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【考察】「ちいかわ島編」に見る「輪るピングドラム」

※この記事は「ちいかわ」と「ピンドラ」のネタバレを含むと共に大いなる考察という名の妄想をもって構成されています。

まず最初に、ちいかわを真面目に考察するのはどうなのかと言う声が聞こえきそうだが、真面目に言いたくなったので仕方がない。

さて長期連載である「ちいかわ島編」も佳境となっているが、どんどん読者の悲鳴が多くなっており、そして決定的な回が公開。

死んでしまった仲間のために不死の人魚の肉を食べさせるシーン。

そして二人は不死(電動式)になりました。

この回でドラマTRICKとか高橋留美子の人魚のシリーズなど様々な作品をあげて比較している人がいるが、どうしてもこの作品も言いたい。
それが「輪るピングドラム」だ。
コメント欄を見ると一部の人たちがすでに気づいているが、ちいかわを見ている人たちのなかでは知らない人も多いのではないか。

ここで一つ言いたいのは、ナガノ先生は輪るピングドラムを見ているということだ。
このアニメは2011年に放送されたが、2022年に総集編+追加シーンありという形で前後編で映画化。
映画化が発表された2021年に、ナガノ先生は旧Twitterの太古機能フリートにてピンドラの象徴的なキャラクター「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル(通称プリクリ様)」のイラストをアップしたことが証拠になる。

生存戦略

輪るピングドラムという作品を解説することはとても難解でどういう作品か説明することも、世界観すらも一言では表せない。
詳細な作品考察をしている人たちは沢山いるのでそちらに任せたい。
例えば水星の魔女が好きで、そこからウテナなどを見た人には超おすすめできる作品なのだが、ちいかわ作品を単純に可愛いと思って見ている人に勧めていい作品かは分からない。

しかしこの作品は、作品を真剣に見た人やある年代に向けては、大きな影響を与える作品であることは間違いない衝撃的な展開がある。
他にもチェンソーマンの藤本タツキなども本作の影響を受けていると言われているのだが、オマージュは勿論のこと記号的な「愛」の考え方が作品に反映していると感じている。

輪るピングドラム(以下、ピンドラ)は、あらすじを省くと、テーマとしては主人公たちが愛の享受をし愛をリレーのようにまわすことで生き延びていくことが描かれている。(それだけではないが)
その愛の描写は主にリンゴで表現されていく。
その最も象徴的なセリフがこれだ。

「運命の果実を一緒に食べよう」

りんごの計算

この運命の果実は作中で禁断の果実という意味でも使われており、アダムとイヴの林檎などとしていろんな創作でも使われる概念でもあるが、ここではピンドラの価値観で話すことにする。
ピンドラの作品ではこの運命の果実を一緒に食べたことがすべての始まりになっていくのだが、さあ、ちいかわ島編に戻る。

ちいかわ島編 第一話

めちゃくちゃりんご食ってる。

うさぎも食ってる。

何度も言うがナガノ先生はピンドラを知っているし、おそらく映画化も知っている。
ピンドラを見た人間にとってリンゴはどうしても特別な存在であり、誰かと食べるということもまた大きな意味を持つのだが、冒頭に貼ったとおり、それが別のキャラで煮付けに変換されてしまったあたりがなんともナガノ節である。

人魚の肉を手に入れる禁断の行為。それを食べてしまった運命の二人は周囲を騙すようにして共犯関係になっていく。ピンドラとかなりかぶってくる。
葉っぱ隊二人はもしかして晶馬と冠葉なのだろうか。名前に葉がついてるし。
二人が行き着く先はどうなるのか…。

さらに読み返すとピンドラで印象的なものが、ちいかわ島編には出てくる。

プラム的な実。

プラム、つまり桃なのだがこれもまたピンドラでは重要なキーアイテムなのだ。ピンドラの最重要人物「桃果」という少女の名前でもあり、主要人物の「苹果(りんご)」の姉なのだが、桃源郷のようなメタファーが与えられていたりする。劇場版では大きな桃が出てきたりする。

プリクリ桃果


ピンドラでは桃果は「愛」の存在だ。
この窮地ですっぱいプラムを貰うちいかわは、作者から運命の愛をもらったのだろうか…。
(なお初見で見たときは美味しい桃の季節だよなぁとしか思ってなかったので、重ねていうがこの考察に根拠はない)
更にいうとボロボロになりながら飢餓感を覚えて果実を食うあたりも、なんともピンドラである。

そしてもう一つ。このあと8月20日に更新された回だ。島二郎登場の章。

ちいかわが救いのカレーを食べる。
ピンドラを見てる人にはこれもまたすぐ分かったのではないか。

毎月20日はカレーの日。 

さてここまでピンドラ要素を見つけてきたが、だからといって今後島編がどうなるのかは予想もつかない。しかし葉っぱ隊をどうしても嫌いになれなくなる。
彼らは生きさせようとしたし、二人で生きようとした。そこにあったのは愛ではないか。
愛も罪も罰も分け合うことになる運命の二人に、愛はどういう結末を与えるのだろうか。
長編になった島編。その結末を覚悟して見届けたいと思う。

ちなみにピンドラの映画版は前後編で配信サイトにあるんで、初見の方もテレビシリーズだけの方もぜひ見てください。最近アマプラに来てます。


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