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ググるGPT-4の作り方: ナレッジグラフ

はじめに
会話の生成に最適化されたOpenAIのChat APIは、チャットボットやカスタマーサポートの現場を一変させました。会話履歴の利用により、追加やフォローアップの質問に答える能力を向上させています。フリーランスのデータアナリスト兼エンジニアであるTomaz Bratanic氏は、GPT-4、GPT-3.5-turbo、Neo4jグラフデータベースを使って、文脈を考慮した ナレッジグラフ式チャットボットを実装する方法を実演しています。

ナレッジグラフを利用したチャットボットの設計
チャットボットは様々なドメインで応用されていますが、ChatGPTのような大規模な言語モデルで問題となるのは、誤った情報や 幻覚表示をする可能性があることです。これを軽減するために、Bratanic氏はナレッジグラフベースのアプローチを採用しています。チャットボットの回答をグラフデータベースに基づかせることで、開発者は提供される回答を完全に制御することができ、正確性を確保し、幻覚表示を回避することができます。

実装
Bratanic 氏の実装では、GPT-4を使用して、ユーザーのプロンプトと対話履歴に基づいてCypher文を生成します。生成されたCypher文は、Neo4jデータベースへのクエリに使用されます。自然言語による応答を作成するために、GPT-3.5-turboモデルを使用して、データベースの結果と対話のコンテキストを組み合わせています。このアプローチにより、より正確で文脈を考慮した応答が可能になり、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

Neo4j環境とデータセット
Bratanic氏は、MovieLensデータセットをベースにしたNeo4jサンドボックスの推奨プロジェクトデータセットを使用して、Neo4j環境をセットアップしました。このデータセットには、映画、俳優、監督、ジャンル、ユーザーの評価に関する情報が含まれています。

GPT-4によるEnglish2Cypher
チャットボットの重要な部分は、ユーザーの入力と対話履歴に基づいて有効なCypher文を生成することです。Bratanic氏は、GPT-3.5-turboと比較して、GPT-4は文脈を理解し、訓練例から学習することに優れていることを発見しました。そのため、GPT-4はCypher文の生成に選択されました。

グラフ2テキスト
Bratanic氏は、グラフデータベースの結果から自然言語テキストを生成するために、より費用対効果が高く、このタスクに十分なGPT-3.5-turboを使用しました。会話履歴を含めることで、生成されたテキストはより本格的で会話に近いものになりました。

Streamlitを使ったチャットボットの実装
Bratanic氏は、streamlit-chatパッケージを使用して、チャットボットのユーザーインターフェイスを開発しました。この実装により、会話履歴、生成されたCypher文、データベースの結果を保存することができ、円滑な利用者体験を実現しました。

多言語対応
「GPT-3.5-turbo」「GPT-4」ともに多言語に対応しており、英語の例文しか用意されていないチャットボットでも、様々な言語で使用することができます。この機能により、チャットボットの応用範囲が広がり、翻訳を気にせず世界中でコンテンツを共有できます。

まとめ
OpenAIのChat Completionエンドポイントは、人間のような対話とフォローアップの質問に対応する機能を備えており、チャットボットの体験を大きく向上させました。特にGPT-4は、Cypher文の生成やタスクの理解に有望です。しかし、開発者は、個人データや専有データでGPTモデルを使用することに慎重であるべきです。過去の会話履歴を訓練例として不注意に使用してしまう可能性があるからです。

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