見出し画像

骨髄ドナー提供のあれやこれや

先日骨髄ドナー提供しました。
いろいろな方がいろいろな体験談書いていますので、自分なりの視点で感じたことを残したいと思います。
登録や、適合してから提供までの正確な情報はすべて日本骨髄バンクのホームページから閲覧できますので興味あるかたはぜひ熟読&ドナー登録どうぞお願いします。

いきさつなど

ドナー登録のきっかけ

 献血は年1くらいで行っており、骨髄ドナーも存在は知っていましたが、負担が大きいなと思ってずっと今まで避けていました。しかし、知り合いの白血病がきっかけで方針を変え、去年ようやく骨髄ドナー登録をしました。ただ、ぜひ提供したい、というよりは、登録しても適合しない人も多いみたいだし、適合するのは数百人から数万人に1人ということなので、適合する人は現れないだろう、現れたら改めて考えるかと気楽に考えていました。

適合通知が…

 そして登録から5カ月後、骨髄バンクよりオレンジの分厚い適合通知が家に届きます。えええ、当選はやくないですか?!とかなり動揺しながら実際にどんなことをするのかめちゃくちゃ資料を読んで調べます。そして骨髄バンクに今後の連絡をとります。
 最初のコーディネーターさんとの面談で今後の流れや採取に伴うリスクその他手続きなど詳細は直接説明があり、不明点やどの程度休みが必要かなど話を聞きます。(待ち時間の雑談でなぜ登録したのかも聞かれました)。それらを理解したうえで進めるかどうか決めてくださいということでした。そして患者さんは同じような依頼を最大10人まで行うことができ、複数候補がいればその中から最適な方を選ぶことになり、長いと3カ月くらい待っていただきます、と。結果補欠候補になることもありますし、選ばれないこともあるとのこと。なるほど、それならきっと私よりも若くてよい骨髄あるはず…と思いその後に進めるための血液検査を受けることにしました。

 その週の金曜に血液検査の結果が郵送で届き、結果問題なし。そして翌週月曜にコーディネーターさんから電話があり、「驚かないでくださいね」という前振りのあと「最終ドナーに決まりました」と伝えられることなりました。全く迷う隙を与えないこの勢い、いやはええよ!仕事どうするよ!
 そしてこのタイミングで相手の希望時期の提示があり、一週間調整の猶予をもらい怒涛の勢いでその時期の仕事の調整を進めることになります。実は最初の適合通知の時期は仕事が多忙で、最初の面談まで1カ月以上期間が空いてしまっていたので他の候補者の方を含めずっとお待たせしていたのかもしれません。

 そこからは粛々と進み、予定通り骨髄提供してきました。

提供にあたっての気づきなどいろいろ

ドナーの健康状態について

 途中の面談や健康診断で色々チェックされるのですが、体重(多くても少なくてもダメ)、血液検査、既往歴、腰痛の有無、花粉症も含め服薬の有無など細かく聞かれます。幸い私は薬も飲んでおらず健康で大丈夫でしたが条件がかなり厳しくて引っかかる人多いんじゃないかと思いました。

自己血について

 骨髄採取当日に最大1200ml採取するため(詳しい採取数値聞くの忘れてました)手術前に400ml×2回、血を抜いておいて、手術当日に戻します。
2週間で800ml抜いたので割と体力低下してしんどいです。そして週初めの午前とかに抜くとその一週間とてもしんどいです。最後戻すとはいえそんなに抜いていいんだろうかと思いました。あと骨から1リットルも骨髄液が抜けるのかと感心したりもします。

通院・入院に伴う仕事への影響

 手術を伴う骨髄提供の場合、3泊4日の入院が必要となります。仕事していたらそんな休みはまず無理です。ただ、私の住んでいる地域では金曜に手術の病院があり、木曜入院→日曜退院で実質仕事は2日休みで大丈夫でした。
 また、それ以外に半日ずつ5回ほど通院の必要があり、3カ月間でおおよそ5日程度会社を休む必要がありました。社畜視点で言うと、休日出勤と残業でなんとかなるレベルでした。

手術に伴うリスクと同意

 私は骨髄採取は背骨から?と思っていて、ピアノ弾きでもあるので指とか神経に何かあるならちょっと避けたいな...とも思っていましたが、骨髄採取は神経の多い背骨ではなくお尻の少し上から針を刺し骨盤のあたりにある腸骨からとるということなのでちょっと安心しました。ただそれでも指のしびれなども後遺症で発生している人はいましたし、何らかの手術の後遺症があった方は全体の1%くらいいるようで、積極的に断るほどではないがリスクは思っていたより1桁くらい高いな...と感じました。

