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『ラーの鏡〜真実を映し出す銅鏡〜』



同胞に誘われて或るセミナーに出席した、
其はビューティーアップセミナーであった。

講師の先生は流石ビューティーアップの先生らしく、
迚もお美しく威風堂々とされておられた。

会場は多くの美を求める女性で埋め尽くされ、
男性客は私一人^^;居心地の悪さマックスだったが、
同胞の頼み故退出も叶わず最後迄残らされた。

講演その物も迚も解り易く素人目線で詳細に解説され、
プロ意識の高さを感じられる素晴らしい講演であった。

講演終了後もロビーにて来場者をお見送りなさり、
其処でも多くの女性ファンに囲まれていた。

一頻りファンの女性と話された後、我が元へ来られた。
軽く会釈され感想を求められたので素直にお答えした。

"迚も素敵な講演でした、随分辛い経験を多くされながら
辛さを微塵も感じさせぬ立ち居振る舞いは感嘆の極み、
色々と勉強になりました"と。

その時、ほんの一瞬だったが彼女から笑みが消え、
"素の顔"に戻ったのを私は見逃さなかった。

私は軽く会釈をしてその場を退出した。

その後、同胞に私の事を根掘り葉掘り聞いていたという。

聞けば同胞と彼女は古い友人関係にあるという。
だが、名が売れる程に無理をしている彼女を見るのが
辛くなり何とか元の彼女に戻って欲しい一心でお鉢が
私に回ってきたという事であった。

そしてあの場面に繋がるのである。

講演の中で彼女の苦労話等一言も触れられなかった、
華々しい経歴や受賞歴ばかりの話に終始していた。
まして過去の辛い経験等彼女は一言も発しなかった。

勿論同胞も古い友人とはいえ彼女の過去を詳細に知る
程の関係ではなく彼女の陰惨な過去等知る筈も無い。

にも関わらず彼女の過去は一瞬にして見抜かれた、
その事に彼女は度肝を抜かれたらしい。

だが我が同胞も形こそ違えど私に心の全てを見透かされ、
自らを誤魔化し偽る事を止めた経緯があった。

だからこそきっと友人も自分の様になってくれるだろうと
同胞はその一念であったと言う。

何ともいじらしい話では無いか。

其から暫く後、私の講演会場に彼女の姿があった。
最前列のど真ん中に彼女は同胞と共に鎮座していた。

その目はあの講演の時の一瞬の真顔と同じ表情だった、
だが決して厳しい顔ではなく寧ろ迚も素朴な表情に
私には思えた。

講演後同胞共に我が元を彼女は訪れてくれた。
そして素直な感想を述べた後セラピーのご依頼を受けた。

完全に過去と決別したい、新しい自分に生まれ変わりたい
そして一からビューティーを勉強し直したいと言っていた

其の目は真剣其の物であり、私は其を快諾した。

あれからもう十数年の歳月が経過した。

未だに彼女は第一線で活躍し脚光を浴びている。
だが以前の様に虚飾の自分を演じるのではなく、
素直に正直に自らの封印していた過去を披露し、
そしてそれを聞く多くの女性の涙と共感を得て、
今もビューティーアップ講師として頑張っている。

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