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都会の空気は薄苦い

大学生時代に仲良くなった友達に久しぶりに会いに行く。

最寄りの駅に通る、いつも通りの長い箱。
雨の降る夕方。時刻は17時45分。
疲れた顔してスマホを見つめる幾人もの人が、この箱の中に吸い込まれていく。

"どうして都会の電車ってこんなに憂鬱になるんだろう...。"

でも地方の電車は嫌いじゃない。
どこか、ロマンチックと青春が入り混じっているから。
むしろ好きだと思う。

国内を旅していると、日本でだって色んな景色に出会える。
それって結構、同じようなビルが立ち並ぶ栄えている場所よりも地方の何もない場所だったりして、そこに住んでいる人からすれば、
『ただの田舎やん!馬鹿にしてんのか!』
って言いたくなるかも知れないな。

でもね、都会で生きるのは目的が出来てからでいいと、私は思う。

小さい時は温かい人と、厳しい自然と、優しい夕暮れに黄昏て、素直にまっすぐ育ってほしい。
都会なんて大きくなったらいくらでも来れる。
なんなら就いた仕事が運良くて東京に出張なんてあった時には職場の方からお金が出るかも知れないし。

子供の頃からこんなに人の目線に囲まれて、
高いビルに見下ろされ、
高い空を見れなくて、
緑を見ても心動かず、
ピクセルの世界を眺めるような人に、嫌でもなりますよ。こんな街。

もちろんアクセスは良すぎるくらいにいいし、欲しいものがあればお金さえあれば手に入るし、最低賃金も高いし、大学も自宅から通える距離にある。
確かにいいことずくめだと思う。
だけどね、心はとても生きにくい。

人はないものねだりだからきっと、
どこか地方で生まれていたら
私も都会を夢見る少女の1人だったでしょう。
でもそしたらきっと旅にはでなかった。
非日常を求めてしまう人間の欲望って結構、
思っているより、強い。

旅は誰かの日常を非日常に感じることができる。

海外だって、きっとそう。
私達が、すごい。とか綺麗。とか思っているものがもしかしたら現地の人からすると
ただの日常にすぎないのかも知れない。
でもまぁ、違いとはそういうもので。
私の日常だって、どこかの、誰かさんからしたら。
非日常なんだものね。

ちょっと苦い、この電車の空気は、
誰かの中では落ち着く、
いつもの匂いなんだろうな。


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