パチパチ

花火って聞いたら何を思い浮かべますか?


花火大会?手持ち花火?

元々花火は死者の弔いや、悪疫退散の為に打ち上げ花火が上げられたのが最初らしい。


僕がもし死んだとしたら辛気臭い葬式じゃなくてパーっとやって欲しい。
ケツメイシとか流しちゃおうか!
涙がいいかな。夏の思い出でも良いなぁ。

まぁ、そんなことは置いといて。
もし僕が花火大会に行ったら。
人生で一回も行ったことが無い花火大会。

なんか緊張しちゃうなぁ。
君は浴衣で来るみたい。
僕も浴衣を着て行く。

だって初の花火大会デート。

甚平だと少し気が抜けすぎかなぁって思うから浴衣にしよう。

君とのデートだから本当はしっかりした呉服屋さんで買いたいんだけどさ。
ちょっとその辺で買ったやつだけど今回は多めに見てね。

君の浴衣は純白に金魚が泳いでいる。
いかにも夏らしい、可愛らしい浴衣。
なんせ来てる人がいいんだから間違いない。

何か食べる?
かき氷を食べたい。
いや、かき氷をあーんってして欲しい。
如何にもお祭りのデートって感じだ。

海辺で花火が上がるまでに後30分ある。

30分後には少し離れた古びた神社の参道の石段に座って花火を見る。

沢山の出店を君は見回して目を輝かせている。
わたがしを1番欲しそうにしていた。

そのチョイスが可愛い。買っちゃう。
僕はあーん大作戦の為にかき氷を購入。

君はいちごを頼んだがおっちゃんは彼女が可愛いおかげか練乳までかけてくれた。
おっちゃんは僕が空気と思っているのか彼女しか見ずいちごミルクのかき氷を渡す。

少し悲しい気持ちになったがおっちゃん良くやった。あーん大作戦は順調に進んでいます。


彼女は美味しそうにかき氷を食べている。
「美味しい?」と聞くと
「食べる?」

はい!来ました!神様!仏様!
これはそういう流れなんじゃあ無いですか!?
え!?

彼女はかき氷を器ごと渡そうとして来た…。
あぁ、神様…。

「嘘うそ、はい、あーん」

神様ぁ…!!!!

僕はニヤニヤしながらかき氷を食べる。
多分周りからキショ〜って思われてるかも知れないがそんなことどうだって良い。だって世界で今1番幸せなのは僕なのだから。
あぁ、世界は素晴らしい。

そのまま神社に向かう。
カタンっ
「イテッ」

彼女は転びかけたところを手を握った。
「大丈夫!?」

手なんて握っちゃったこっちが大丈夫ではない。
この奥手男!良くやったじゃないか!彼女を助けたし手も握れたし!と僕の中の誰かが語りかけてくる。

僕はうるさい!とそいつを引っ込める.

特に怪我は無かった。
だがしかし、彼女の下駄の鼻緒が切れかけている。

なんだこのBIG BONUSの確定演出は。
「…乗る?」

彼女は驚いた顔をした後に照れくさそうに
「うんっ」と答えた。
幸せすぎる。

彼女をおんぶして神社の境内へ。
石段を上がってる最中に花火が上がる。

ドーンっ
「ごめん、ちょっと間に合わなかったね。」
彼女はううん、ありがとうと言った。

ここでも十分見れるねって。
3分の2行ったあたりで腰を下ろして見ることになった。

花火のおかげで君の顔が見える。
僕はそれに釘付けで花火を見る暇なんてなかったよ。すごく綺麗だよ。


Mr.Childrenの有名な曲って言ったら。
多分今の若い子は間違いなくHANABIと答えるだろう。

HANABIが出来たのにも君が着ていた浴衣の金魚が関係してるんだって。
桜井さんが金魚を飼っている時にどんどん弱って死んでしまったそう。

ペットショップで話を聞くと水に絶えず空気を与えてやらないと水が死んでしまうらしい。

滞らないように 揺れて流れて
透き通ってく水のような
心であれたら

人の気持ちも喜怒哀楽。沢山の感情や思いをたくさん入れて循環させなければ心は腐るし、透き通った水のようにはならない。

君のおかげで今僕の心はずっと動いている。
君の心の中の水は絶えず動いていますか?

もうクライマックスだ。
数え切れないほどの光が空を覆う。
でも僕は花火なんて見れない。


ずっと隣に座っている君を見ている。
集中しているのか口が少し開いているけど。
来年も再来年もまた来ようね。

もし花火大会に来れなかったら家でも公園でも浴衣にだけ着替えて線香花火。
僕たちにはそっちの方が似合っているかも知れないね。

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