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開拓者学校

今年もあります。開拓者学校。

開拓者学校とは何か? それは開拓者にだけ与えられる特権という名の学校。

開拓者には一冊の本があって、それを朝から晩まで学ぶというもの。

期間は? 月曜日から土曜日の一週間だったと思う。朝8時半から晩の4時。

お昼休憩を挟む。

私はこの学校に2度招待された。招待がないと行けないというシステムである。

『招待』という言葉ほど気持ちの悪いものはない。この組織の専門用語である。

招待は『特権』という脳内変換にするためだと思う。開拓者になった人だけが楽しむ事が出来る特権だと思わせる。いわゆるエサだ。

開拓奉仕を一年間行い、1度目の招待が来る。それを受けて初めて一人前の開拓者と認められるといっても過言ではない。

マイコンだった私は、一度目の時、エホバからのご褒美だと喜んだ。

しかも、当時は二週間あった。奉仕にも参加するというカリキュラムがあった。

出席した開拓者はテンションが上がる。思いっきり承認欲求を満たされるからだ。ここで学ぶ事はすごい事だと!

朝から晩まで質問と答え。時に自分の経験を語り、教訓者に褒められる。

教訓者とは、巡回監督である。みんな名前を覚えてもらいたくて、必死に自分のアピールをする。気にいられたら、大会などの話し手に選ばれるからだ。

姉妹は大会でのインタビューや実演という「特権」を与えられる。

学校で学ぶ事は組織の教え。当然だが、ここで巧みなマインドコントロールがある。

組織の教え以外に、伝道者とどう接するかを教えられる。

霊的に不健康、不活発でない人とのコミュニケーションの取り方だ。

どう近づいて、どんな言葉をかけて、どう奉仕に誘うか。

大きなお世話、お節介な事を教え込まれる。会衆内で愚痴や不平不満を聞いた時の対処法も教えられる。

開拓者は偉い。開拓者は立派だ。開拓者は会衆の模範だ。

こんな事を二週間も言われ続けて、伝道者を上から目線で見る人間になってしまった。同時に、イエスに倣って謙遜さを身に着けましょうと教えられる。

結果、上辺は謙遜な態度でも、内心では伝道者を上から目線で見ている人間を作ってしまう。偽りの謙遜。笑顔の裏は伝道者を見下す性根の腐った人間製造機。

さらに「援助の取り決め」という下らないもので、自尊心を保つ開拓者。

愚かな事に、私もそうであった。ただ学校に行っただけでもそうなるのに、もう一つの取り決めのせいだ。

出席している人間の食事とおやつを会衆の成員が用意する。

昼食は全てお弁当が用意されて、飲み物、お菓子がふんだんにある。

人間の恐ろしさはここだと思う。三大欲求の一つを満たす者は、奴隷だと思ってしまうカラクリがある。

お弁当に添えられたメッセージカードはさらにその思いを加速した。

自分は偉い。もてなしを受ける自分は会衆の宝。会衆に期待された人間。開拓者として立派になる事が食事を提供された感謝。霊的な食事で元気になった。感謝を表すために、会衆のため働く長老と援助奉仕者。

『受けるより与える方が幸福です』この聖句でがんじがらめにされた開拓者は、一生開拓者で居たいと願う。

身体を壊しても、経済的に困窮しても開拓者を降りないのは、感謝を表したいだけではない。伝道者よりも上の立場でいたいから。

伝道者と呼ばれる人を上から目線で見ていたいからだと思う。

そして、2度目。3度目、4度目の開拓者学校の招待が来るたびに、その思いは強くなる。

今年はzoomで学校が開かれる。誰が招待されるのか、そして昼食とお菓子の提供が出来る人を募る。準備できなければ、寄付が求められる。メールが来た。

こうやってこの組織はヒエラルキーを利用して存続しているのだと再確認した。

生活保護で生きていく事が惨めではない。開拓者ではない事が惨めなのだから。








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