見出し画像

開拓奉仕にようこそ!

四月から集会の参加の仕方が変わった。
直接、王国会館へ行く事とzoom参加の二つ。
───ハイブリッド集会という。

呼び方はなんでもいいけど、ご苦労さまである。
長老やプログラムを扱う兄弟は出席している。
演壇から話す事に喜びを持って頑張ってるね。
お疲れ様でございます。

私はもちろん行かない。行くわけがない。
大好きな自由意志という言葉で選ばせたなら、
行かない人を責めるのはやめて欲しい。

さて、そんな集会の最中、しれっと発表があった。

「四月◯日から、特別開拓者の〇〇姉妹が〇〇会衆のために移動されました」

特別開拓者とは、月に140時間奉仕をする開拓者の中のエリート。

開拓者は月70時間だから、倍の時間を奉仕に当ててきた人たち。
その特別開拓者の独身の姉妹が来る。
名前からして年配者だと思う。

特別開拓者は世俗の仕事をしていない。いや出来なかった。
独身者は一生結婚しない事を誓い頑張る。夫婦ならば子供を持たない。

すでにうちの会衆には一人いる。元巡回監督の奥さん姉妹だ。
若い頃から夫婦であちこちを周り、会衆を強めた。
夫が先に亡くなった……いわゆる、寡婦の姉妹。

若い頃から働かず、貯金もないだろうな。年金もないだろう。
協会から毎月、幾らかのお金が来るらしいが、今は?
各会衆がお世話するよう取り決めが変更した。

そうなのだ。この組織にとって特別開拓者は残念ながらお荷物。
親族がいなければ、いや親族と縁を切っていれば尚更、お荷物。
生活を維持するために、会衆のお世話にならないといけない。

1970年から1990年代は開拓者がめちゃくちゃ増えたらしい。
組織が毎回、毎回、毎回、開拓奉仕の素晴らしさを伝えてなる事を勧めてきた結果だと思う。

開拓者になることだけが、目標、夢だとのたまう信者の多さ。

高校を卒業したら、すぐに始める事がステータス。
専業主婦は夫の反対の中、信仰の強さを見せつけるため。
ヒエラルキー。開拓者は特権だと煽る組織。
承認欲求の強い人間は開拓者になる事によって満たされる。

上手い仕組みである。特別開拓者はもう神さまと同じ扱い。
ただのニート。ただの無職主婦。ただの職なしおじさん。

覚醒した今、神だと崇めていた特別開拓者を会衆のお荷物だと見る私。
汚い心で見る私は、自己嫌悪で壊れそうだ。

どれほどの人が、人生狂ったのだろう。
国のためだと自分の命を犠牲にした特攻隊精神と重なる。

一人一人のお人柄の良さに、目眩すら覚える。
今更、組織を離れて生きていくことなど出来ないであろう人たち。
信じた方が悪い。そう言われたら身も蓋もないけど……。
その人たちの人生を狂わせ、奪った組織。
大学教授だった人もいた。銀行マンだった人もいた。

保証のない老後。ずっとマインドコントロールされたまま生きて、死んでいく事が幸せなのだろうと思う。

そんな哀れな人が来る。心から歓迎できない私は、今日も画面を暗くしたままだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?