映画アンダーカレントの感想(ネタバレ)

3連休中日にレイトショーで見てきました。お客さんは自分も含めて3人。ラグジュアリーシートに座ってる前の人の柔軟剤の匂いが気になったりならなかったりした。

豊田徹也の原作、アマゾンがおすすめしてきたのをふらっと購入したのが2012年。11年前は漫画を紙で買っていて、その後引っ越しのときに処分してしまった。1年前にまた読みたいなと思って、電子版を買おうとしたら、電子版どころかそもそも絶版になっており、中古で買いなおし。その数か月後に映画化が決まっていたのでした。以下、つらつらと感想

音つかい
・そもそも音楽がないシーンが多くて、海の波の音とか風の音とか空調の音?とかそれでいい、それがいいっていう感じ。最後の30分くらいの「答え合わせ」のシーンはずっと音楽がなかった。
・かなえの回想の場面はチリンチリンっていう鈴の音が鳴ってて、これは後でランドセルの鈴の音っていうのが分かる。うまい。
・原作は映画みたいな漫画っていう感想だったけど、それを映画にしたら映画にしかできない表現をうまく使っている。たまんねぇぜ

小道具つかい
・あやとりはみゆが風呂屋で遊んでいて、誘拐されたときにかなえが胸に抱えるっていうシーンは原作通り。それに加えて、幼少期のかなえが髪をまとめるとあの少女に瓜二つになるっていう、髪をまとめるギミックにもなった。うまい。
・風呂場の窓にくるカエルはオリジナルだけど、悟が「帰る」のかっていうギャグ?なのかよくわからんけど。あの回想は2回あって、1度目はカエルがクローズアップされるが、2度目の回想では悟の表情がはっきり映される。カエルにぎょっとして注目しがちだけど、実はもっと大切なものを思い出せたという効果があったと思う。すごい

原作とのキャラの比較
関口かなえ
・真木よう子の沈みっぷり良かった。軽装で散歩するあの雰囲気はまさにかなえ。
堀さん
・原作よりおどおどしていて、違和感があった。でも最後のシーンのために、この改変?は必要だと思った。原作のようなクールな堀さんだとあのラストシーンは合わない。
白石悟
・まさに本人。瑛太の本性が分からない感じも含めて良かった
山崎
・もっと芝居がかった感じを原作からもってたけど、実写にしたらこう淡々としてるのもそれっぽい。リリーフランキーのカラオケ笑った。
菅野
・一番再現度高いと思う(笑)
サブじい
・元やくざの設定はなくなり、タバコ屋のおっさんに。演技が大げさにならず、安心して見られた。原作だと終盤謎に事情通な人物だけど、設定が足されて(奥さんが駄菓子屋だった)説得力が増した。下着ドロの回をやったらキャラ崩壊するぞ!とハラハラしてたけど映画からはカットされてた。

その他言いたいこと
・映画は原作にないシーンが最後にある。バスに乗らない堀さんにハッとして心臓どっくんどっくんした。あとで確認したら原作もバスには乗らずにサブじいと同じ方向へ歩いていたので、結末としては変わらないのかもしれない。原作を読んだときは、堀さんは町を離れてさすらってしまうENDだと思い込んでいたので、こういう結末を見せてくれて本当によかった。
・かなえと悟のシーン、かなえ「わたしも嘘をつくことあるよ」っていうセリフが足された。正直、これをみるまでかなえの過去と悟の話の関係性が分かってなかった。実は、かなえは幼少期の嘘をずっと抱えて苦しんでいて、悟はうそをついて生きているっていう点で同じだったんだと気づかされた。このセリフでさらに深みが増したと思う。
・森の中の湖のシーンはとりあえずいれましたっていう感がありちょっと残念だったかな。もっとドラマティックにとれそうだけど・・。尺が足りなかったか。
・かなえが倒れて堀さんに「ころして」っていうシーン。堀さんの気持ちを考えるとマジで泣ける。マジで泣けるけど原作未読で初見のひとは泣けないので2回見てください。
・みゆちゃんかわいすぎないか??大野さきさんという方みたいです。



映画アンダーカレントはとてもよかったんですが、上映時間が2時間半あり、静かな映画なのでおそらくサブスクでみると途中でダレちゃうと思う。ぜひ、映画館でみましょう。おわり

鈴の件とか足されたセリフの件とか思いっきり予告にのっていた。予告で見せすぎ問題。

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