 お医者さんも淡々とリスクは説明してくれるのですが、大丈夫ですよとは言ってくれず、コーディネーターさんに至っては手術受けなければリスクは0ですと言われるので、本当に自分自身でやらなくてよい手術を受け、何かあった場合に許容できるリスクなのかを考えて判断する必要がありました。
よく家族に反対されて提供できなかった方がいるのはそりゃそうだなと思います。ちなみに手術の同意署名が必要なのは妻だけですが、両親、義両親の同意も確認されました。色々もめるのでしょうね。

 幸い妻は私の意思を尊重、両親義両親も特に反対はなし。ただ叔母が大反対で呼び出されてやめろと延々説得された以外はスムーズでした(いやもめてるのかも)。ちなみに手術を行わず、薬で採取する方法(末梢血)もありますが、入院が一週間かかるそうなのでそれは私は無理でした。そしてすべて終わって今のところ後遺症とかは全くありません。

費用

 費用は一切かかりませんが、報酬もありません。有給が余っているサラリーマンなら良いですが、フリーランスの方は休みは厳しいなと思いました。ただ、自治体によっては個人や会社に給付金が出る場合があったり、生命保険も給付金対象となる場合もあるようです。

実際に手術してみてどう?

 全身麻酔さめてから抜けるまでがしんどかったです。朝から絶食、午前手術でしたが吐き気で夜ご飯もほとんど食べられませんでした。
また、当日、翌日は傷からくる発熱がありました(最大38度程度。睡眠時は解熱剤を服用)。翌々日の朝イチで熱は37度は下回っていましたが、平熱よりは高かったので微熱残ったままの退院でした。とはいえ時間で治るのであれば自宅でゆっくりした方がよいとだろうと思いました(ちょうど病院食にも飽きるころ)
 最初の発熱以降は腰の傷の痛みは筋肉痛のような感じで静止していれば気にならない、動かすと痛いという感じなので一週間は在宅勤務していました。基本デスクワークなので立ったまま、座ったままであればそれほど気にならないのですが、歩くと動いて痛いので都会の混雑した通勤はしんどい感じでした(ラッシュ時はゆっくり歩くと人の動きが早くてぶつかられる可能性が高い)

経験してみてよかったことなど(個人の感想)

病院の方々がとても親切

 主治医、担当医の方が一日2回とか様子を見に来てくれ、看護師さんも交代のたびに挨拶に来てくれました。血液内科の方々は普段から患者さんに接しているからかすごく丁寧に扱っていただけたように感じました(普段入院していない人の感想)

入院体験ができる

 病室は個室で無料WIFIもあり多分快適だったのですが入院経験が浅いため寝てたらいいのか椅子に座っていればベッドに座ればいいのかどう過ごせばよいのか悩んだり、割と頻繁に発生するイベント(色々な病院関係者の方の訪問)にあたふたしたり、落ち着かない時間を過ごしました。

健康なまま手術体験ができる

 普段入院するのは病気の時。ましてや手術するとなるともう今後自分がどうなることかと不安に思う気がするのですが、完全に健康体のまま手術体験ができるのは貴重な気がしました。
 電動のベッドに乗って手術室まで運ばれたり、ずらりと麻酔医麻酔医主治医担当医看護師看護師さんたちに囲まれる経験はなかなか貴重です。そしてその時初めて「これは割と大変なことを引き受けてしまったのでは?」と恐れおののきました(手遅れ)
 あと麻酔が入ってく瞬間も経験できましたし(秒殺)、意識ない間めちゃくちゃ夢をみてて、起こされたときどこにいるのか相手が誰なのかも分からず混乱もしっかりしました。(夢の中→起こされる→なにか話しかけれらてる→まだ夢の中だな→あれ、さっきまでとキャラが違う→しかも場所も設定も違うっぽい→いや、でもあのキャラはどこかで見た記憶が……..はっ、麻酔科の担当の先生だ!みたいな感じ)

自分だけの身体じゃない

 患者さんの処置の都合で採取の日程変更不可なので、直前1週間は特に風邪も病気もケガももちろんコロナにも気を付けないといけなかったことは割と気疲れしました。普段何気なく過ごしていると気になりませんが、絶対に体調を崩してはならない、しかも他の方の人命がかかってると思うと割と気が休まりません。そしてそれは同居家族も同じ気持ちでした。

最後に

 少しでも気になった方、どうぞお気軽にドナー登録してください。献血ルームで血液を2ml採るだけで簡単にできます。
そして提供先の方が無事回復することを願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?