まどろっこしいんだよな

ハゲを名乗っているところでお気付きのとおり、俺はハゲている。

前にも書いただろうか…

スキンヘッドにしている時分があった。

手入れが面倒臭くなり飛び込みで床屋に行き「全部剃ってください」と申し出たんだ。施術?が終わり床屋の店主に"いやぁスッキリしましたよ”と言うと「俺も気持ちよかった!スッキリしたよ!」と返された。

そのくせに会計時には結構な値段を言われ驚く俺に「全剃りは高いんですよ...」としれっと言い放ったオヤジを恨む気持ちはない。

それならば…と自分で頭を剃ることにした。

当時ヒゲは伸ばしたままだったが、入浴時にシャンプーではなく頭を剃る習慣がついたんだ。

剃りたてはいいんだけど、時間が経つとどうしてもポツポツと生えてくる髪…現役時分からヒゲよりも圧倒的に多い頭髪をどうやっつけるのか?きれいな頭にどうしたら辿り着けるのか試行錯誤していたが、そこはさすがの20世紀後半…いいアイテムをドラッグストアで見つけていた。

女性が使用するのであろう除毛用のムースだった。

剃り終わった頭皮に手に取ったムースを広げていく…

「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

今思い出してもこれを超える感覚は見当たらないくらい強烈な刺激…

アフターで発見したのはそのムースの注意書きに記された「目よりも上の部位に使用しないでください」の文字よ。

リスクを負えばメリットもあるもので"こんにちは”のポツポツが消えるんだよ。触り心地はまさにスキン!これは盛り上がったね。

禁断の仕上がりを覚えた俺はその後も何度か「あ゛ーーーーっ」を繰り返していた。

時は過ぎて髪を伸ばそう…というか生やそうと思いなおしたんだな。剃ることを辞めたんだけど…あれ…なんかおかしい…

生えるべき場所に生えてこない…

俺…ハゲちゃったじゃん…

5、6年剃っていたし、駅前で見知らぬ酔っ払った兄ちゃんたちに「ハゲ!」とか呼ばれるのにも慣れていたのに、この鏡の前の事実には愕然とした。

俺は"剝がしているのではなくハゲている”という事実を受け止めるにはあまりにも距離感があったのだ。

その後は行く先々で"ハゲキャラ”を全うし現在に至っている。ハゲと呼ばせて、というよりむしろ呼んでもらい楽しく過ごせている。

現在の頭頂部の悩みとしては、いつまた全剃りにいけるのかの一点である。お客様商売なので会社的には基本NGなんだが

「いやぁ俺ハゲちゃったんで~」

でかわす日が来るのをいつにしようか?とニヤニヤしている次第である。


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