくらさんも登場する

それから、たしか彼は
高円寺で小形さんが路上ライブしてる時にも
1度お見かけした記憶がある

「はぐぱぱといいます」
「はぐぱぱさん? ええと私は…」

彼は笹ヶ瀬さん
小形さんの友人であり
映像に関わる仕事をしているという

詳しく話し込もうとしていると
BGMの雰囲気が変わる

なにか、呪文めいた詠唱が聞こえる

いけない もうまもなく開演か
この話は終わってから ゆっくりやろう


私は席へ戻り 開演の時を待つ


開幕

ゆりんぐ⭐ちゃんのイベントは
配信でこそ1度体験済みだが
実際にライブで体感するのでは やはり違う
幸福度が段違いに良い

語りや歌やギターの音色が
彼女の思いが 会場を包んでいく
音楽がないと!
魔法にかからないと!

息せききって ステージを駆け回る
足跡には花が咲いていくような楽しさがある

「今夜は3人のKnightが登場します!」
演者を1人1人紹介していく

騎士と夜と音の魔法がないと!
ナイトに3つの意味を込め 幕は上がる

本日はここまで

明日のお昼くらいには

この旅も終わる予定です

全11話…は、なかなか長い旅…

まだ終わっていませんけども

ただ、まぁ そろそろ

次の旅の支度を…

しなくてはなりませんから



では また明日




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