呟怖〜記念写真〜

#記念写真
#呟怖

日々の仕事の忙しさに感けて
部屋の掃除を疎かにしていたら
ゴミ屋敷の様相を呈してきたA子は
この際要らない物は全て捨ててしまおうと
断捨離を決意し日曜日の朝から
ずっと整理を始めていた。

最初は不用品と必要品に分けた
段ボール箱にテンポ良く仕分けていたが
小一時間も経つ頃になると暑さも手伝って
段々やる気が失せてきた。

その時偶然昔のアルバムが出てきて
パラパラとめくっている間に走馬灯の様に
昔の思い出が蘇ってきて、断捨離の手は
完全に止まりタイムトリップしてしまった。

当時の事を色々と思い出しては
クスクス笑いながらアルバムを
一枚一枚めくっていく。

然し次の頁をひらいた瞬間、
その手がピタリと止まり体は硬直し
顔は青ざめ小刻みに震え出した。

其は一見すると何の変哲もない集合写真だった。
彼女を中心として数名の女子が一緒に写っている

然しその写真をよく見るとおかしな事に気が付く

A子以外の女子は全員お下げ髪でモンペ姿である
更には手に棒らしき物をもっている事に気づく、
良く見ると其は薙刀で皆、頭に白い鉢巻を巻き、
其の表情は真剣その物、決意の様な物を感じる。

然し最も奇妙なのは彼女達が全員半透明である事そして透けた体の背後にお墓が見える事だった。

A子は写真を放り投げ直ぐにライターで焼却した

其から急いで断捨離を再開し殆どの物は処分した
A子は未だその写真が撮られた時期も場所も思い出せないと言っているらしい。