韓国と偏見

韓国ほど、日本で人によって評価の分かれている国はないと思う。片方では素敵な推しのいるハイセンスな国。片方では考え方が野蛮でセコくて、すぐに権利を主張する、かかわり合いにならないほうが良い国。お互いがお互いを「何も知らないからそういう事が言えるんだ」と考えて、いつまでたっても平行線であるように思う。

自分もまた、若い頃には後者の立場だった。ネットに流れる、慰安婦の主張や謝罪を強制するような言い方に腹が立つという声、食べ物にツバを入れるとか火病だとかその他諸々をすべて信じてガチガチに偏見の渦が出来上がっていた。
また、育った家庭も結構問題があった。地元は北九州で父親は「朝鮮人が」を罵り言葉として絶えず口にしていたし(リフォーム業で、生活保護を受けていた人をよく思っていなかったらしい)、また親が連れて行った韓国旅行でもボッタクリと、謎の商品を売りつける、変で汚く臭い人々という印象を持っていた。お互いがお互いを憎み合っていると思っていたし、韓国人が仲良くなるのは金のためであると信じて疑わなかった。

そんな偏見を抱えたまま、それでもモノが安いからと親と韓国に出かけた空港で、一組の韓国人カップルと出会う。男の子は顔が明らかにデレデレしていてニヤけている。そしてなぜか自分に向かってハンバーガーを突き出してきて「食え」とジェスチャーする。
正直、ワケが分からなかった。ここは空港でこのハンバーガーがどこから来たのかもわからなかったし、身の危険のほうも感じたが、明らかに敵意は感じなかったし親切心であるとわかったので、そのままもらった。
さらにその男の子は上機嫌になってそのままどこかへ行ってしまった。

その頃から徐々に、自分の考え方に疑問を持つようになった。
韓国人と言えば切れやすく不衛生で、金にセコく、権利を主張しまくる人。日本人と見るやいなや「このチョッパリが!」と罵って殴ってかかる人。
さて、『その人は、いったい誰なんだろう』と考えた時に、そんな人は果たして存在するのか、と考えた時に、今まで反発してきた「何か」は、まるで何かの亡霊だったのではないかと感じるようになった。

こういうような偏見を持つにあたった理由として、「政治と個人の混同」が見られたからではないだろうか。
韓国の政治は明らかにおかしい。それは、最近の大統領がほぼ全員、自殺するか極悪人として逮捕されるかしかしていないからだ。
しかし、政治がおかしいからといって住んでいる住人がみんなおかしい、などというのはこれまたおかしい。そういう意味では政治と個人は分けて考えなければならないと思う。それは、自分たちも政治的な側面からレッテル付けされたくないからだ。

ここに最初の問題の解決が見られると思う。
すなわち、
考え方が野蛮でセコくて、すぐに権利を主張する、かかわり合いにならないほうが良い、という主張では、政治的な面で韓国人をレッテルづけしてしまっている人たちである。個人を見ずに「そういう人種しかいない」と決めてかかってしまっている。

もう片方の、素敵な推しのいるハイセンスな国、というのは、まあ簡単に言うと自分の好きなアイドル(個人)がいて、それ基準で物事を見ている人たちである。個人を第一に見ているのでそのような偏見を、かなりソフトに見てしまっている。

韓国語を勉強しはじめて4年あまり。圧倒的に韓流アイドル推しが多い環境の中で、「ツアーで一度握手をするために数十万使っても惜しくない」って人々の中にいる。それはちょっとおかしいんじゃないかと思いながらも、ただ、「個人を見るべきである」という考えは同意している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?