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フェイスブックショックの本当の理由を解説。

[ニュース元記事]

【ニュース内容要約】
・米メタプラットフォームズ(旧フェイスブック)が2月2日に決算発表を行った。
・今期2022年1-3月期売上予想を270-290億ドルと発表、市場予測301億万ドルを下回りメタプラットフォームズ株は時間外取引で20%以上の暴落を見せている。
・今後売上の伸びが鈍化する理由として、アップルOSのプライバシー強化により広告効果が低下していること、TikTokやYouTubeといったその他SNSとの競合激化を理由として挙げた。
・前四半期比で初めてフェイスブックの1日あたりアクティブユーザーの減少が生じた。
・また新規事業であるメタバース事業は2021年通年で102億ドルの損失を計上、前年の-66億ドルから損失が拡大した。
・同時に発表された2021年10-12月期売上額は336億7000万ドルと前年同期280億7000万ドルから増加し、事前アナリスト予想も上回っている。
・ツイッター、ピンタレスト、スナップなどのその他SNS株もつられて売られている。

【Must-see ニュースな理由】
今後フェイスブックショックとして歴史に名を残しそうな大きなニュースなので詳しく解説していこうと思います。
メタプラットフォームズ(旧フェイスブック)は2021年12月末時点世界時価総額第七位の大手ハイテク企業です。
まずは昨日に発表された2021年度通年での同社の業績推移を見ていきましょう。
下記グラフをご覧ください。

メタプラットフォームズの業績推移 (単位:100万ドル)

ご覧のように、昨日発表された2021年度通年決算は売上、営業利益ともに過去最高を更新するものでした。
しかしマーケットでは同時に発表された2022年度1-3月期からの売上の鈍化見通しが大きく材料視され、株価は20%以上の大暴落を見せています。
この大暴落にはメタプラットフォームズ(旧フェイスブック)という企業の将来に対しマーケットは懐疑的に見ていることが背景にあります。

昨年2021年9月に米メディア、ウォール・ストリートジャーナルにSNSのFacebook、Instagramに関する記事が連日に渡って掲載されました。
(共にメタプラットフォームズが運営する大手SNSサービス)
その内容というのは同社の運営するFacebook、Instagramは若者のメンタルヘルスに悪影響を与えていること、不正な政治利用が行われていること、麻薬カルテルや人身売買組織公然とサービスを利用していること等の規制・改善すべき事柄を把握しながらも、広告収入を優先させるために同社はこれら問題に対処していないというものでした。
ウォール・ストリートジャーナルによる連日の同社批判記事掲載後、こうした事実を裏付ける内部告発も行われました。
これを受けCEOのマーク・ザッカーバーグ氏は今後の同社SNSサービスの運営ポリシーを変更することを発表しました。
また同時期の2021年10月に同社社名を「Facebook」から「メタプラットフォームズ」に変更することを発表しました。
CEOマーク・ザッカーバーグ氏は社名変更の理由を今後の成長分野であるメタバース(仮想現実空間)事業を同社の主力事業とすることを示すためとしましたが、多くのマーケット関係者には同社のSNS広告ビジネスの成長の限界をマーク・ザッカーバーグ氏自ら示したという印象を与えました。
メタプラットフォームズの売上高はその90%以上をFacebook、InstagramのSNS広告収入が占めており、この事は同時に同社の成長の限界を印象付けました。

また同社が今後の主力事業として掲げるメタバース(仮想現実空間)事業ですが苦戦が予想されます。
というのも2021年より大きく盛り上がりを見せ始めたメタバース(仮想現実空間)という概念の根幹には、運営主体を必要とせず参加者全体でシステムを回して行くというブロックチェーンの考え方があります。
現在メタバースの分野で現在最先端を行く「サンドボックス」や「ディセントラランド」といったプロジェクトは、将来的に運営主体がなくなり、運営の方針は参加者の投票によって決められるようになります。
現在様々なエッジ(先端)の人達を惹きつけるメタバースはこうしたものであり、一企業(メタプラットフォームズ)が運営主体となり管理して行くメタバースには、過去にFacebookが実現したような世界を大きく変えるほどの原動力は無いように思われます。

同社は2021年度通期で102億ドルと全体収益の2割にも及ぶ額をメタバース事業に投資していますが、果たしてこれが実を結ぶかには懐疑的です。

長期的にメタプラットフォームズという企業は現在よりもかなり事業規模の小さな企業になる可能性があり、個別株の長期保有は避けた方が良いと思われます。



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