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リトル・フォレストと天狗の台所と土を喰らう日々

以前ここにも書いたドラマ「リトル・フォレスト」。東北の架空の農村“小森”(小さい森なのでリトル・フォレスト)で暮らす、いち子という若い女性が一人で雄大な自然の中で、春夏秋冬にわたり自給自足(に近い)生活を描いた作品で、四季折々の旬の食材をもちいた料理(調味料、保存食を含む)を作る様を淡々としたストーリー展開の中で描いています。
食材への向き合い方、食への考え方に強く共感を覚えた記憶があります。

さて、ふとある方から「これハッカイさんならきっと気にいるはず」と紹介されたのが「天狗の台所」というドラマです。カラス天狗の末裔であるNY在住の14歳の少年オン(名前)、天狗としての血が一番活発になる14歳からの1年はとある農村で隠遁生活を送らなければならないというしきたりに則り、日本のとある農村の古民家にやってくる。そこにはやはり天狗の血を引く実兄の基(もとい)が14歳の隠遁生活の後もずっと暮らしていました。
最初は実兄に対しての距離がつかめず「あのヒト」と呼んでいたオン。しかし基の作る料理や、野菜づくり、自然に対する接し方を通し、次第に「兄ちゃん」と呼ぶようになり、その距離を狭めさらに絆を深くしていき、そして約束の1年が過ぎた…というのがこのドラマのあらすじです。

リトル・フォレスト同様、淡々とストーリーは展開していきます。四季折々の美しい自然と食材、そしてとても丁寧に作られる料理たち。演出ややや暗めのライティング、カメラワークなどもリトル・フォレストと共通していてシズル感たっぷりの料理はつい「あ、これは今度作ってみようかな」という気になります。ただ、こんな田舎で調達できそうにないスパイスや調味料も出てきますが、まあそのあたりはドラマということで。(笑)
リトル・フォレストが好きならば、まず間違いなくハマること請け合いです。

そして、土を喰らう日々

水上勉のエッセイに「土を喰らう日々 わが精進十二カ月」という著書があります。これは道元禅師の「典座教訓」に記された精進料理の理念をもとに水上勉が、食材や料理についてのウンチクを語ったもので、たとえ野菜を洗った水でもそのまま流すのではなく、畑にまく…など「無駄なものは一切ない」という考え方が貫かれており、リトル・フォレストや天狗の台所にも共通する「食への向き合い方」ということを感じずにはいられません。まぁもっとも精進料理なので、肉や魚などを使った料理は登場しませんが。
で、この「土を喰らう日々 わが精進十二カ月」も、数年前に映画化されたようです。ジュリーこと沢田研二が「ツトム」という作家役で演じているらしいのですが、実はまだ観ていません。近々レンタルしってこようかと思っています。

僕は無類の食いしん坊なんだ

僕は自宅の非常に狭い庭でハーブや野菜を育てています(以前は市民農園を借りていました)。とはいえ、素人なので多くの収穫は見込めませんが、それでも日々成長し葉をなし茎を伸ばし、実をつける様、そしてそこに集まる蝶などの虫たち、カナヘビなどの生き物を観察することがとても好きなのです。とれたての野菜やハーブたちは生命感に溢れ、実に力強い。それだけにできるだけ一番美味しい状態で調理をしたいという気持ちになります。

天狗の台所で、基がこうつぶやきます「僕は無類の食いしん坊なんだ」と。この言葉に尽きますね。もちろん僕も無類の食いしん坊なのです。

ちなみにリトル・フォレスト、天狗の台所も、アマゾンプライムで視聴できます。




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